39-緊急招集
こんにちは橘 弥鷺です。
元コンビニSVのダンジョン運営に、ご興味をいただきありがとうございます。
お読みいただければ幸いです。
尚、前作の完結しておりますSTRAIN HOLEもあわせて、是非、お読みいただければ、うれしく思います。
STRAIN HOLE
N6940GN
https://ncode.syosetu.com/n6940gn/
デイルはルイガノの指示にしたがって、階段を駆けおり、2階のオフィスへと向かった。アリエテからも指示のあったタンクオペレーターを探さなければならない。受付嬢にもうひとりいるが、彼女は今日は休みだし、正直技量もイマイチなので先行出動するならベテランが望ましいが、経理課のベテランタンクオペレーターも、今日は休みとのことだった。そのまま同じ階にある食堂へと向かうが、タンクオペレーターは誰もおらず、デイルは小さく息を吐いて独り言を呟いた。
「緊急招集だから皆遅れてなら来るから良いかしら? 」
とは言え、機甲部隊長のアリエテとルイガノの指示だ。機甲部隊副長のデイルとしても、性格的にもそこで手を抜くつもりもそもそもないのだが、急を要する時に手間はかけたくないし、必ずオペレーターの半分は、出勤しているはずなのだが、間が悪い。仕方なく経理部の隣の人事部へと足を運び、今日出勤のオペレーターの確認向かい、近場にいた人事部の職員へと声をかける。
「緊急招集の件は把握してますか? 」
「あら、デイルさん。こちらでも把握してますよ」
「出勤しているオペレーターで館内にいる職員はいますか? 」
「そうね~ この時間は外に出ている人が多いわよねぇ、直接向かっている人も多いかもしれないわね」
人事部の職員が出勤しているオペレーターの確認をしている。
「いたいた、新人の娘だけど、ひとりまだいるようね。装具課に所属してるわね」
「ありがとうございます! 」
デイルは、すぐに部屋を飛び出し、1階の装具課へと向かう。装具課は探索者からの装備品の補修や依頼で必要になる装備品を貸出する部署である。デイルも記憶をたどれば、前回初陣をした新人がいたなと思い、自分が認識する以上に焦っていることを理解する。装具課に入るとすぐに声をかける。
「マリー・オリビアはいますか? 」
「デデ、デイルさんじゃないですか…… オリビアは奥で作業を…… 」
装具課の男性が鼻の下を伸ばしてデイルに声をかける。デイルは男性を軽くあしらい奥へと進む。
「マリーちゃん緊急招集は聞いてないの? 」
「デイル副長…… はい、だからこれを終わらせたらと思って…… 」
マリー・オリビアは、碧眼を手に持った補修中の剣に向けながら、茶色の三つ編みのお下げを揺らしつつ、作業の手を止めずに答えると、デイルはマリーの周囲を見渡す。明らかにすぐに終わるような量ではない、武器や武具がマリー周囲に山積みに置かれている。
「タンクオペレーターの緊急招集は最優先になります。それは各課長も把握しているから問題ありません。行きますよ! 」
「え、ああ、はい」
デイルはマリーの手を掴み立ち上がらせ、引きずらんばかりに連れ出そうと、装具課の部屋を出ようとした時に、デイルから隠れるようにしていた装具課の課長が視界に入った。デイルは笑みを深めて装具課全員に聞こえるように口を開いた。
「装具課課長はご不在ですか? では、皆さんにもご忠告です。タンクオペレーターの招集は、最優先になることは、ワールドトレック探索者組合職員なら新人でも分かっている程度のことです。もし、彼女自身が優先順位を間違えているならば、彼女のこちらでの職務を肩代わりするのも皆さんの職務です。以後、ご承知おきを」
マリーは、手先がかなり器用な為に、装具課へと配属された。装具課でも重宝されていたようなのだが、他職員の数倍は、仕事量をこなしているのが、他部署のデイルにすら、わかるほどに、他の職員が暇そうにしていたのだ。
「いや、これはたまたまでして…… 」
先程、デイルに鼻の下を伸ばしていた男性職員が、少し青ざめた表情でデイルに返答するが、デイルは笑みは冷ややかで、目が笑っていない。ワールドトレック探索者組合職員内で囁かれているローカルルールでは、敵にしてはいけない職員ランキングがあり、物理的に危険なのがアルト、権力を振りかざすのがマーク元理事、精神的に追い込まれるのがデイルと言われている。マークが先日理事を辞任したことで喜ぶ職員が多かったが、アルトとデイルは基本人間的には悪い人間でないことは、職員全員が周知しているが、デイルは特に多くの職員に慕われており、その美貌も相まって、デイルに嫌われることを望まない人間は多い。
「では、わたしのかわいい後輩が職務を優先できるように配慮いただけますことを願うばかりですわ。たまには様子を見学しに伺います」
「それはもちろん! 」
「後は、オレが! 」
「こっちはオレが! 」
「オレはこれとこれも! 」
デイルがそう言うと、半ばマリーに押しつけてサボろうとしていた装具課の職員たちは、競うかのようにマリーの残していた仕事を自分が請け負う武具を手に抱えた。少しでもデイルに気に入られたいと見え見えの行動だが、デイルはこれでマリーが仕事がしやすくなることを確信する。デイルがマリー従い部屋を出るとマリーが口を開く。
「副長ありがとうございます」
「自分でも職務の優先順位を主張できれば良いのだけれど…… そうもいかないわね。何か困ったことがあれば、わたしのところに相談に来なさい。隣の受付課にいるから、なんならこれからはランチも一緒にね」
「あ、ありがとうございます」
マリーは、そばかすのある顔をほころばせて笑う。マリーの装具課での扱いが悪くならないよう、デイルの庇護下にあることが周囲に分かれば、そうそうマリーを悪く扱うような職員はいない。デイルは自分から人を陥れるようなことはしないのが、周囲が自分の能力と美貌を高く評価していることを理解している。だから、それを受け入れ上手く立ち回る術を知っている。正直に言えば、周囲が勝手にそうしてくれるなら楽で良いのだが、自分の上司はまったくそうならないのが面白くない。一番自分を見てほしい相手には周りが思うほどには、この外見も役に立たないので、デイルは傲慢にも高飛車にもなれない。
「このまま準備したら事故現場に向かいます」
「装甲車は? 」
「メカニックの方たちがこちらに移送してくれているからそちらに搭乗します」
「りょ、了解です! 」
デイルとマリーは更衣室へと向かった。
お読みいただきありがとうございます。
次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。
前作のSTRAIN HOLEも何卒よろしくお願いいたします。
N6940GN
https://ncode.syosetu.com/n6940gn/
いいね、ブックマーク、評価、感想、レビュー何かひとつでもちょうだいいただければ、励みとなりますのでよろしくお願いいたします。
ぜひ、下の☆印にて評価してただければ幸いです。




