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次の日から、お爺様とハンスとお父様、お母様に護衛のリッシャまで、廃坑に行くことになった。鍛冶職人のゴンゾさんとその弟子のシナイさんもご一緒だ。ギルドに頼んで山師を派遣してもらうと聞いた。山師は鑑定もできるらしいので、亜鉛も採れるだろう。
午前中はお婆様から礼儀作法を教わり、午後からは翡翠のアミュレットの残りを作ることにした。
翡翠の勾玉のアミュレットは凄く綺麗。こっちの世界の翡翠は緑が濃い。持っているだけで温かくなるような気がする。さすが守護石。翡翠は前世でも古代王に好まれていたものね。勾玉のきゅっと曲がっているところが何故か好きだ。石がつるつる艶めいているのも好きだ。白っぽいところで作ったビーズも綺麗。はぁ。大変良いものを作ってしまった。
家族全員分が出来たので並べて撫でて何度も見てはうっとりしていた。今日の夕食後にみんなに渡そう。
大人たちが大変良い笑顔で帰ってきたようだ。それぞれ着替えに部屋に戻っている間に、わたしも夕食用の服に着替えた。わざわざご飯食べるだけに着替えるのは面倒だけど、お婆様が普段着での夕食はお許ししてくださないから、ここは我慢。
夕食は和やかに始まり、そろそろ終わりになる頃、今日の廃坑での話で盛り上がってきた。お爺様もお父様もお母様もテンションが高い。みんな嬉しそうだ。
「ジェマ。廃坑で銅鉱石がたくさん採掘できて、ゴンゾたちにインゴットを作ってもらったよ。今日だけで200キロぐらいだ。いい調子だ。」
「そうだ、亜鉛も近くにあるのを、山師が気づいたよ。ゴンゾがほら真鍮を作ってくれたよ。少しジェマにもあげよう。」
そう言うと、お父様は服の内ポケットから金色に輝く真鍮を出してくれた。綺麗。前世では5円の材料とか、金の代わりに装飾品とかに使われていたよね。錆びなければキラキラしていてとっても綺麗。
「お父様!ありがとうございます。これで、手芸用の鋏を作ってみようと思います。」
猪突猛進の7歳のジェマはあっという間に『鉱石の加工』を使う。わたしは前世で見たことがある鳥の形をした美しい鋏を思い出す。綺麗だなと思っていたけど、お高くて買えなかった憧れの鋏。それが今わたしの手元にある。素敵!
「え?ジェマ?今、何を?」
「ジェマ、それを見せてもらえるかしら。」
「はい。お婆様。頂いた真鍮で、手芸用の鋏を作ってみました。」
わたしは作った鋏を後ろで控えていた執事のオットーに渡すと、オットーがお婆様の席にまで持っていってくれた。ありがとう。
「まぁ、これが鋏。なんて綺麗なのかしら。これは鳥ね。嘴が鋏で、持ち手が胴体で指を入れるところが足になるのね。綺麗だわ。オットーこれで何か切れるか少し試してくださる?」
「はい。奥様、少々お待ちください。」
オットーが麻紐を持ってきて、すぱんと切った。一瞬驚いた顔をしたけど、すぐに無表情の執事顔に戻った。さすが。
「オットー、ありがとう。ジェマ、素敵な鋏ね、わたくしにも同じ物を作ってくれるかしら。」
「はい!お婆様の物も作りますね。」
「姉さまのスキルは凄いね。四角い塊から鋏が作れてしまうなんて。」
ティオが目を真ん丸にして褒めてくれると、嬉しくなって作業も早くなる。
「お婆様出来ました!ティオ、でも姉さまは鉱石しか加工できないのよ。」
作った鋏をオットーに渡して、残りの真鍮で何を作ろうかわくわくしてしまった。あ、そうだ。みんなの分の翡翠の勾玉のアミュレットできたんだった。
さすがに食堂で出すのは我慢して、そのまま流れで応接室に場所がうつり、話の続きが始まった時に、みんなに手渡すことにした。
「ジェマ、ありがとう。とても綺麗だよ。」
「家族全員の分をこんなに早く作れてしまうなんて、疲れていないか?」
「ジェマありがとう。ずっと身に着けておくよ。」
「何度見ても素敵なアミュレットね。ありがとう。」
「姉さま、ありがとうございます。大事にします。」
「ねえたまありあと!」
家族全員に喜ばれて胸が温かくなる、むんと胸を張りたくなる。嬉しいね。7歳のジェマが少しもじもじしているのが愛おしい。褒められ慣れていない前世のわたしはもっともじもじしてしまったけどね。
ティオもネオも眠そうなので、アミュレットを渡したら子どもは部屋に戻ることにした。ティオもネオも凄く嬉しそうで、ずっとアミュレットを握りしめている。
子供部屋に送って、おやすみのハグとキスをした後、守護石がこの子たちを守ってくれればいいなと願った。石にどのぐらいパワーがあるのかわからないけど、お婆様の鑑定に出てくるぐらいだ。異世界不思議パワーで守護していただけるものなら本当願いたい。
可愛い弟たちが守れるなら姉ちゃん頑張るよ。
今日もおやすみなさい。




