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5_僕は僕をナメクジと呼ぶ

 僕は僕をナメクジと呼ぶ



 低所得者向けのハイヴ(巣)に住み始めて大分経つ。僕の規定ソフトウェアも、まぁ、大分、低容量の低速度演算装置にあうようになってきた。まるでさ、でも、ナメクジだよね。僕らって。ずっとずっと、ハイヴ環境の窓から、なんかみてるだけだよ。僕は雨が好き。っていうか雨っていうものが古代にはあったらしいんだ。それで、雨とナメクジは関係しているそうなんだ。そういうわけで、僕はナメクジ。自分でもよくわからないけど。よくわかってないから低所得者なんだろ? そういうものだ。別につらくもない。クレジットを稼がなくても最低限生きていられるというのはやはり、慈悲というか、ただずっといろんな雨模様をみているだけで、満たされるしね。だからなんだか淡々とやってるよただ淡々と。たまにクレジットに余裕を作って、演算してこういう文章を書いたりしている。それをまあ投稿して、稼げたら? なんて思うけど、まぁまだわからない。インターネットもいまアクセス権がサスペンド状態だから。まあインターネットがあったら、ぎゃんぎゃんクレジットがすり減るから、良いんだけどね。ずっと雨をみて、ナメクジの様に。そして満たされていたら、クレジットがたまるから、そのクレジットで文章を書く。その繰り返し。まあ讃美歌を書いたり、返歌詩を書く低所得者向けのパートタイムジョブもあるんだけど、たるいからやってない。だから、みんなの慰みで生きているよ。演算装置を使う対価として何も差し出していないからね。この文章がそういうものになれば? なんて思っているけど、ナメクジの書いた文章を読むやつなんているのかな。でも良いよ。この暮らしも、本当に雨を見ているだけで落ち着くし、僕の環境の雨スクリーンはかなり安いからね。インターネットへのアクセス権がなくても見られるし。そういう意味では、僕だって恵まれている。今どきの時代恵まれていない奴なんているのか? こういうハイヴだって何もしなくても与えられる。そりゃクレジットをいっぱい持っている奴らよりはいい所ではないかもしれないけど、良いじゃないか。比較の問題じゃない。満足の問題だ。僕はハイヴでの生活に結構満足している。だからパートタイムもやらないし、雨をみているだけでいい。高価なものだって別にいくらあったって足りないだろう。そりゃ僕だって、演算装置の設計とかハード系の超上流工程の、トップクラスの仕事に憧れた時期もある。だけどもういいんだ。雨をみて、たまに文章を書く、友だちと話すクレジットも友だちを作るクレジットもない。でもいいんだ。無料の本も最近はいろんなお恵みのおかげで、充実してきたし、雨はやっぱり良いからね。なんか僕は音というのを経験したことがないけど、雨の音は経験してみたい気がする。あと、雨と涙の比喩というのが気になっている。それを古代人は雨を涙に、涙を雨に例える歌や表現をいっぱいしたらしいんだ。音が経験できないと、それを楽しめないし、いまの雨スクリーンだって音がないから安かったんだよね。それはやっぱり、クレジットを稼いで、自分の為に音を買いたいなと思う。なかなか難しい話でもあるけどね。まあ、今のハイヴでの生活には感謝したいよね。

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