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次の日、山の端っこのわたしが開けた空洞の中に、みんなで行くことになった。お婆様とティオ、ネオはフィーナとお留守番だ。
洞窟に入るような準備をしたらしく、ランタンやロープ、山登り用のごつい靴も履いた。西の川に辿り着くと、ベリーはまだ残っているのが見えた。
「西の川は久しぶりに来たな。」
「お父様、あそこにベリーが生っていたのです。」
「あら、本当赤い実が見えるな。」
そのまま、みんなでベリーの木まで歩いていく。リッシャが先頭を行く。
「旦那様、ここです。」
わたしが岩盤を切り取った場所に辿り着いた。入口に戻した岩盤をわたしのインベントリに収納する。奥は深そうで、光が入った場所は、ごつごつしているように見える。
「結構、深いな。リッシャが入らずに戻ってきたのは正解だ。これは準備がいる。」
「旦那様、灯りを持って俺が先に行きます。」
「旦那様、害獣がいたらわたしが狩りますので、わたしが続きます。」
「ディア大丈夫か。」
「リッシャとはいつも山狩りを一緒にしているので、息が合うので大丈夫です。」
「わしも次に入りたい。」
「父さん!気をつけてくださいよ。」
「ジェマはわたしと一緒に行こう。最後はハンスよろしく頼む。」
1歩、空洞の中に入ると中は広い空間になっていた。鍾乳洞っぽい?こんな近場にこんな場所があったなんて、探索で反応していなかったら、知らないままだった。
自然の多い田舎の領地だと思っていたけど、思いがけない発見だ。
奥の方から声が聞こえる。リッシャの声だ。
「水晶があった!!!」
「おお、ジェマ急ごう。」
お父様が速足になって、わたしも小走りで洞窟内を掛けていく。後ろからハンスが走ると危ないですよと注意の声がするが、水晶だよ。水晶。心が逸る。
少し奥に行くとぱっと目の前が開ける。広いホールみたいな場所に着いた。そこは壁面全部地面からも天井からも水晶が飛び出している幻想的な風景だった。素敵。本物の水晶だ。物凄いパワーみたいなものを感じる。足元からびりびりとしびれるような気すらする。
水晶が生えている洞窟に足を踏み込んだ経験なんて初めてなのに、どこか懐かしい気持ちすら感じた。ああ、ここは凄いところだ。前世ミネラルショーや石の博覧会に足を運んだことはあったけど、それとはまた違う天然のパワーみたいなものを感じる。大地のエネルギーなのかな。前世は霊感ゼロだったけど、今は『鉱物好物』のスキルのせいか、石を感じる力があるせいだろう。水晶のパワーが凄いのに優しい。体の隅々まで浄化されているような気がする。
お父様を初め、最初に見つけたリッシャもお爺様もお母様もハンスまでも口を開けてぽかんと水晶を見ている。
壁の苔が光っていて、水晶もうっすら光って見える。みんなが持っているランタンの光にも反射して、とても幻想的だ。
「お父様、お婆様とティオとネオにお土産に水晶を採っても良いですか?端っこの目立たないところにしますから。」
「ああ、これは王宮報告だね。端っこなら大丈夫か。王宮の人が確認に来るだろうから、あまり目立たないわからないところにして欲しい。ああ、でも、立派だね。」
「わしも初めて見た。グリーにもこの風景を見せてやりたいな。」
「お婆様にお見せするなら、足元を整えた方がいいですね。少し歩きにくいです。後、ランプの光だけじゃ、少し暗いです。」
「そうだな。足元を少し整えて、光の魔法が使えるやつを手配するか。でも、ろうそくの光だけなのに、それ以上に明るく感じるな。水晶の力なのか。地面や壁の苔がちょっと光っているか?」
「お義父様、地面と壁の苔は、ヒカリゴケですね。洞窟に生息していることが多いのです。それにしても、美しいわ。うちの領地にこんな素敵なものがあっただなんて。圧倒されるわね。」
大人たちが水晶を絶賛しているうちに、すみっこの方の目立たない位置の水晶をいくつか採掘する。少し自分用にも採っておく。少しだからいいだろう。それらを収納するとどんどん興奮が高まってくる、この水晶パワー。これだけの水晶。前世では鍾乳洞に修学旅行で入ったことがあったけど、あれより凄い。だって、広間が全部水晶なんだよ!!水晶パワーに少し当てられてまま高いテンションで家に着いた。
あ、洞窟の入り口はそのままだと危険なので、また、わたしが岩石から入口用に切り取ったものを運搬して入り口を隠した。運搬のスキルを持っている人じゃないと岩石の入り口は動かせないと思う。これで一安心。
「お婆様、ティオ、ネオ、ただいま!!」
「ジェマはいつも元気ですね。おかえりなさい。」
「姉さまー。おかえりなさい。」
「ねえたま!!」
駆けて来てくれた弟2人をぎゅっと抱きしめる。ああ、癒される。わたしのことをただただ慕ってくれて駆け寄ってくれる2人は、なんて可愛いんだろう。抱きしめた手の中でむぎゅむぎゅと身動きする動きすら可愛い。尊い!前世推しがいないまま、誰かに心奪われることなく、1人で平坦に生きてきたけど、これが推し!これが胸の高鳴り!新たな経験である。
「グリー、水晶があったぞ。足元を整備させるから、お前にも見せたい。とても神秘的で幻想的でとても綺麗だったからな。」
「まぁ旦那様。水晶ですか。それはわたくしも見たいですわ。」
「お婆様、これお土産!ティオとネオにもあるの。」
わたしは収納から手のひらに乗るぐらいの水晶のポインターを3個取り出した。高さ10センチぐらい太さは3センチぐらいかな。でも透き通っていてかなり綺麗。
「落としたら割れるから気をつけてね。」
お婆様もティオもネオも大喜びだ。ティオは大事に両手に持ってしみじみ眺めているし、ネオは片手に持って天井に着きあげてきらきらしているのを見ている。水晶は綺麗だものね。ティオとネオの水晶はこっそり硬化させておいたから、本当は落としても割れたりしない。でも、やっぱり大事に扱って欲しいものね。お婆様は水晶を鑑定しているようだ。
「厄除け、浄化と出ていますね。凶悪な害獣がうちの領地に少ないのは、この水晶が存在していたからかもしれないですね。」
「水晶は銅鉱脈と一緒に王宮に報告してくる。報告後は採りすぎないようにしないとな。」
「王宮への報告はわしが行くぞ。わしが鉱山の管理のため見つけたことにする。王宮に知り合いも多い。ハンスと2人で行ってくる。先触れの手紙を出しておいてくれ。」
ここは辺境の田舎の村だ。王都にある王宮まで馬車で片道5日かかる。報告して戻ってくるまで二週間ぐらいかかるだろう。
ちなみにわたしは王都に行ったことはない。というのか、この村から出たことないよね。この村が大好きだから7歳のわたしはここから出ていくことを考えたこともなかったけど、前世思い出したわたしは、王都にもいつか行ってみたいな。この村の中にいる限り異世界転生したっていう気がまったくしない。長閑な田舎なんだもの。でも、家族が全員美形で優しいというのは確かに異世界だけど!!




