50-リリムとリリナ
こんにちは橘 弥鷺です。
元コンビニSVのダンジョン運営に、ご興味をいただきありがとうございます。
お読みいただければ幸いです。
尚、前作の完結しておりますSTRAIN HOLEもあわせて、是非、お読みいただければ、うれしく思います。
STRAIN HOLE
N6940GN
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アルトとアーリエは、ダンジョンコアと共に、ふたりの少女を保護し、25式のある入江へと戻ってきた。25式の下部ハッチから簡易ベッドを取り出し、ふたりの少女を寝かせ、アルトとアーリエはひと息つくと、アーリエはアルトに尋ねる。
「この娘たちは、人間の認識で良いのでしょうか? 」
「別の世界の…… って但し書きがつくだろうけどな」
アルトは、先程の計画書を読んで事実を知っている。実際には彼女たちは、人間によって作り出されたヒューマノイドの可能性が高いが、この世界で説明して、理解できる人間がいるか疑問である。下手すればホムンクルスやフランケシュタインのような、誤解を招きそうな世界だ。アーリエは、25式に備え付けの医療用魔法具で少女たちの体調をチェックしてみるが、この世界の人間同様の数値を表示されているからか、人間と疑っていないようだ。
「いきなり目覚めたから疲れているのですかね。起きたら事情を聞いてみましょう」
少女たちが意識を失う前に、ゼロニと名乗る水色と毛先がピンクのグラデーションになる髪色の少女は「ゼロイチ、ディープラーニングモードへと移行し、現状の適正化を図る」と、もう一人のピンクと毛先が水色のグラデーションの髪色のゼロイチに言っていたので、その言葉通りであれば、おそらくこの世界に適応するためのシステム更新を行っているのだろう。アルトもすでに理解が追いついていないが、そもそも異世界から来ているので、自分の常識が通用しないことを理解しているので、困惑もない。アーリエもいつもの凛々しさよりも、ふたりの少女を看病する姿は甲斐甲斐しく、優しい穏やかな表情を浮かべている。その様子をなんとなく眺めていたアルトの視界の端が明滅し、意識を向ければ、本部通達の文字が主張しており、そこに意識を向ければ、新しい内容が送られている。
"アルトは、期待どおり頑張ってくれてるから、約束どおり、助っ人を用意しました。
もう、接触したみたいだから、後は面倒を見てやってください。元の世界では活躍できなかったのと、開発者は、彼女たちに幸せになってほしいと思っていたみたいだから、友人や妹のように可愛がってあげてください。ほぼ、人間として扱って問題ないです。それにアルトの役にたつのは、オレのお墨付きです。
ホリーホックより"
「ホリーホックめ! だったら先に連絡をよこせ! 」
アルトになる前の精神をこの世界に送り込んだ張本人である。神の代理もしくは、多忙な神に代わって管理する短期バイトのような存在、ホリーホック。何かするのであれば、事前情報くらい連絡するのが常識だろと、指導してやりたいアルトだ。ホリーホックの提供であれば、余計な心配だったり、無駄な懸念をする必要もなかったのだ。今度、ホリーホックに会うことがあれば、元日本人として、社会人として報連相の大切さを植えつけなければと、心に誓うアルトであったが、そのすぐそばで、呑気にあくびが聞こえて、少女らしいかん高い声が口を開いた。
「ディープラーニングモード終了! これはこれは完コピした世界だね~♪ 」
「人であれば神や創造主と言ってしまうような存在の所業だ。いや、我々が知る人間の文明を超越した上位文明を持つ人類と言った方が、科学的ではあるかな。その上位存在の技術によって、作られた装置であれば容易いのだろうな。はじめましてマスター」
その一方で、かん高い声ではあるものの、落ち着きはらんだ、少女とは思えないまるで、壮年の学者や武人のような口調の声が続く。ふたりの枕元に座っていたアーリエが声をかける。
「はじめまして、わたくしは、アーリエ・リッター・アードリゲと申します。お名前をお伺いしても」
「キャー♪ かわいい! アーリエちゃんはプリンセスだったんだよね! 本物のプリンセスはじめて~♪ リリはリリムね♪」
ピンクの髪色の少女は、リリムと名乗った。そこへもう一人の少女がとがめるように声をかける。
「リリム、目覚めて浮かれているのは理解するが、少々度が過ぎるぞ! アードリゲ少尉殿リリムが失礼を、わたしはリリナも申します。お見知りおきを」
アーリエは苦笑を浮かべながら返答する。
「べ、別に失礼とかは思っておりませんよ。わたしのことは、アーリエと呼んでください。リリナこちらこそよろしくお願いいたします。リリムもよろしくお願いいたしますね」
「うん! アーリエちゃんよろしく~♪ 」
「まったくリリムは…… ところでマスターもお名前をお伺いしても? ふたつお名前をお持ちのようで」
リリナがアルトに向き直り尋ねる。リリナは、意味ありげにアルトへと視線を向ける。アルトが少し目を見開いてから、軽く息を吐いて返答する。
「オレはアルト・ノエルだ。そのマスターはやめてくれ、オレのことはアルトでいいから」
「わかりました。アルト様」
リリナがアルトに気をつかってなのか、そうするようにプログラムされているのかはわからないが、様のような敬称など仰々しくてこそばゆい。
「様もいらないな」
「りょーかい! アルト! 仲良くしようね♪ 」
「様から一気に呼び捨てか」
元日本人が出てしまった。様は不要だが、十代半ばに見える少女に呼び捨てはちょっとイラっとする。さんとかくんとかつけても良い気はするが、この世界にその感覚はないようなのでアルトが折れるしかない。アルトは気を取り直して口を開く。
「ふたりが目を覚ましたからダンジョンを出る。詳しい話は後でだ」
「異世界の街だ~♪ 」
まだ謎が多いリリナとリリムだが、アルトはホリーホックが、助っ人として送り込んだ並行世界のアンドロイドとわかっているので抵抗がないのだが、いろいろと極端な少女ふたりを連れて街へと帰ることとなった。
お読みいただきありがとうございます。
次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。
前作のSTRAIN HOLEも何卒よろしくお願いいたします。
N6940GN
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