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黄昏急行 ~昼が来れば焼け死ぬ星で僕は仲間と旅をする~  作者: わけあり団子


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空からの風

はじめまして、本作を開いて頂きありがとうございます。

本作品はカクヨムでも投稿しています。小説の内容は一切差はありません。

https://kakuyomu.jp/works/2912051599391516896

◆ ◆ ◆


 停止した機関車から空を見上げると、白いタウセチが暴力的なまでの輝きを放っている。タウセチに炙られた大地は熱で激しくゆらぎ、まるで世界がこのまま溶け出すのではないか、そう疑いたくなるような光景だった。


 東の空に一つの黒い点が生じる。徐々に黒い点は大きくなり、やがて機関車の窓からエドガーが翼を広げて滑り込んできた。


「カァ(帰ったぞ)」


「エドガー、おかえりなさい!どうでしたか?」


「カァ(この付近で指定した条件に合致する場所は3箇所、うち線路が続いているのは1箇所だけだ)」

 翼に砂が入ったのだろう。器用にクチバシで、羽の手入れをしながらエドガーが答える。


「どこですか?」


「カァ(ここだ)」

 エドガーがくちばしで地図を示す。

 運命か、はたまた神のいたずらか。そんな使い古された言葉が脳裏に浮かぶ。現在の状況に与えられた情報を加えて導かれる一つの可能性は、あまりに出来すぎた内容に思えた。


 またあそこへ帰る日が来るなんて―――。


「エドガーは運命という言葉を信じますか?」


「カァ(信じない)」


「……でしょうね」


「カァ(運命なんて言葉は、いくつもある選択肢のうち『最も望ましい』、あるいは『最も望ましくない』、どちらかが答えだった時の喜びや悲しみを強調する副詞に過ぎない)」

 エドガーらしい答えだと思った。


「カァ(副詞に意味を求めるのは時間の無駄だ)」


「その通りですね」

 ―――『とても』嬉しい、―――『ちょっぴり』寂しい。

 副詞は動詞や形容詞の意味を強めたり、程度を表すが、それ自体に意味はない。


 弾き出された可能性の一つが仮に運命的だからといって『そんなことでお前が出す答えは変わるのか』、エドガーはそう言いたいのかもしれない。そして今考えるべきことは他にある。


 ―――何がベストな選択なのか。


 当初の予定では、ツムギを回収した後、一路西を目指して生存可能領域ハビタブルゾーンへ復帰するはずだった。余裕とは言えないまでも、あれやこれや策をもって臨めば勝算は十分にある。そう結論づけていた。

 そんなルナの計画を大きく揺るがしたのは風だった。燃えるような東の大地から吹く熱風でも、凍るような西の大地から吹く冷風でもない。はるか上空からの吹き下ろしの風。


「カァ(何か問題が?)」

 沈黙するルナを見て、エドガーが問う。


「先程、空からの吹き下ろしの風……ダウンバーストが発生しました。

 ダウンバースト自体はアリアでは日常茶飯事ですが、問題は温度ですね。

 昼の面に近づいたせいでしょう。

 ダウンバースト中、約5分間、上空から吹き下ろす風の温度は120度を超えていました」


「カァ(人間なら3分も持たないな)」


「ですね。1分でも肺は焼かれ、全身にやけどを負うでしょう」


「カァ(ダウンバーストの予測は?)」


「できません」


「カァ(気象衛星でもあればな……)」


「極地には飛んでいるそうですが、赤道付近のこの辺はまだまだ先でしょうね」

 地図から目を離さずに答える。


「カァ(計画は?)」


「変更が必要です」

 オートマタの金属の肌でさえ、じりじりとした異常な熱を感知し始めていた。気温は、容赦なく人類が生存できる限界点へと近づいている。


「気温が高くなってきました。

 私たちも避難しましょう。続きは空洞で」


「カァ(わかった)」


最後までお読みいただき、ありがとうございます。

起承転結でいうところの転になるでしょうか、ルナが計画していた予定が崩れます。


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