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お昼の休憩を挟んで、さらに進んだところで目的の村に到着した。
「ここがアスコット村…」
アイリスの腕の中で黒いクマのぬいぐるみが門を見上げて呟いた。
休憩中にアイリスと入れ替わったカミラだ。
「立派な門だね」
馬車の窓から顔を覗かせるアイリスにセドリックが笑いかけた。
「アスコット村はもともと城塞村だったんだよ」
「そうなんだ、すごいねぇ」
馬車は外門をくぐり抜け、中央通りをまっすぐ進んだ。そして神殿の正面にゆっくりと停車する。そこへ修練生たちが駆け寄ってきた。
「本部より参りましたアイリスです。こちらの司祭様にご挨拶をしたいのですが…」
セドリックのエスコートを辿々しく受け、馬車から降りたアイリスが修練生達に話しかける。
「本部から知らせは届いております。どうぞこちらへ」
すでに神殿本部が早馬で知らせを送っていたようで、すぐに支部の司祭のもとへ案内された。
「ようこそアスコット村へ、聖女アイリス。私が司祭のノアでございます」
応接室でアスコット村の司祭ノアは穏やかに微笑んだ。
アイリスは頭を下げて、サイファから預かった書簡を手渡す。
「はじめまして、ノア様。大司祭様からこちらを預かっています。どうぞお受け取りください」
「失礼します」
受け取ったノアはざっと目を通すと静かに頷いた。
「神殿の見学と祭壇のご確認ですね。かしこまりました」
「ありがとうございます!」
アイリスが元気良く礼を告げると、ノアの目元が優しく緩む。
「その前に、お疲れでしょうからまずは少しお休みになってください。今、お茶をいれますね」
旅の疲れを労られてアイリスが目を瞬いた。まだ、夕刻だ。すぐにでも神殿の確認に入れると告げようと口を開きかけたとき、カミラの手がアイリスの腕を軽く叩いた。
「おまえが休まなければ、神殿の他の者も、護衛も休めないわよ」
アイリスがとっさに口をつぐむ。
背を向けて薬草茶を淹れていたノアが、くるりと振り返りそっとアイリスにカップを手渡した。
「宿を手配いたしましたので、後程ご案内しますね」
「あ、ありがとうございます」
アイリスは受け取ったお茶でほっと一息ついた。ノアの提案に従って神殿の案内は明日の朝からとなった。
「よろしければ村の方もお楽しみください。食べ物も美味しいんですよ」
宿を案内してくれた修練生は屈託のない笑顔で村の酒場の場所を教えてくれた。




