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黄昏急行 ~昼が来れば焼け死ぬ星で僕は仲間と旅をする~  作者: わけあり団子


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再会

はじめまして、本作を開いて頂きありがとうございます。

本作品はカクヨムでも投稿しています。小説の内容は一切差はありません。

https://kakuyomu.jp/works/2912051599391516896

「起きた!」

 目を開けると、くりくりとした丸い目玉がわずかすぐそこにあった。


「……おはよう、ラビ。

 どれくらい寝てたかわかる?」

 体を起こす。石の床に寝転がっていたせいか、肩と腰が少し痛かった。ランタンの明かりが空洞の中を薄暗く照らしている。


「6時間くらい!」

 外の温度がどこまで上がったか、少し考えてからやめた。今は考えても仕方がない。


「そっか」


「穴掘りはどんな感じ?」


「順調!」

 穴の奥からは、規則的に土をかく音が聞こえていた。グリムは休まず作業しているのかもしれない。


 ラビが小さな水筒を差し出してくる。お礼を言って水筒を受け取り、口をつけるとひんやりした水が喉を通る。寝起きの火照った体に冷たい水が気持ちよかった。空洞の中の空気は外とは別世界のように穏やかで、それがかえって外の過酷さを想像させた。


「おう、起きたな」


「おはようございます」

 グリムが穴から顔を出していた。体中に土がついている。起きたのを察したのだろう、上がってきたらしい。


「ああ」

 グリムは壁に背をもたせかけ、腕を組んだ。バッテリーから伸びた充電ケーブルを右手の甲に差しながら、目を細めて天井を見上げる。


「そういえば、エドガーさんと、ルナさんは?」


「まだだ……もうそろそろ来てていい頃合いのはずだが。

 そういやツカサ、ルナにどうやって昼から逃げるのか聞いたか?」


「あ……忘れてました。さすがにツムギのことが気になって」

 穴の縁に腰を下ろし、穴の中を見つめる。


「ははは、そりゃそうだな」


「……そういえばエドガーがどこかに行ってましたね。

 気になりますか?」


「まぁな、こう見えてミステリーファンなんだ」


「……読むんですか?」


「人にいうと笑われるがな」


「別に、笑いはしませんが……」


「言っとくがストレージにただ格納するんじゃねぇぞ。目で文字を読んで、1行毎に俺の感想をストレージングしていくんだ。ルナに進められて始めたはいいが、最初は何がいいんだか全然わからなかったな。

 とこが、不思議なもんでな。

 テキストを一気にメモリに読み込んで感想を吐き出すと、一瞬で本を読めちまうんだが、どのオートマタが読んでも大体同じような感想になるんだ。

 だが、面白いことにちゃんと一行ずつ読んだ感想は随分と違うもんになるんだよ」


「へぇ、それは面白いですね」


「ああ、気づいたら本を読むのが趣味になっちまった」


「今度、読んだ感想を聞かせてください」


「おう、いいぜ。お前と同じ本を読んでるかはわからんがな」


「同じ本を読んでいなくても、感想は聞かせられますよ」


「はは、だな!」

 グリムは愉快そうに笑うと、壁から背を離し、右手の甲に差していた充電ケーブルを引き抜いた。


「さて、と。無駄話はここまでだ。

 もうひと踏ん張りしてくる」

 グリムは大きな体を迷いなく穴の中へと滑り込ませた。すぐに暗い穴の底から再び「ガッ、ガッ」という土を掻き出す音が響き始める。これまで聞いた音よりも、少しだけ力強いリズムだった。数分ほどその頼もしい音を聞きながら待っていると、ふいに土を掘る音が止まる。


「よし、ツカサ!

 降りてこられるか?」

 近くにあったランタンを手に取り、ランタンの明かりを頼りに穴の近くまで近づく。穴のそこにグリムが見えた。今の自分にこれを降りていくのは到底不可能に見えた。


「……流石に無理ですね」


「ははは、ちとまってろ」

 ラビがすぐに横にやってくる。そしてラビが持っているモニタには、グリムの見ている景色が映し出されていた。


「ほれ、見えっだろ」

 見えたのは泥の着いたコールドスリープポッドのガラス面……光が反射されていて見づらい。その奥に、青い光に照らされた幼い少女の顔。今まで思い出せなかったのに不思議とすぐにわかった。見覚えのある寝顔。


「はい……。

 間違いありません。妹のツムギです。

 ……ありがとうございます」

 自分が思っていたよりも、掠れた声しかでなかった。


「まだ顔の部分だけだけどな。

 さて!もうひと働きだ!」

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

ツムギとの再会が果たされました。といってもまだ眠ったままですが。

グリムの趣味に関しては、どうしてもここで触れておきたかった。


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