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大人たちはしばらく銅関連で忙しいみたいだった。
わたしはその間、3回ぐらい西の川に行き、翡翠の原石を追加で見つけて収納しティオとネオと一緒にクレソンを採取したり、近場の森でハーブを探した、ミントにカモミールにネトル、ワイルドガーリック、タイム、セージ、マジョラム、レモンバームを見つけた!!
それらを使って、マルタに美味しい料理を作ってもらったりしていた。シチューの味に奥行ができたり、ただ焼くだけの肉が美味しくなってきたりした。やったー!少しは改革できたかな。
もちろん、ハーブはわたしには鑑定できないので、手当たり次第採ってきて、お婆様に鑑定してもらっている。お婆様は呆れながらも美味しいご飯のために協力してくれた。ありがとう。お婆様!
何度も川に行って翡翠の在庫も結構貯まった。翡翠もいいけど、そろそろ水晶が欲しいな。川に行くたびに、黒々した黒曜石や、大理石も拾って収納している。ここで透明か半透明の石が欲しい。
西の川でいつもどおり、ティオとネオとフィーナとリッシャがいるんだけど、わたしは川から出て、透明か半透明の石が欲しいと『鉱物の探索』を使ってみた。ちょっと先に行ったところに、反応がある。勝手に行けば、リッシャに怒られるだろう。どうしよ。
川で足を濡らしながらきゃっきゃと遊んでいるティオとネオがこっちを見て、姉さまーと手を振ってくれている。可愛い!!しっかりこの目で可愛さを焼き付けておかないと、あ、何を悩んでいたっけ?そ、そう、透明か半透明の鉱物だ。近くにはある。川から少し離れないといけないけど。
んー。反応のする方をじっと見ていると、赤い実が見える。あれ、ベリーじゃないか。ラズベリーは初夏だけど、あれは早咲きのベリーかな。こんなところにあるなんて、気づかなかった。ベリーがあれば、お肉にソースが作れる。塩だけじゃない味変だ!
「フィーナ!リッシャ!あっちにベリーがあるから、ちょっと取りに行ってくる!!」
「お嬢様、お待ちください。お一人で絶対に動かないでください!」
あー。リッシャに止められてしまった・・・。ティオやネオも川から上がってきた。フィーナが2人の足を拭いている。
「姉さま、ベリーってどんなのですか?」
「ほら、あそこに赤い実が見えない?」
「あ、確かにありますね。全員で行きましょう。」
川から少し坂道になった先にベリーはかなりの広範囲に自生していたみたいだ。わさわさと葉が茂り、赤い実がたくさん葉に隠れながら見える。
「葉っぱが広くてぎざぎざしていますね。確かにベリーです。ひとつわたしが食べてみますから、誰も採ってはダメですよ。」
リッシャに止められ待ちの状態。ティオもネオも興味津々だ。
「あ、これ美味しいですね。確かにベリーです。摘んでも良いでしょう、お土産に持って帰りましょう。」
リッシャのお許しが出たので、みんなで採ろう。ティオとネオは採っては口に運んで食べている。
「おいしいです。」
「おいちい。」
2人で目のつくベリーを一生懸命食べているけど、食べすぎ注意だよ。ああ、でもいつもの食事に甘味はないものね。これだけ甘いベリー美味しいね。わたしも摘んで食べたり、河原で拾った大理石をお椀に加工して、その中に入れていく。
フィーナにも催促されたので、同じお椀をもう一つ作ってみた。ティオとネオは指と口がベリーの色で染まってしまったので、フィーナと一緒に川に戻って洗うことにした。
わたしはリッシャと一緒にベリーを追って奥に足を進める。探索が反応したのはこの更に奥だ。
リッシャに、探索で反応が出ていることを正直に伝えると、しばらく思案していたけど、フィーナにそこでちょっと待っていてと声掛けして、2人で奥に進むことにした。目の前に壁が見える、ん?少し背の高いベリーの木の向こうは山の端が立ちふさがっているようだ。川の近くだからか陰だからか、なんだか濡れているような山肌。苔やシダの下には石英っぽい岩肌が見える。それにところどころに水晶っぽい何かが見える。
反応はこの先なんだけどな。あ、そうだ。壁に手をつける。反応は確かにこの奥。
『鉱物の硬化』『鉱物の切り出し』
山の端を崩れないように硬化して、人が通れるぐらいに穴を開けてみたら、どんぴしゃだ。切り取った岩盤の向こうは空洞になっている。
リッシャが、勝手に入るなと牽制する。確かに危ないか。
薪もろうそくの入ったランタンもロープも何も持ってきていなかったから、再度出直しすることになった。空洞は結構奥深く見えたから、何の準備も出来ていないのに足を踏み込むのは危険だと判断された。残念。でも仕方ないね。切り取った入り口に、切り取った岩盤を戻して入り口をふさぐ。勝手に村の子どもが入っても危ないからね。
家に戻って、マルタにベリーを渡し、ソースのレシピを教える。ベリーと白ワインとはちみつと炒めた玉ねぎとタイムを使えば、お肉料理にぴったりのソースになるはずだ。前世で一人暮らしの時、給与が出た時など少しかっこつけてかっこいい料理を作りたいといろいろ試していたことがこんなところで活用できるとは。人生何が役立つかわからないね。タイムはこの前ハーブを探した時に見つけておいたものだ。摘んできた指先にいい香りが残っている。
後はマルタのセンスで仕上げて欲しい。
銅鉱脈に付きっ切りの大人たちが家に帰ってきたので、玄関までお出迎えしにいき、今日の出来事を相談してみた。
「お父様、今日西の川に行った時に、早咲きのベリーを見つけたので摘んできたのですが、そのベリーの先に、山の端っこがあって、その奥にわたしが欲しい石の反応がありました。探しにいって良いですか?」
「ジェマ、ちょっとよくわからない。」
「旦那様、わたしからよろしいですか。」
「ああ。リッシャか、今日も子どもたちの護衛をしてくれたんだな。それでジェマの言うことは?」
「はい。ベリーを摘むところまではご理解できたと思われます。その先ですが、山の端に欲しい石の反応があると言うことで、お嬢様が、山の岩石を硬化させ、崩れないようにしてから、その一部を切り出し入口を開けられました。岩石をくり抜いた先は空洞となっており、何の準備もしていなかったので、今日は戻ってきました。空洞から少しひんやりした風が出てきたような気がしました。何があるかわかりませんので、確認しに行く時はそれなりの準備が必要です。」
「そうか、山の空洞か。欲しい石。ジェマ何の石が欲しいと探索したのだ?」
「お父様、水晶が欲しいと願いました!」
「なっ!何!!水晶か。この領地に水晶があるかもしれないのか!」
お爺様もお父様もひどく驚かれた顔をされたけど、水晶って凄いんだろうか。こっちがびっくりしてしまう。
「水晶だと。それは本当か。」
「いえ、まだわかりません。今は空洞があるのがわかっただけです。」
「でも、ジェマの探索の反応はあったのだな。」
お爺様の問いに圧があったので、うんうんと声無く高速で頷く。
「銅の時と同じであれば、存在する可能性は高いな。」
「水晶が採れたら、その規模にもよりますが、王宮へ報告しないといけないかもしれませんね。」
オットーが冷静に応えている。へー。水晶って王宮案件なんだ。へー。勝手に見つけてごめんなさい?なの?
「ああ、銅鉱脈のこともあるし、一度報告に行った方がいいかもしれないな。」
「わしが、鉱山の定期点検を行って、見つけたことにしろ。」
「ああ、父さんが見つけたことにするよ。それにしても、銅鉱脈に水晶か。ジェマの『石好き』は本当に石について効果が凄いな。」
「よし、明日、わしがそこへ行ってみる。」
「父さん、わたしも行きますよ。」
「あら、わたしも連れて行ってください。もしかしたら害獣が住み着いているかもしれませんし。」
「そうだな。皆で行こうか。」
やっと緊張が解けてにっこり笑うお爺様に今度もわたしは高速で頷く。
「お婆様、綺麗な水晶が見つかったらお土産に持って帰りますね。」
「ええ、わたくしは楽しみに待っていますわ。」
「ティオとネオもお留守番していてね。フィーナにお願いしておくからね。」
「はい。わかりました。行きたいけど我慢します。」
「ネオもにいさまとおるしばんします。」
2人ともいい子だねー。可愛い。可愛い。ハグしておこう。ティオとネオを交代で抱きしめる。2人とも抱きしめ返してくれるから可愛い。あー癒される。
明日の流れがだいたい決まったので、皆夕食への準備をしに部屋に戻っていった。
はぁ今日はお肉が楽しみだ。マルタ美味しくソース作れたかな。
夕食の席で、野菜のスープとお母様が数日前に狩ってきた鹿の肉のソテーが出てきた。マルタも一緒に出てきた。
「ジェマお嬢様、お嬢様のおっしゃるとおりソースとやらを作ってみましたので、味見をしてもらえないですか?」
「ええ、その出来た試作のソースを少し下さい。」
マルタから、綺麗な赤いソースを受け取って、少し舐めてみる。いい。美味しい。いいよ!これ!!
「どうですか?」
「マルタ天才!凄いよ!物凄く美味しい。ソテーに掛けてね。」
ということで、鹿肉のソテーにマルタ試作のソースが掛けられた。わたしは、ソースがかかったお肉をぱくりと食べた。美味しい。前世を思い出してから初めて塩以外の味だ。わたしが美味しそうに食べたので、お爺様やお婆様、お父様にお母様、ティオもネオも恐る恐る口にしてみたところ、皆、顔がぱあああっと明るくなった。
「こ、これは旨いな。初めて食べる味だ。」
「あら、昔、子爵家で食べたことがあるかもしれません。とても美味しいです。」
「このソースはジェマが考えたのかい?」
「はい!今日ベリーを食べていて、この甘さと酸味をお肉にかけたら美味しいだろうなって思って、マルタに作ってもらいました!マルタとても美味しいです。わたしのいい加減なイメージからこんなに美味しいソースにしてくれて、ありがとう。」
「いえいえ、お嬢様にお願いされて、こんなに美味しくなってびっくりしました。少しの工夫で美味しくなるものですね。」
「また、思いついたらお願いするからマルタよろしくね。」
「ジェマ、あんまりマルタの仕事を邪魔をしてはダメよ。でも、今日の鹿肉はとっても美味しくなったわ。」
「姉さま、本当に美味しいです。ベリーは一緒に食べたのに、僕は思いつかなかったです。」
「ティオ、姉さまは食いしん坊だから思いついたのよ!」
「ははは、確かに、ジェマは食いしん坊だね。」
美味しいお肉を口にしながら、食いしん坊だと宣言した言葉を聞いて、家族みんなで笑顔になった。こう宣言しておけば、食事の改善も少しずつできるかもしれない。少しずつ頑張ろう。ネオがフィーナに補助されながらも、もももと口にいっぱい詰め込んで幸せそうな顔をしている。可愛い。うちの弟本当に可愛い。可愛い弟のためにも頑張ろう!




