36-25式高機動戦闘車
こんにちは橘 弥鷺です。
元コンビニSVのダンジョン運営に、ご興味をいただきありがとうございます。
お読みいただければ幸いです。
尚、前作の完結しておりますSTRAIN HOLEもあわせて、是非、お読みいただければ、うれしく思います。
STRAIN HOLE
N6940GN
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アルトとミーナは、唯一この街の地上区画である1階層の郊外へと訪れていた。目の前には下界と街を分断する城壁がぐるりと街を囲っている。ダンジョンコアの力によって、結界のようなもので分断されているのだが、保険の意味で城壁も作られている。下界へと探索に向かう者は、この城壁にいくつかある門より下界へと向かうのだが、その門は、人が通るに不必要なほどに大きく作られており、さらに門周辺には倉庫のような簡素な建物が軒を連ねており、倉庫前と門周辺の通りも道幅が広く作られている。ダンジョンコアの影響を受ける直径約5キロの範囲内の居住地とする街にしては、必要以上にもうけられ優に20メートルを超える幅の道路は、閑散としている今は、マーケットや住宅地のところ狭しと軒を連ねる景観とはあまりにもかけ離れている。しかし、この周囲の道路が余裕をもって作られているには、ふたつの理由がある。ひとつは、通常、探索者は所属の探索者組合からの依頼で探索を個人やグループで行うのだが、定期的に組合主催で探索者合同で行う。大がかりな上に人も多く動員する合同探索には、組合が所有する装輪装甲車や駐留軍のそれが随伴する。個人レベルでダンジョンが発見されることは、希であり、探索者の日々の仕事は、この合同探索を行う為の準備を依頼されている。驚異となるモンスターの生息域や地形の把握などが主な仕事になる。その移動手段の装輪装甲車の製造、整備がこの周囲で行われている為に道路が広く作られている。もうひとつは、ダンジョンコアの結界が何かしらの理由で破壊された場合の第2防衛戦として、この通りに新たなバリケードを設置して、モンスターの街への進入を防ぐ為の防衛陣地となる。その一角にあるガレージへとミーナが入り、両手を口元に持っていきガレージ内に声をかける。
「こんにちはー! アリエテさんいるー? 」
「こっちだ。上がってきてくれないかー 」
ミーナの少女特有の鈴のような高音の声音への返答は、女性としては低く、男性としては高い声音だった。ミーナは、一度アルトを見てからガレージの角にある階段を駆け上がり、アルトもミーナの後を追い2階に上がると、大人の男性がふたりは寝れるような広い作業台に図面を広げる女性の後姿が目に入り、ミーナが改めて声をかける
「アリエテさんこんにちは、アルトに用があるんでしょ? 一緒に来たよ」
「ミーナ久しぶりだな。アルトも、ケガは、もう良いのか? 」
「アリエテ心配かけたな、大丈夫だ。で、わざわざオレが来ないといけない理由は?」
アリエテは、肩をすくめ苦笑し、半眼でアルトを見据えて返答する。
「ご挨拶だな。お前が対高ランクモンスター戦闘車両がほしいと言うから、わたしが有効性を提唱した上で、うちのいろいろな部署を説き伏せ、やっと実用化の目処がたったんだぞ」
アリエテのフルネームは、アリエテ・フィアットと言い、ワールドトレック探索者組合に所属する一方で、装甲車など機甲兵器開発の第一人者を祖父に持ち、現在もロールス共和国の防衛を担う軍事企業令嬢であるのだが、令嬢とは思えぬ口調と、女性としては長身の170センチに、褐色の肌とオレンジに近い茶色の髪にととなった顔立ちをしている。今は、機械油まみれの作業着に身を包んでいるから、どう見ても令嬢には見えない。
「天才技術者のじいさんに並ぶ逸材って言われているアリエテに任せれば、なんとかなると思ってるからな、で、できたのか? 」
「言ってくれる…… まぁ見てくれ、こっちだ」
「この図面がそうなのか? 」
アルトは、アリエテが作業台に広げている図面に目を落として図面を見ると、アリエテは首を横に振り返答する。
「それは別物だ。まぁそれも戦闘力優先の車両だが、もう少し時間が必要だからな、アルトに見せたい車両は、この先のハンガーにある見て驚くなよ! 」
アリエテが手をヒラヒラさせもう片方の手を奥の扉にかける。その表情は、ニマニマとサプライズを友人にしようとして、表情でバレてしまっているような感じで、アルトが納得する事を確信しているようだ。アルトとミーナがアリエテの開けたドアの中へ入り、キャットウォークを進み、キャットウォークが交差するところで、アリエテが両手を広げ声高々にアルトへと声をかける。
「アルトこれが新型装甲車の25式高機動戦闘車だ! 」
アリエテが戦闘車と言っていたので、アルトは装輪装甲車をイメージしていたのだが、アリエテが新たに開発したのは、巨大なバギーだ。バギーと言っても現実的なモノではなく、ラジコンなどであるような、近未来的なデザインのあれだ。戦闘機の機体に巨大なタイヤをつけたような形状で、おそらく武装なのであろう突起物が後方に見える。アリエテが話を続けるが、その目が輝きの色が変わる。
「最新技術をふんだん使ってるぞ~。まず、新型エアポンプターボコンプレッサーエンジンで馬力は申し分なし! ジャイロシャーシを採用してまず転倒しない。さらにコクピットはハイドロコントロールの荷重移動で旋回できるから戦闘時は回避は自身の荷重移動で攻撃に専念できるんだぞ! しかもだ。メインアームの魔砲は、斬雷と斬風に下界だから使用できる烈火の3種を弾種変更切り替え可能なキャノンが一門と速射可能な二丁のガトリングで、さらにサブアームはいろいろあるぞぉ武装は換装可能だから好みで変えられる。どうだ驚いたろう? 」
アリエテが息つく暇もなく、それこそマシンガンのように説明しはじめたので、アルトは、ちょっと身を引きたい気分になるが、キャットウォークの幅は、そこまで広くないことに気がつき苦笑する。アリエテが開発した25式高機動戦闘車は全長8m、全高3.2m、全幅3.0mの大きなバギーだ。バギーとしては大きいが、戦車や戦闘車と言われる部類のサイズに類似している。アルトは感想を聞かれてもなんて返して良いのか返答に困る、下手に何か言えば先ほどのマシンガンのような説明が続くと思うとイヤな汗がにじみ、ギラギラした視線で、アルトを凝視するアリエテにとりあえず。
「す、すごいのはなんとなくわかった…… 」
お読みいただきありがとうございます。
次話も引き続きお楽しみいただければ幸いです。
前作のSTRAIN HOLEも何卒よろしくお願いいたします。
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