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鳥衆  作者: 小早川お甘白
3/8

再戦(?)

 校庭を眺めながら、お弁当を食べるユウタ。

 あれから、明らかにみんなに避けられてる。

 当たり前か。みんなに人気の生徒会長をボコボコにしたんだから。

「わ……」

 不意に、足を蹴られる。

「すみません。ヒクイドリ君。彼女、無口なもので」

 灰色の髪の長身の女性。その隣に、ピンクの髪の小柄な女性。

「こんにちは。私はトキ・ユウカです。彼女はハシビロコウ・ユカリ」

「あ、あぁ……」

「彼女、『戦いたい』と言っています。どうしますか?」

「え、あ、いやいや。僕、その。戦いとか」

 やんわりと逃げようとしたら、ユカリが肩を掴む。

「やれ。ボケカス」

「え、ボケカス?」

 無理矢理、グラウンドの真ん中に連れてこられる。

「えー……いいんですか。ダチョウ君みたいに入院しても知りませんよ?」

「知るかボケ」

「分かりましたよ……せめて、峰打ちで」

 その時だった。

 ユウタはすぐさまユカリの足をかけ、倒れたユカリの首を掴む。

「お前の体幹、随分強いな。経験上、あぁ言うやつはひょいひょい避けまくって、疲れた隙を狙って猛撃を浴びせる……よく出来た戦術だが、どちらにしろ僕は倒せないな」

 ユウタは一つため息をつく。

「僕をボケカスか……礼とは言わんが、良いものを見せてやろう」

 ユウタは手を離すと、どこからトサカのようなものを取り出す。

「パワーヘッド。ヒクイドリ族に伝わる本来の戦闘力を引き出す道具……だが、僕の場合はどういうわけか、モードが3つあってね。最高のものを見せよう」

 ユウタはパワーヘッドを頭の上に着ける。

【パスワードプリーズ】

 パワーヘッドから声がする。

「マックス」

 ユウタは赤いオーラを纏う。

「やはり、これが一番だな」

 ユカリは翼を広げて、上空に飛び立つ。

(まずい……私がやられてしまう)

 ユウタは砂を手でいっぱい掴むと、ユカリに向けてフルスイングで投げる。

 ユカリは必死に避ける。

 ユウタの投げた砂の飛距離は、直線距離に変換すると約200メートル。

 ほとんどは100メートルに到達すると、風圧と衝撃でバラバラになってしまう。

「あ……」

 ユカリの目に、砂が当たり目が閉じる。

「うぁ、あ……」

 フラフラと滑空しながら落ちてくる。

 ユウタは、地上に着地する寸前で、サッカーボールのようにユカリを蹴り飛ばす。

 強烈に吹き飛び、奥の体育倉庫に背中を強く打ち付ける。

「いた……ぁ」

 ユカリは腰を押さえる。

「もう終わりか?でかい口を叩いておいて、その程度なのか」

「はー、はー……あ」

 立ちあがろうとしたが、背中の痛みでうずくまる。

(なに、こいつ……さっきの弱そうなヒクイドリはどこに行ったの……)

「立ち上がる強さ……それは讃えよう」

 ユウタはユカリに手を伸ばす。

「あ……ありがとう」

 手を取って立ち上がれると思いきや、強烈に投げ飛ばされる。

「だが、手加減はしない。愚かだな。僕に助けられると思ってるのか」

「…………」

 すると、ユウタはくるりと振り返る。

「オウギワシか」

「ヒクイドリ君。元に戻りなさい」

「元に戻る?強さか?人格か?強さならこれで元に戻ってるが?」

「もちろん、人格です」

「でも、僕はまだ暴れ足りない。この女が伸びてるからな」

 親指で、ユカリを指差す。

「それとも、オウギワシが相手するのか?3割未満の僕に勝てないオウギワシが?」

「……私も、また鍛え直しています。一筋縄では行かないと思いますけど?」

「でかい口だな。でかい口を叩く奴は大概負ける。最終的には泣いて命乞い。誰がお前なんかの命を奪うかって話だ」

 ユカリは2人の会話を聞く。

(なに……本当にヒクイドリが別人みたい)

「まぁ、これだけは出したいって技があったが」

 ユウタは人差し指を立てて、クルクルと回す。

 段々回す速さが上がり、範囲は狭くなる。

 そして、サキに向けて指を差した時、サキが4メートルほど強烈に吹き飛んだ。

「簡易式な空気砲だ。空気で空気を集め、圧縮させて爆発させる」

 サキに近づこうと足を進めるが、ハシビロコウはユウタの足に抱きつく。

「ん?」

「させない……」

「邪魔」

 顔を蹴って、無理矢理ユカリを剥がす。

「あ……」

 すると、頭を抱えたユウタがそこにはいた。

「あ〜〜〜〜どうしよー。お姉ちゃんのパワーヘッドが出てきて、女の子の顔を蹴っちゃったなんて……うぅ。怒られる」

 ユカリは呆気に取られる。

(え、ヒクイドリ・ユウタが……元に戻った)

 そして、ユウタはユカリに土下座をする。

「大変申し訳ありませんでした。治療費を払わせていただきます」

「え、いや……」

「ハシビロコウ!」

 ユウカが、ユカリに駆け寄る。

「大丈夫?」

「いや、背中が」

「あー。背中の骨もですか。なんでも言ってください。下僕でも何にでもなります」

「えー」

 いきなりそんなことを言われても、自分にはどうすることもできない。

「それより、あそこで伸びてるサキを……」

「オウギワシさん……あ」

 ユウタが見る先には、オウギワシと話している女子生徒。

「あ、お姉ちゃん……」

 すると、彼女は振り返ってユウタを見る。

「ゴルァ、ユウタ。女の子に傷作るなんて許されねぇからな。帰ったら覚えてろ」

 そう言って彼女は、ヒクイドリの脚力で校舎に戻って行った。

「あー。夕飯抜きとお菓子禁止……いや、僕が悪いんだけど」

「……ヒクイドリ。あの人は?」

 ユカリがユウタに話しかける。

「僕の、姉です。ヒクイドリ・アリアです……このパワーヘッド、いつ自分が使うか分からないので、姉に預けてたんですけど……使いどきになると出てきちゃうらしいです……」

「なるほど」

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