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鉱物好物  作者: ヒロ
PR
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さて、数日後鷹が無事に戻ってきた。オズワルト様は返事を確認し、微妙な表情でこちらに来られる。


「ジェマ嬢、王宮より正式な召状が届いた。大丈夫だ。褒賞の話だと思う。」


お爺様と繋いだ手に力が入る。とうとう王宮なのか。お爺様と顔を見合わせる。


「今回王家直轄地3か所で、鋼とステンレス、数々の色水晶、ガラス、新しい金鉱脈に特大のルビーだ。そのほんの前に鏡もあったしな。王家が黙って見過ごしはずもないだろう・・・。安心してもいい、わたしも一緒だ。もちろん、グラニット卿にもご一緒していただく。」


「ヴェルナー様とお爺様がご一緒なら大丈夫ね。良かった。」


でも、権力が渦巻く王宮ってちょっと怖そうだ。前世庶民のわたしには荷が重い。もちろん今世田舎の村出身の7歳のジェマには何がなんだかさっぱりわからない。

まぁわからないから強いんだけどね。そう、わたしも考えるのをやめちゃった!何にも悪いことしてないものね。うちに被害がいかなければいいか。


実は、金鉱山から王都は近い。だからこそ、貴族のスキル持ちが働いているのかもしれない。馬車で一日ほどで王都に着く。

王都から王宮に馬車が進む。

立派な王都の街並みを見たいけど、乗り出して窓から覗くのはダメだとお爺様に注意される。前を向いているだけじゃ、まったく見えない。

この会見が終ったら、王都歩いてみたい!お爺様と約束したので、後が楽しみ!


王宮に辿り着くと、たくさんの使用人さんがわらわらと出て来られた。びっくり。

執事っぽい人に、収納していた鋼とステンレスのインゴット、ルチルクォーツ、ストロベリーローズクォーツ、紫水曜、黄水晶のクラスターとスワロフスキー風のカットしたものと、ビーズに、ごろんとしたルビーの原石をお渡しした。前に依頼されていた鏡も10個お渡ししたよ。ガラスは辺境伯様からご報告受けてください!


そしてたくさんの侍女さん?メイドさん?なんだかわからない人たちに拉致され、1か月山巡りして汚れた体をごしごし洗われ、風魔法で乾かされ、淡い黄色のドレスを着せられた。お父様の同じミルクティー色をした髪と濃い茶色の目だけど、顔立ちは美少女だから着飾るとお貴族様に見えるかもしれない。前世とは大違い。めちゃくちゃ可愛い。着せてくださった方々も『ほぅ・・・。』ってうっとりされていたよ!でも、こんなドレスを着る日がくるなんて。びっくりだわ。


お爺様はお父様やわたしと髪の色も目の色も同じ。でも、少々色香漂う色気のあるイケオジだ。ひげもカッコいい。渋い。ちゃんとしたお貴族様の恰好をすると、なんだめちゃくちゃカッコいい。さすがわたしのお爺様!

そのお爺様としっかり手を繋いで王宮内を歩く。わたしたちの前をオズワルト様とエドリック様が歩いている。どこまで行くんだろー。やっぱり王様かな。やだなー。


王宮の奥の方まで歩き続ける。大きな扉の前を護衛の方が2人まっすぐ立っておられる。オズワルト様が声をかけると、扉が開く。ひえー。


お爺様にくっついて、お爺様のとおりに動けばいいと教えてもらう。お爺様の真似っこだ。


なんだか見てはいけないぐらい凄い人たちの前に来たような気がするけど、お爺様が頭を下げているので、わたしもずっと下を見ているので、誰の前かわからない。ああ、お顔を見ても誰だかきっとわからないんだろうけど、7歳のジェマの記憶の中に王宮関係なんて一切なかった。綺麗さっぱりなにも無かった。


王座の間は静かで、磨きあげられた白い石の床は大理石かなと思いながらずっと石を見ていた。


「面を上げよ。」


低い声がした。王様かな?


ゆっくり顔を上げる。うわ。王様かなりのイケオジ、お爺様に負けていないな。凄いぞ。そしてそのお隣は美女!ハリウッドもびっくりの美女!そんなことで驚いていたら、


「そなたがスキル『石好き』の娘か。今回の3か所の王家直轄地で鋼とそれより錆びない素材を見つけ、紫水晶などの数々の色水晶を見つけ、ガラスに適した原料を見つけ、新たな金鉱脈を掘り当て、巨大なルビーの原石まで見つけたという報告書を読んだ。」


「すべて事実でございます、陛下。」


オズワルト様が冷静にお答えする。


「オズワルトは嘘などつかぬ。それは承知している。よって、グラニット卿、男爵家を子爵家と陞爵する。」


「・・・有難く存じます。」


うち、え、うち男爵家が子爵家になったったの!?え、びっくり!!


「さらに、」


王様がこっちを見る。イケオジに見つめられると恥ずかしい!


「ジェミナール・グラニット、準男爵の位を授ける。」


は?へ?え?何――!!お爺様がこっちをみて小声で『ジェマ、挨拶を。』と囁く。あ、お爺様の真似っこ!!真似っこ!!


「あ、ありがたくぞんじます!!」


「また、鉱山部管理課の所属はそのままで。今後も活躍するように。」


「は、はい!ありがとうございます?」


「はっはは。」


王様が笑うと、お隣の美女から声がかかる。


「ジェミナールと申したか、この度美しい数々の水晶やルビーの発見に先日の鏡の製作に褒美を与えましょう。」


え?え?褒美???美女からご褒美?パニクっていると再度お爺様にこつかれ。は。そうだ。真似っこ。


「あ、ありがたくぞんじます・・・。」


「欲しいものは何か述べなさい。」


「えっと何でもいいのであればステンレスが少し欲しいです。」


「は?すてんれす?とはこの度の新しい金属のことなの?」


「はいっ!鋼とクロムで作る錆びにくい金属です。」


「それを貰ってどうされますの?」


「針を作りたいです!」


「は、り?とは刺繍する針なの?」


「はい。そうです。その針です。」


王妃の顔がどんどん困惑していくのが周りの人には見えていただろうが、ステンレスで針作れたらいいなって思っていたわたしはぜんぜん気づいていなかった。


「その針をどうするの?」


「村のおばちゃんたちにお土産にしたいのです。錆びにくいぴかぴかの針は絶対喜ばれます!」


そこまで聞いて王妃は心から笑う。なんて可愛らしいお願いなんだろう。すてんれすとはよくわからないが、今後たくさん作れるのであれば少しぐらい見つけた本人に渡しても良いだろう。針になるだけみたいだし。無欲ですこと。素朴な田舎の少女にはぴったりかもしれぬ。


「わかったわ。ジェミナールには、すてんれすのインゴットを1つ渡しましょう。わたくしからの褒美とします。」


「あ、ありがとうございます!!!」


「その代わり、王宮にもその針を何本か納めておくように。今までの鉄製とはどう違うのか確認させましょう。」


王妃は今回見つけた、紫水晶とルビーをいたくお気に召したらしい。太っ腹にステンレス1ついただけるのは嬉しい。にっこり微笑まれると、うわぁ、凄く圧がある。美女の微笑みは威力がある。針は100本ぐらい作って納品しとこう。


お爺様たちが締めの挨拶をしている。


どうしよ。7歳で爵位もらっちゃった。いいのか?いいの?

わたしは、自分の締めの挨拶もままならず少々パニックのまま退出した。


王座の間を退出後、お爺様に抱きかかえられた。


「ジェマ、よくやった。ちゃんとできていたぞ。それにしても子爵に準男爵か。他国へ逃げないようにという錘だろうな。」


「お爺様、準男爵って何をするんですか?」


「準男爵は正式な貴族の一歩手前だが、王家からの功績あるものとして認められた証だ。ジェマの仕事は、これからも鉱山部管理課所属だと言われただろう。それがメインだな。」


「そうか、いろんな鉱山見に行くだけならいいか。」


「後、たぶん年金が出る。」


「グラニット卿、準男爵は年額金貨50枚下賜される予定です。」


オズワルド様が教えてくださる。50枚って高いのか安いのかわからない!


「ジェマ、金貨1枚で使用人が1年間1人雇えるぐらいだ。前に500ノルお小遣いでやっただろう。10,000ノルが銀貨1枚だ。銀貨100枚が金貨1枚になる。」


えっということは、金貨1枚は1ノル1円としたら、100万円ぐらい?え?この世界使用人の俸給ってそれぐらい少ないの?あ、でも三食ついて住み込みだとそんなものか。と、いうことは、金貨50枚って、5000万円!!!うへー。


「グラニット卿、子爵の任命は、領土を増やされるか、年金にされるか選べると思う。」


「わしは年金を選択させていただく。これでジェマ、ティオ、ネオに王都の学園に通わせてやれる。」


「ああ。それは良い選択だと思います。」


「それに我が領地は小さく人も少ない。他に領地をいただけたとしても、そこで働ける人がいない。今でも我が家で働く住み込みの使用人は7名しかおらぬ。他に頼りになるものはいない。陛下も我が家に領地経営させたいわけではなかろう。ジェマを守るためならば、手を広げることもないだろう。」


「陛下もそれをお望みでしょう。」


「ヴェルナー様、アシュクロフト様、今回大変世話になった。感謝いたします。」


「いや、グラニット卿、こちらがお願いしたことです。予定よりも成果を上げられ無事報告することも出来て、ハラハラもしましたが、ドキドキもワクワクもさせていただきました。今後、ジェマ嬢はわたしの部下のままです。陛下の感触では、他にも指示が出るでしょう。このままでは済まないとは思います。今後ともよろしく願いたい。」


「ヴェルナー様、アシュクロフト様、大変楽しかったです!またご一緒できるなら是非!!」


本当大変面白かった。特に巨大水晶群は圧巻。また行きたい。わたしが元気に返事をしたところ、オズワルト様もエドリック様もお爺様もお互い目を見て笑われた。


「王太子様が今年ご結婚された。第二王子殿下はご婚約者様がおられる。ジェマ嬢の活躍がどこまでいくのかわからないが、王家がなんらか手を出してくることもあろう。ジェマ嬢が好意を持つものがいたら、早い目に陛下に許可をもらわないと、王弟殿下のお子様にもご婚約者様がいらっしゃる。子爵令嬢だがジェマ嬢本人が準男爵と位をいただいてしまったので、相手の範囲が広がっている。ジェマ嬢は良い方はおられないのか?」


なんだか真剣なオズワルト様に、好みの方を聞かれる。7歳のジェマに恋愛感情はない。みんな友達―といった感じ。情緒がない。40歳のわたしは、本音言っても良いのだろうか。


「わたしはお爺様が一番好きです!!」


「おおジェマ!わしが一番か、そうか、そうか。嫁に行かなくても良いからな。一生村で一緒に暮らそう!」


シブイイケオジで、優しいお爺様が大好きだ。

オズワルト様とエドリック様、後ろに控えていたハンスとリッシャが生暖かい目で見ている。いや、本当だって、前世のわたしから見て一番なんだから。


オズワルト様とエドリック様と和やかに別れ、残された4人で王都に買い物に出かける。楽しみにしていた買い物だ。ティオとネオにお土産買いたい。調味料何があるのか見たい。お婆様とお父様、お母様にもお土産買いたい。オットー、エレーヌ、リーゼ、フィーナ、マルタにも買って帰りたい。


王都は人が多かった!王都の物価は高かった!でも、金貨50枚いただけるという宝くじが当たったような気分で買い物をする。前世地味で節約していたわたしはどこへ行ったーっていう感じだったけど、たまにはいいよね。


王都の繊細で美しい上品なお店。レースや刺繍糸、美しいハンカチ、宝飾品は少し裕福な庶民でも買えるぐらいのものを見に行って、目の保養にした。流行を見て自分で作る時のヒントにするのだ。庶民向けといっても大店のお嬢さんが買いに来るのだろう。石自体は2流かもしれないけど、枠も真鍮だろうけど、見た目は綺麗だ。オパールっぽいものが、ひとつ銀貨1枚ぐらいだったので、侍女のエレーヌ、リーゼ、フィーナに小さなブローチを購入した。


お婆様にはレースのハンカチとたくさんの刺繍糸、お母様にはいい香りのハンドクリームと綺麗なレターセットにした。


ティオには冒険談の本を、ネオには子ども向けのおもちゃの木刀にした。喜んでくれるかな。マルタは調味料だ。金貨50枚という気分の高揚からお砂糖を多く買ってしまった。胡椒も買ってしまった。マルタには他には料理する時髪が邪魔にならないように髪留めも買ったよ。

お父様とオットーは悩んだ。結局お父様にはワイン、オットーにはインクと羽ペンにした。


自分用は砂糖と胡椒と植物油だね。

後は本。家に本は少ない。娯楽用ではなくわたしは植物図鑑をチョイス、村の森や山で食べられるものを増やしたい。ネオや村の子ども用に子ども向けの本も買った。


お爺様に村の人たちへはどうしようか相談したところ、ジェマが何かしたければ、村に戻れば収穫祭だから、そこで楽しんでもらえるものを選べばよいと助言された。


わたし主催のボーリング大会。優勝者にはメダルと賞品を渡そう。商品はアルノーおじさんところのワインがいいかな。王都のお土産はもう針で良いか、副賞にリバーシでも渡そうか。


この直轄地の旅でお爺様をはじめハンスもリッシャもリバーシにはまった。なんならオズワルト様とエドリック様も楽しんでおられた。

単純なのに奥深いところがいいのだろう。

黒と白の石で作ることができるのもわたしにとっては簡単だしね。


ボーリングにリバーシが流行れば一緒に遊んでくれる人が増えるだろう、楽しみー!と7歳のジェマがはしゃぐ。あんまり深いこと考えなくていいか。前世のわたしもだんだん7歳並みになってきたような気がする。それでいいのか。でも、これほど無垢な感情に触れればそうなってしまうよ。自分の閉ざしてきた心の奥底にしまい込んでいた感情。甘えたい。自由に生きたい。という感情。なんかそんなこと難しく考える方がおかしいっていうぐらい、7歳のジェマは自由だ。どこまでも自由。前世の感情を全部彼女に明け渡したいぐらいだ。


まぁそれもあるんだろうな。数々のやらかし・・・。ははは。それでいいのだ。って開き直れそうだ。準男爵もらっちゃったしねー。



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