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鉱物好物  作者: ヒロ
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今回、王都からのお土産が可愛いハギレで、女衆の手仕事なってしまったのはご愛敬だ。やっと村に帰る事が出来た。お爺様もお父様もお婆様もお母様もほっとされているようだ。

ティオとネオはお披露目パーティーという大人の苦労とかまだよくわからなかったみたいだけど、ティオは新しい本が手に入ったのが嬉しそうだ。


冬の社交界もそこそこにご披露パーティだけして速攻で戻ってきたので、まだ村は真冬だった。わたしがノルベルトさんに提案した、ほっかりぬるめで温かくなる魔石はカイロもどきとして村人にしっかり受け入れられていた。熱々の石焼き芋を懐に入れてお仕事するというのも定番になっていた。


村の子どもたちはお婆様からクルミを採っている仕事を与えられ、張り切って集めていた、これからもたくさん作るからよろしくー。中身は空煎りして塩をぱらりとしておやつに食べると美味しいよね。わたしが買い取ろう。


ラングレー先生は黒い紙と黒い手袋を村人に頼まれてせっせと作っているようだ。


「ラングレー先生こんにちはー、王都のお土産に珪砂と石灰です!!」


「わぁお、ジェマ嬢、ありがとう。硅砂に石灰とは錬金術師にぴったりのお土産ありがとう」


先生は超優秀なのに、貧乏だから、これでポーションの瓶が作りやすいだろう。辺境伯様に大量にお土産でいただいたのだ。そんなことも知らず、ラングレー先生にはかなり喜んでいただけた。良きかな。


その辺境伯様から、注文がくるかもしれないけど、今は黙っておこう。先生人付き合い苦手だもんね、言ったら逃げるかもしれない。辺境伯様黒い手袋かなり気にいっておられたから、注文受けてあげてくださいね。


グンダおばちゃんにお土産の王都の綺麗なハギレを渡しにいったら、ゴンゾさんからは、リバーシをもう少し欲しいとお願いされた。


「ジェマお嬢様、こんな綺麗なハギレをありがとう、見ているだけでうきうきするよ。このなので針山作る手仕事が出来るなら皆んなで協力するよ、また、声を掛けとくれ。」


おばちゃんありがとう!


「ジェマお嬢様、リバーシの追加を頼む!」


冬の夜長に職人仲間とプレイしているらしいけど、今、1セットしかないので、大変なんだそうだ。娯楽がない村でボーリングでも人気になったものね。ボーリングの苦手な人がリバーシするのもいいかもね。ゴンゾさんにはいつもお世話になっているもの。卵焼き器も石焼き芋器もわたしの我儘からお仕事大変にしちゃったものね。

収納していた3組を手渡すと、破顔された。


「いやー、ジェマお嬢様、ありがとう。これで職人仲間たちと大いにプレイできるよ。ありがとう。陶工のモーリスもかなり強いんだ。負けられないから頑張らないとな。」


「あ、モーリスさん、お元気そうですか?」


「ああ、あいつも、領主様から磁器の製造を任されているから、ずっと張り切っているよ。村の外からの少しずつ注文が入ってきているみたいだしな。」


「あ、ゴンゾさん、辺境伯家から石焼き芋器の注文があるかもしれないです。王都の辺境伯家でご披露したらかなり喜ばれました。30本焼ける大型のものをそのまま置いてきましたが、4本焼ける小型の家庭用があることをお話しましたからねー。」


「そうか、俺も頑張らないとな。ジェマお嬢様いつもありがとうな。」


「いえいえこちらこそいつもご協力ありがとうございます。」


リッシャと家まで戻る。今日は王都のお土産を村に配りに歩いたけど、2週間ぶりの村。少し寒さが増して冷たい風が吹き、畑もがらんどうだけど、山が見え、川があり、遠くでヤギの鳴き声が聞こえる、この村にいるとほっとする。


寒いのにボーリングしている人はやはりいたし、寒いのに外でリバーシしているものもいた、みな、懐に入れた熱い石焼き芋を食べながらだ。色々流行っていて面白い。


リッシャにわたしもクルミを拾いたいと言ってみたが、村の子どもたちが根こそぎ拾っているだろうから、近場はもう無いだろうと言われた。残念。


お父様は各畑に石灰岩やリン鉱石を漉き込みに回っている。村の集会場に置いたものは随分と減っているようだ。

冬に収穫するカブがいつもより大きく出来たようだとほくほくだ。


キャベツやニンジンの出来も良いみたいだ。

半信半疑の農家従事者の村人も、騙されたと思ってという言葉で撒いているようだ。


冬小麦もいい感じみたいだ。お父様がお爺様に「冬小麦順調です。」と誇らしげに報告していて、お爺様が鷹揚にうむと返事しているのを見るのが好きだ。

この村が安定している証拠だもの。


お母様は干し肉や燻製肉作りへ勤しんでいる。大きなイノシシや鹿、ウサギや山鳥を捕ってきているそうだ。お母様凄い!


特にウサギはすぐに増えるから意識的に狩っているとか。ウサギのシチュー美味しいから楽しみだわ。ちなみにウサギは前世でいう普通のウサギではなく角うさぎという魔物だ。体に魔石があるので、そっちの意味でも重宝されている。


ヴェルナー様は披露パーティで貰った牧場シリーズの箱庭テラリウムに夢中みたいだ。

ジェマに手紙で、追加の牛や羊やヤギや鶏、牧童犬を頼んでこられる。いや、これ以上置いたら、箱庭テラリウム中動物だらけにならないか?余白の美は必要よ。

まぁ頼まれたら送るけどねー。


ヴェルナー様に追加の動物を送った後、王妃様から石の薔薇の追加の注文が届いた。冬場は咲いている花が少ないから、パーティやお茶会で石の薔薇が重宝するらしい。全種類50本ずつお願いされた。それと一緒にクルミの針山と針のセットも人気だ。


石の薔薇はわたししか作れないからせっせと作る。前世で薔薇の造花を作る内職があったとか聞いたことがあったけど、そんな悲壮な感じはしない。結構な金額いただけるみたいだし。


針山は村のおばちゃんたちの良い手仕事になっている。クルミの木をもっと植えようかとお父様が呟くほどだ。クルミの木はうちの村の森に多い。だから今のところは大丈夫だけど、お父様領主館の裏庭に植えようか思案されている。

わたしは美味しいクルミが食べられるのであれば植えてもらってもぜんぜんいいな。


リバーシの注文も増えてきた。

これはわたしが石で全部作っているけれど、お父様は木工工房に行って、木で作れないか相談しにいった。駒は白と黒に染料で塗り分ければ良いと。

手作業になるので、安価にはならなけど、作れば売れるのがわかっているならばと、仕事を受けてくれたようだ。


箱庭テラリウムの水晶の器や、水晶の栞、石の薔薇はわたししか作れないからそこは仕方がない。

でも、箱庭テラリウムの苔やシダや土の用意や組み立てや、香炉や蚊遣り豚、石焼き芋器や卵焼き器、針山やサンキャッチャーやアミュレットの組み立ても村のみんなにお願いすることが増えた。仕事が増えるっていいことなのかな。お父様が喜んでいるからいいか。


この村は寒くなっても雪はほぼ降らない。ただ冷たい風は吹く。懐の石焼き芋が体を温めると評判だ。カイロもどきの魔石も売れているそうだ。良かった。


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