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その頃応接間では。
「ようやく静かになったな。」
応接室のテーブルの上にはジェマが作った黒い石と白い石で作ったゲーム板が載っている。フェルナンが、息子マルクにやり方を教えている。
「ええ、帰ってきてからずっとお話していましたわ。」
「よっぽど楽しかったのでしょう。」
水晶鉱床の話。
はじめてみた大きな宮殿。
賑やかな王都。
オズワルト様やエドリック様とのやりとり。
ジェマは1か月分を取り戻すかのように話し続けていた。
「しかし、あの子はたった7歳なのに頑張りましたね。」
「ああ、泣き言は言わなかったぞ。毎日目を輝かせておったわ。新しい景色に見たことが無い石を鑑定しては喜んで自分のインベントリに収納しておったわ。辺境伯様も可愛がってくれたし、ヴェルナー様とアシュクロフト様にもよく懐いておった。このゲームも簡単に作って皆で結構遊んだな。」
ぴしゃりとフェルナンの黒い石が置かれると多くの白い石が反転していく。
「と、父さん、ずるいよ。そんなに・・・」
「わしは、ハンスやリッシャとも結構打ったからな。」
はははっ。とフェルナンは余裕の笑いだ。
「褒賞よりも、ステンレスのインゴットが欲しい。村のおばちゃんたちに錆びない針をあげたいとはっきり自分の望みを伝えておったぞ。良い孫じゃ。」
「錆びにくい針とジェマは言っていましたが、本当に錆びないのであればとんでもないものですね。」
「王妃様も王宮に献上して欲しいとお願いされておった。」
「まぁ王妃様もですか。」
「これは、本気で町に鉄とクロムを仕入れにいかないといけないかもしれないですね。今のところ未知の金属のステンレスを加工できるのはジェマしかいないでしょう。」
「ジェマがちょっと忙しくなるかもしれぬな。」
「7歳だから、ほどほどにしてあげましょう。」
「でもあの子、100本の針を数秒で作ってしまっていたわ。村には1,000本配布することにしたわ。」
「『石好き』のスキルって飛んでもないものでしたね・・・。」
大人4人で顔を見合わせる。
結局、鋼よりも、ガラスよりも、新しい金鉱脈よりも(それらは全部国の事業になるし)
家族が一番長く話していたのは、ジェマが一番興味があったステンレスの針の話だった。
マルクが翌朝、父に勝つためにジェマにリバーシを1セット作ってもらったのは内緒の話である。




