第4話 「人の口には戸が立てられない」
喫茶店でのできごとから一夜明け、大学に向かう蓮司の心境は穏やかではなかった。
昨日のできごとが噂になっていないか気にかかるが、もちろん今日も講義があるので大学へと向かう。
大学最寄りの駅でも大学構内でもいつも以上に視線を感じた。やはり昨日のことが多かれ少なかれ噂になっているようだ。
講義室に入ると入口から離れた後ろの席で大和が机に突っ伏している。
「はよ」
「……おっす」
俺が声をかけると大和はのっそりと顔を上げた。随分と眠そうである。
荷物を机に置き、大和の隣に座るとボーとした目で俺を見てくる。
「もしかして寝てねぇの?」
「おう、結衣のせいでな。朝までカラオケに付き合わされたんだよ」
その一言で大体察する。
俺と桜詩のことを満足に聞けなかったから星宮が荒ぶったんだろう。大和と彩葉に強制退場させられていたし。
「悪かったな」
「うんにゃ、蓮司のせいじゃねぇよ」
大きく欠伸をする大和。
「まだ講義まで時間あるし、もう少し寝るか?」
「いや起きるわ。今日は一限のあと時間空くし」
そう言いつつ大和は大きく伸びをする。
「彩葉と星宮は?」
「彩葉は二限、結衣は三限から」
「大和が一番の貧乏くじじゃねぇか、よく朝まで付き合ったな?」
「まぁ、付き合い長いからな」
そう言って大和は講義の準備を始める。周りにもぼちぼち人が増えてきた。
「蓮司こそ、あのあとはどうしたんだ?」
「どうしたも何も普通に帰ったよ」
お互いに講義の準備が終わったところで大和が話しかけてくる。
「一人で?」
「駅までは三人」
俺の言葉に大和が物珍しそうな顔をした。その顔もすぐにニヤけ顔に変わったけど。
「へぇ? 珍しいこともあるもんだな。そんな噂になりそうなことをするなんて」
「俺だってできるなら一人で帰りたかったよ。けど、桜詩がそれを許すと思うか?」
「俺は紀乃のことそんな知らないけど、喫茶店での様子を見る限り許しそうにないもんな。悪いのは蓮司だけど」
「……その通りだよ」
大和の言葉がグッサリと胸に刺さる。実際に悪いのは俺だから言い返すことができない。
大和とそのまま二人で喋っていると、大和が誰かの姿を見つけたようで講義室の入口を指さす。
入口を見てみると、桜詩と茅ヶ崎の姿が見えた。
「噂をすればってやつだな」
「席も空いてるし、こっちには来ないだろ」
大和の言葉にそう返すが俺の言ったその言葉がフラグだったのか、俺たち二人のところに向かってくる桜詩たち。
「おはよう、蓮司。それと篠崎くんも」
「おはよ」
「おはよう紀乃……とそっちは昨日いた」
「昨日は挨拶できなかったもんね。茅ヶ崎楓です。よろしくね?」
「篠崎大和だ。よろしくな!」
茅ヶ崎と大和がお互いに軽く自己紹介をしたところで桜詩が俺の隣に座る。
それと同時に講義室に集まった学生たちの視線がこちらに向き、室内がざわつく。
桜詩は去年のミスコンに参加してはいないが、それでもその整った容姿と抜群のプロポーションから大学内で人気を集めている。
そんな桜詩が今まで距離を置いていた俺の隣に座った。周りがざわつくのも無理はない。
それに昨日のことが噂になっているようだから、この周りの反応も頷ける。……認めたくはないが。
「なんか不満そうね」
「そんなことねぇよ」
俺の言葉に「そう?」と言いながら桜詩は体を寄せてくる。
「距離近くねぇ?」
「別にいいじゃないの。今更でしょ?」
「周りの視線も少しは気にしろよ」
「それって……密着するなら二人きりの時にしろよっていう照れ隠し?」
「アホなこと言ってんじゃねぇよ」
俺たちの言葉の応酬に茅ヶ崎と大和が顔を見合わせる。
「二人とも本当に仲がいいんだね」
茅ヶ崎がクスッと楽しそうに笑っている。その笑顔に周りの男たちの視線も引き寄せられた。
「私も神里くんと仲良くしたいな」
俺と桜詩の間に前屈みになって顔を出し、ほんのりと赤く頬を染め照れくさそうにはにかむ茅ヶ崎。
その姿は大変可愛らしいのだが、如何せんこの状況では火に油を注ぐだけだ。
俺に怨念の篭った周りの男たちの視線が突き刺さる。その視線からは「またお前か」「なんでお前ばっかり」という恨み辛みが伝わってくる。
「迷惑かな?」
茅ヶ崎が黙ってしまった俺を見て不安そうに呟く。
「いや迷惑じゃないけど」
「楓が可愛いから照れてんのよ、こいつ」
「おいコラ、変なこと言うんじゃねぇよ。確かに茅ヶ崎は可愛いけどな」
「そこは認めんのね」
「だって事実だろ?」
「…………はぁ」
俺の言葉にため息を吐いて呆れかえる桜詩。その姿はまるで聞き分けのない子供の面倒を見る母親のようで、俺からすれば非常に不本意である。
「……神里くん。その……もうちょっと手加減して」
「何が?」
茅ヶ崎は茅ヶ崎で顔を両手で覆ってよくわからないことを言っている。
このやりとりが周囲にも聞こえていたようで、周りの男たちからの殺気が更に強まり、あちこちから舌打ちも聞こえてくる。
「モテモテだな。男にも女にも」
大和は今の状況を楽しんでいやがる。大和にとって対岸の火事であるのは間違いないのだが、友人として少しくらいは心配して欲しいもんだ。
「楓? 早く慣れなさい」
「頑張る」
桜詩に諭され力なく頷く茅ヶ崎。耳まで赤く染まっているが体調でも悪いのだろうか。
(日本に帰ってきたばかりって言っていたし、疲れてんのかな)
俺が茅ヶ崎の姿に考えを巡らせていると肩をポンっと軽く叩かれる。
振り向くと大和がなんとも言えない顔で首を横に振る。
「なんだよ」
「お前ってホントにさぁ……」
何か言いかけたが言葉を飲み込み額に手を当て俯く大和。
「言いたいことがあるなら言えよ。モヤモヤすんだろ」
「自分で気づけ」
「いやだから何がだよ?」
そのまま大和は黙ってしまった。謎は深まるばかりである。
結局、大和は何も教えてくれないまま講義が始まった。
午前中の講義も終わり、俺は学食でテーブルに突っ伏していた。
桜詩と茅ヶ崎の二人と講義が被っており、その度に二人が俺のそばで講義を受けるため、男たちの嫉妬の視線に晒され続け精神的に疲れてしまったからだ。
「辛かったのはわかるが行儀悪いぞ」
突っ伏したまま顔だけ上げると、昼食の乗ったトレーを持って大和が立っている。
「すまん」
大和に謝って姿勢を正す。
「蓮司も頼んでこいよ。お前もいつも学食だったろ?」
「いや今日は大丈夫」
俺の言葉に席に座ってトレーをテーブルに置いた大和が首を傾げたが、俺のほうを見てハッとする。
「まっ、まさかお前ストレスで食欲が!?」
「ちげぇけど」
大和は一瞬険しい顔になったが「だよな〜」と言ってからからと笑う。
笑う大和をよそに俺は持ってきた包みをテーブルの上に置く。その包みを見て大和は目を見張った。
「蓮司、紀乃とよりを戻したのか!?」
「なんでそうなる」
「いやだってそれ手作りだろ!?」
俺がテーブルの上に置いた包みの結び目を解いて弁当箱を取り出すと、大和はその弁当箱を指さして驚きの声を上げる。
「そうだけど」
「紀乃じゃないなら茅ヶ崎か!?」
「俺が自分で作ったって発想はないのか?」
俺が呆れながら言うと、まるで信じられないものでも見たかのような顔をする大和。
「……はっ? 蓮司って料理できんの?」
「普通にできるけど」
「意外だわ」
「そうかい。まっ、今まで弁当作ってきたことはなかったからな」
ポカンと口を開けたまま唖然とする大和は普段の様子とは違い少し間抜けである。
「飯冷めるぞ」
「おっ、おう」
俺の言葉で再起動した大和が昼飯を食べ始めようとしたところで、学食の入口から慌てて俺たちの元へと駆け寄ってくる金髪が見えた。
「わりぃ、遅くなった」
「気にすんなよ。今から食べるとこだし」
「そっか? ならよかったわ」
俺たちが座っているテーブルに来てすぐに頭を下げたこの金髪は水橋恭輔。二回生になってから知り合った友人である。ただし、その金髪とピアス、軽い言動などのチャラついた雰囲気から女性陣ーー特に彩葉ーーからは敬遠されている。
俺の隣に座ろうとした恭輔が俺の目の前に広げられた弁当箱を見て、俺の胸ぐらを掴んでグラグラと揺らす。
「お前ぇ! あの噂は本当だったんだなぁ!!」
「やめろ、中身こぼれる」
「恭輔! 落ち着けって!」
大和が慌てて恭輔を羽交い締めにして俺から引き離す。
「離せぇ!! 俺はこいつに話しがあるんだ!」
「どうどう。たぶんお前は勘違いしてるから」
「何が勘違いだよ! その弁当が動かぬ証拠だろ!!」
大和に羽交い締めにされながらも抵抗を続ける恭輔。
「まずそれが勘違いなんだよ。その弁当は蓮司が自分で作ったんだって」
「嘘だ!!」
目を見開いて叫ぶ恭輔に若干の狂気を感じる。
「そこまでありえないことなのか」
恭輔の反応に少し凹む。
俺の反応を見た恭輔が大和に視線を向け、大和は無言で頷く。
「えっ? ガチなの? ガチでその弁当は蓮司が自分で作ったの?」
「そうだよ」
「じゃあ、紀乃さんと付き合ってるって噂は?」
「今は付き合ってねぇよ」
「なんだよ〜ただのデマかよ。ビックリし……『今は』?」
大和の羽交い締めから解放された恭輔がほっと一息を吐いたあと、ぐりんと首を回し俺に視線を向ける。
「説明するからとりあえず座れ」
俺の言葉を聞いて、俺を睨みながらドサッと勢いよく椅子に座る恭輔。大和も自分の席に戻る。
「桜詩とは小学校からの幼馴染で高校の時に付き合ってた。けど、いろいろあって自然消滅。以上」
俺の端的にまとめた説明を聞いた恭輔は大和を見る。
「大和、ホントか?」
「なんで俺に聞くんだよ。俺だって昨日同じ説明を受けたばっかりだし、小学校からの付き合いだっていうのは初耳だよ」
「あれ? 言ってなかったか?」
「昨日は幼馴染で元カノってことしか聞いてない」
大和にそう言われ、昨日のことを思い返すと確かにいつ桜詩と知り合ったかは言っていなかった。
「わかった。とりあえずはその説明を信じてやる。……ちなみに紀乃さんとはどこまでヤッたんだ?」
「お前もそれを聞くのか……」
「高校の時に一年くらい付き合ってキスまでしかしてないってよ」
恭輔の言葉で呆れた俺に代わり大和が恭輔の質問に答え、それを聞いた恭輔は目が点になる。
「マジ? 蓮司って不能だったのか?」
「ちげぇ」
「なら紀乃さんにキス以外拒否られたん?」
「それも違う」
いきなり失礼なことを言いやがった恭輔を睨みつけるが、恭輔は気にせず俺に質問を続ける。
「ならなんでキス以外してないんだよ! あの見た目であのおっぱいだぞ!? 男ならお世話になりたいだろうが!!」
「そんなことを平然と言うからお前はモテないんだぞ。時と場所を考えろ?」
「蓮司の言う通りだぞ」
「うぐっ」
俺と大和の口撃に胸を抑えてたじろぐ恭輔。思いの外ダメージが大きかったらしい。
「わかった。蓮司は紀乃さんとは付き合ってないんだな?」
「そう言ってるだろ」
「なら俺に紀乃さんを紹介してくれ!!」
「寝言は寝てから言えよ」
冷たく突き放した俺の言葉に恭輔が崩れ落ちる。それを見た大和が不思議そうに俺を見る。
「蓮司、恭輔に対して当たり強くね?」
「大和は恭輔のあの発言や今までのやらかしを知った上で異性の幼馴染や友達をこいつに紹介できんのか?」
「……無理だな」
「だろ」
「お前ら二人揃って俺に対して冷たくね!? 友達だろ!? 泣くぞ!!」
すでに泣きそうになりながら俺たちを睨む恭輔。
「友達だからこそ言ってんだよ。お前はもう少し自分の欠点を直す努力をしろ。容姿だって悪くないんだし」
「ちょっと欲望に素直なだけで悪いやつではないしな」
「おっ、おう」
「欠点を直したところでモテるとは限らんけどな」
「フォローするなら最後までして! 上げてから落とすなよぉ」
俺の言葉が恭輔にクリティカルヒットしてしまったようで、恭輔はテーブルに突っ伏して塞ぎ込んでしまった。
「少し言い過ぎちまったかな?」
「恭輔がこうなるのはいつものことだし、すぐ元気になるだろ。それよりもさっさと昼飯食おうぜ」
「そうだな」
「もっと心配しろ!!」
大和の言葉で昼飯を食べ始めた俺たちに対して叫ぶ恭輔。
「恭輔も飯食えよ」
そんな恭輔に大和は冷ややかに対応して、恭輔もぶすっとした顔でコンビニの袋からパンを取り出して食べ始める。
「そういえば恭輔って星宮にはアタックしてなかったよな? 彩葉にはアタックしても相手にされてなかったけど」
「だって星宮だぜ? そりゃ見た目は可愛いけどさ、中身が……な?」
パンを齧りながら恭輔は少し遠くへと視線を向けた。その視線の先には人混みの中でも一際目立つ美しい銀髪が揺れている。
「言いたいことはわかるけど、結衣に聞かれたらまた怒られるぞ?」
呆れ顔の大和を気にもせず恭輔は話しを続ける。
「でもさ、黙ってればクールな美少女なんだぜ? 星宮のやつ。蓮司もそう思うよな?」
俺のほうを向いて同意を求めてくる恭輔にどう返したものかと頭を捻る。
大和も興味深そうに手を止めて俺を見つめてくる。
「大和も気になんの?」
「そりゃ気になるさ。俺だって結衣とは付き合い長いし、蓮司が結衣にどんな印象持ってるかなんて聞いたことなかったし」
大和と恭輔の視線が俺に集まる。なんか大和が若干ニヤケている気もするけど。まぁいつものことか。
「星宮を初めて見たときは雪の妖精みたいだなって思ったよ」
『雪の妖精?』
俺の言葉に大和も恭輔もきょとんとしてしまった。
「ほら、星宮って銀髪で目も青いだろ? だから物語に出てくる雪の妖精みたいだなって思ったんだよ。なんか触れてしまったらその触れた手の熱で溶けて消えちゃいそうな。そんな幻想的な雰囲気があるなぁって」
「蓮司ってなんでそんなことを平然と言えんの?」
「これが恭輔と蓮司の差だよな」
恭輔は俺のことをまるで化け物でも見るような目で見てくるし、大和は腕を組んでうんうんと頷いている。
「で、『雪の妖精みたい』と言われた結衣さんや今どんなお気持ちで?」
ニヤッと笑って言い放った大和の言葉に俺は慌てて後ろを振り返る。
そこには頬を赤く染めた星宮が立っていた。
「蓮くんは自重して!!」
「おっ、おう」
顔を真っ赤にして吠える星宮に俺は思わずたじろいでしまう。
「なぁ大和、星宮もあんな反応するんだな」
「俺も結衣とそれなりに付き合い長いけど、あんなに照れたところを見たのは初めてだよ」
その星宮の様子を見て目を丸くした恭輔と楽しそうに笑う大和。
「へぇ、星宮も可愛いとこあるんだな」
恭輔の一言に一瞬で真顔になり、恭輔の視線から逃れるように星宮は俺の陰へと隠れる。
「待って! その反応はおかしくない!?」
「だってチャラ男の視線いやらしいから」
俺を盾にしたままぼそっと呟く星宮に恭輔はショックを隠せないようだ。
「チャラ男呼びはやめてやれ?」
さすがに恭輔が不憫で星宮にやんわりと注意するが、星宮は首を横に振るだけだった。
「大和、俺泣いてもいいかな」
「自業自得」
大和に縋り付く恭輔だがバッサリと切られる。
「なんで蓮司はよくて俺はダメなんだよ」
『普段の行い』
大和と星宮の声が綺麗に揃い、恭輔が崩れ落ちた。恭輔には悪いが普段からいろいろとやらかしているため、さすがにフォローはできない。
「やまくんめ、カラオケオールの仕返しのつもりか」
「仕返しなんて大層なもんじゃねぇよ。ちょっとしたお茶目さ」
「ぐぬぬ」
俺の陰から大和を睨む星宮だが、大和の余裕に満ちた返答に悔しそうに引き下がる。
「結衣は俺たちに何か話しがあったんじゃないのか?」
「そうそう! 蓮くんの衝撃発言のせいで忘れるとこだった!!」
大和の言葉にハッとした星宮が俺の陰から出てくる。
「蓮くんとやまくんは今度の日曜日空いてる?」
「俺は空いてるけど大和は?」
「俺も大丈夫だぞ」
「よし!」
俺と大和の返答にガッツポーズをする星宮。すっかり普段の調子に戻っている。
「でも、急にどうしたんだ?」
「楓ちゃんの親睦会をしようと思って。ほら、楓ちゃんって編入してきたばっかりで知り合いも少ないみたいだし。ちなみに桜詩ちゃんと彩ちゃんも参加するよ!」
星宮が俺たちのところに来た理由はわかったが、話しを聞く限りちょっとした疑問もある。
「そのメンバーならわざわざ俺たちまで誘わなくてもいいんじゃないか?」
「ダメだよ! 蓮くんがいないとこの前の件追及できないじゃん!!」
「さいですか」
俺は思わず「そっちが本命だろ」と言ってしまいたかったが、さすがにあれなので心の奥にしまっておくことにする。
「諦めてなかったのな」
大和もやる気に満ちた星宮の様子に若干呆れている。
「それって俺も参加していい!?」
そして星宮の『親睦会』という言葉に一番反応したのはさっき静かになった恭輔だった。
「えぇ……」
そんな目を輝かせる恭輔に対して星宮はまるでゴミでも見るかのような目でドン引きしている。
「蓮くんとやまくんしか誘ってないんだけど」
「そう言わずにさ、親睦会だろ? なら人数が多いに越したことはないじゃん?」
心底嫌そうにしている星宮に明るくそう言う恭輔のメンタルは一体何でできているのだろうか。
「俺が恭輔のことは監視しておく、それならどうだ?」
「それならまあ。でも、何かあったらすぐ追い出してね」
大和が恭輔の監視を申し出たことで、星宮は非常に不本意そうだが恭輔の参加を認めた。
「詳しいことはまたあとで連絡するから!」
『了解』
星宮は最後に一言そう言って自分がいたテーブルへと戻っていく。
「恭輔? 言っとくけど少しでも結衣たちに迷惑かけたら……わかってるよな?」
「わかってるわかってる」
大和が恭輔に釘を刺すも浮かれている恭輔にはあまり効果がないようだ。
「この様子だとすぐ追い出すことになるんじゃないか?」
「それも仕方ないだろ」
俺と大和はお互いに顔を見合せ肩を落とす。大きなトラブルが起きなければいいのだけど。
昼休みも終わりが近づき、俺たちはそれぞれの講義に向かう。
日曜日の親睦会に不安ばかりが募るが、まずは残りの講義を乗り切ることを考えよう。
午後の講義も全て桜詩と茅ヶ崎と被っており、男たちの嫉妬に満ちた視線に晒されることが確定しているのだから。
最後まで閲覧ありがとうございます。
次回は親睦会です!!




