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黄昏急行 ~昼が来れば焼け死ぬ星で僕は仲間と旅をする~  作者: わけあり団子


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まぶた

はじめまして、本作を開いて頂きありがとうございます。

本作品はカクヨムでも投稿しています。小説の内容は一切差はありません。

https://kakuyomu.jp/works/2912051599391516896

 キャンプに戻った後、みんなはどこかに出かけて行き、気づけばキャンプに一人になってしまった。

 目の前にはツムギのポッド。解凍を始めてからそれなりに時間が経過しているように感じられる。そっと椅子から立ち上がってポッドに手を置いてみる。ポッドは微かに揺れており、よく聞くとブーンと電子レンジのような音を立てていた。ポッドの中は白い霧のようなもので満たされており、これが正常か異常かもわからなかったが、コンソールは解凍中であることを示しており問題はないのだろう。


「ふぅ」

 息をついて椅子に座り直す。


「疲れたか?」

 振り向くとグリムだった。いつの間にか戻ってきていたらしい。


「えっと、はい」


「はは、人間の足であの長い階段をずっと降りてきたわけだからな。

 疲れたなら少し寝とくといい」


「そう、ですね。

 でも体がつかれていても、どうも頭は冴えているみたいで」

 考えてみれば、睡眠を取ったのは自分とツムギが眠っていた空洞が最後だった。あそこから東へ向かい、ミラ大空洞にやってきてからそれなりに時間は経過しているはずだ。


「ふむ……。

 すぐに眠れるいい方法がある」


「なんですか?」


「スリープボタンを押すんだ。

 俺なら3秒で眠れる」


「……すみませんが、代わりに押してもらえますか」


「どこにある?」


「側頭部のあたりにないですか?」


「見当たらないな。どうやら欠陥品のようだ」

 思わず笑いがこぼれる。

 その時だった。不意にツムギのポッドからピー、という音がした。


「お?」

 エラー音に聞こえなくもなかったが、グリムに焦った様子はない。

 立ち上がりコンソールの前にいくグリム、自分も立ち上がりグリムの横から覗いたコンソールには解凍完了の文字が浮かんでいた。グリムが片腕だけでコンソールを操作するとプシューという空気が排出される音がしてポッドの前面、ガラス面が回転した。


「よかったな。問題なく解凍できたようだ」


「しばらくすれば目が覚めるんですよね」


「まぁ、すぐ起きることもあるけどな」

 ツムギの顔を見る。この中で180年も眠っていたとはとても思えない。違和感をあげるとすれば、病院の検査着のような服くらいだ。

 ポッドに手をかける。


「ツムギ」

 なんとなく、声に出して名前を呼んでみる。


「……」

 一瞬、ツムギのまぶたが動いた気がした。


「お?

 動いたな。

 俺はルナに声をかけてくる。

 ツカサ、一人で平気か?」

 自分が目を覚ました時のことを思い出す。自分はここでツムギに何を伝えるべきか。


「はい。大丈夫です」

 グリムが立ち去り、ツムギと二人きりになる。もう一度まぶたがぴくりと動き、ゆっくりとまぶたが持ち上がる。


「ツムギ、聞こえるか?」

 なるべく落ち着いた声で、声を掛ける。薄く開いたまぶたの下でツムギの眼球が動き、こちらに向くのがわかった。ちゃんとこちらを認識しているようだ。


「ツムギ。いい?


 よく聞いて。

 今は体が思い通りに動かないかもしれないけど大丈夫。

 もう一度ぐっすり寝て、明日になれば体も動くようになるから」

 ゆっくりとツムギのまぶたが閉じて、また開いた。


「うん」

 頭を撫でてやる。ツムギが検査着だけでは寒いだろうと今更気づく。


「ここ、少し寒いだろ」

 毛布をツムギにかけてやる。しばらくツムギの顔を眺めていると、安心したのかツムギはゆっくり目を閉じた。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

ついにツムギが目覚めます。といっても会話はまだですが


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