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次の鉱山は、北東の金鉱山だ。北の辺境伯様とはお別れ。またガラスを作ることができたら教えてくれると約束をして別れた。それにしても辺境伯様働く男っていう感じでイケオジ良かった。立派な体格に、声も低くて低音ボイスがお腹に響いてびりびりきていた。前世40歳のわたし、やっぱり10代20代のイケメンより、渋いイケオジが良い。護衛として体も鍛え結構なイケメンで村でも女の子たちから評判のリッシャより、辺境伯様の目つきの鋭い少々いかついけど笑った時の目じりの皺にきゅんとした。自分が今7歳なので、どうしようもないけど(そもそも辺境伯様は愛妻家らしいけど)見るだけならいいよね。
北東の金鉱山はまで1週間ほどの馬車の旅―。お尻が痛いー。でも、楽しい。見たこともない町でお泊りし、泊まるところがない場所ではなんと野営だ!!
山間を走っているので、どうしても町がない地区がある。オズワルド様も少女のわたしがいるからなるべく町に泊まれるように気をつけてくださっていたのだけど、山から山へ移動しているから仕方がない。
野営では、なんとご飯を作らせてもらった。というのか、何?なんで、誰もご飯作れないの?オズワルド様もエドリック様もお貴族だったから仕方がないけど、お付きの人も作れないなんて。この旅のための魔法袋にはたくさんの野菜も肉も準備されていたのに!宿に泊まることが前提で、野営は仕方なしでどうにかなるだろうということだったらしい。
そこで、わたしが作る!と名乗り上げた。
お爺様はわたしが厨房でマルタとああだこうだとやっているのをご存じなので任せても良いと了承してくれた。
さて、お鍋も、包丁もまな板も全部作った。青銅と銅と石があれば大抵作れる。
村の岩塩もわたしの鉱物のみOKのインベントリに収納されているし、塩だけの料理に勘弁してくださいと思ったわたしは、野草の勉強もした。食べられる野草に調味料代わりに使える薬草。ショウガに似たもの、醤油に似た味が出せる木の実も探せるようになったのだ。食いしん坊のなせる業!
ポトフもどきと、生姜焼きもどきを作れた!!
前世のわたしからすれば、もどきだったけど、美味しいってみんなに褒めてもらえて、やったーって心の中で叫んだ。あ、これは7歳のジェマ?それとも40歳のわたし?どっちも同じぐらい嬉しかったということかな。シンクロしたのかも。なんだか嬉しいね。
その日は美味しいご飯を食べ、初めての野営を堪能。前世含めて野営は初めて!!都会育ちでソロキャンもしたことがない。テンションがだんだん上がってくるー!
夕食後、火を囲みながら、飲み物を飲みながら話をする。この辺は魔物も害獣も少ないらしい。険しい山しかない。山の上には、満天の星が落ちてくるかと思うぐらいで少し怖くなるほどだった。お爺様の大きな手がこの日ほど心強く感じられたことはない。
まだ7歳。お爺様と一緒のテントで寝ることができた。
ちょっと大きめのテントだったから、リッシャやハンスも一緒だったけどね。お婆様が見たらお説教かもしれないけど、王命なのよー。仕方ないのよー。ということで、楽しい野宿だ。いい思い出になった。ティオとネオへの思い出話が増えたね。
なんだかんだと進みながら、やらかしもなく、金鉱山に到着!
ここの鉱山町はちょっと小綺麗。あれ?荒くれ者の町じゃないの?
オズワルト様に聞いてみたところ、国の唯一の金鉱山なので、それはそれは大事にしているとこのこと、国中の採掘や抽出、鑑定などを持っているスキル持ちが作業にあたっているそう。それも貧乏人は金地金を盗むかもしれないからと、スキル持ちのお貴族様が役人として勤めているそうだ。へー。スキルのある世界って面白いね。
オズワルト様とお知り合いの管理人さんはこれまた小奇麗なおじさまだった。そうおじさんではなく、おじさまという雰囲気の方。王宮勤務してそうな感じだ。
「ヴェルナー様、アシュクロフト様、お久しぶりです。王命伺っています。さぁ。こちらにどうぞ。」
進められるまま、金鉱山に足を踏み入れる。まぁ鉄鉱山とまったく違う。明るくて足元も石畳?へ。坑道が石畳!?要所々に灯りも取り付けられている。あれは魔石ランプ。お高いんだよね。それがこんなに・・・。
歩きながら探索を使う。んー。この坑道の先は?
「ヴェルナー様、この行き止まりの先にも、金鉱脈あります。」
「ん?ジェマ嬢、それは本当か?」
「オズワルト様、この鉱山はスキル持ちが日夜確認しているので、ありえません!」
「ギデオン、この子のスキルは本物だ。わたしが保証する。」
「な、それほどまでなのか・・・。」
「ジェマ嬢、わたしが許可を出す、その先をよろしく頼む。」
わたしは行き止まりの坑道の先を切り取る。だいたい大人の歩幅で10歩ぐらいかな、ちょっと奥。それも縦にまっすぐ、だからわかりにくかったのかもしれない、横に広がっていれば反応しやすかったのかも。
わたしが岩盤を切り取り、天井を硬化させ、新しい金鉱脈に辿りついてから、オズワルト様をお呼びした。一緒に行くと危険だからね。
「ヴェルナー様、ここで正解です!!」
オズワルト様は手にランプを持ち急いでやってきた、そういえば、わたし岩盤の中真っ暗なはずなのに、見えていたね。これも『鉱物好物』スキルの特典?見えないより見えた方がいいよね。わたしのスキルお得だねー。
「鑑定士と山師を呼んで下さい。」
オズワルト様の声が聞こえる。新しい金鉱脈のまわりの岩盤を少し切り取って金鉱脈がわかりやすくしてみようと、切り取っていると、あ、これは普通の岩盤じゃないものが見つかった。ルビーの原石じゃね?
ごろんと半透明の赤色の岩がある。大人の両掌ぐらいの大きさだろうか。20センチ四方ぐらい?これかなり赤いよ。岩盤から外して確認したいけど、オズワルド様が来るまでちょっと我慢。
「ジェマ嬢、金鉱脈は?」
「オズワルド様、ここ、ここから真後ろに真っすぐです。」
「ああ、真っすぐ後ろに長くですね。」
「確かにあります。金鉱脈です!」
「一部を抽出してみてくれ。」
オズワルト様に依頼された山師っぽいおじさんは、手前の金鉱脈に手をつくと、なにやらスキルと使われたのだろう。まわりの岩盤が消えて、手の平に金が載っている。ゴンゾさんの使う抽出とちょっと違うけど、これも便利だな。でも、手の平の金は100gもなさそう。ちょっと少なかったかな。だから誰も見つけられなかったのかも・・・。
「お、オズワルド様!これは凄いです。金の含有量が1トンの岩盤に対して10g以上取れます!この真っすぐ伸びているのもわかります。ここは当たりです!!」
「ジェマ嬢、新しい金鉱脈を見つけてくれてありがとう!これも王宮へ鷹便案件だな。」
「あのー。ヴェルナー様、こっちの金鉱脈じゃなくて、こっちもちょっと来てください。」
さっき見つけたルビーを見て貰わないとね。
「これです。これ。この半透明に見える赤い原石、たぶんルビーです。」
「はぁ?こんなところにルビー??」
「ええ、たぶんルビーです。切り取っていいですか?」
「ああ、よろしく頼む。」
切り取った後、お、重い。スキルの運搬を使って、オズワルト様に渡す。オズワルド様もその重さにびっくりして落としそうになって、隣にいた山師のおじさんに助けてもらっていた。ごめん。重いって言えば良かった。
「こ、これ、ルビーですわ。オズワルド様、確かにルビーです。」
山師のおじさんも驚いているぞ。この山、もう少しルビー出そうなんだけど。金鉱脈を鑑定していた鑑定士のおじさんも近寄ってきて、目をまんまるにしている。
「こんな、大きなルビーの原石見たことがありません!!」
そうなんだ。わたしも前世こんなお高い宝石には縁がなかったから知らなかったよ。今世はこの素敵なスキルのお陰でいろんな石と出会えて本当嬉しい!
さっきから後ろの方で、息絶え絶えの管理人さん、新しい金鉱脈が!!とか、ル、ルビー?!なんで、ここに!?とか叫んでいる。
その後ろでお爺様がまた右往左往されている。ごめん、お爺様!今回はそんなにやらかしていないと思う!!
「とりあえず、坑道から出ましょう。このルビーはジェマ嬢の収納で保管しておいて下さい。」
何だか皆さんのテンションがおかしいまま坑道を出る。おかしいな。今日はやらかしていないはずなのに。金鉱山で金鉱脈を見つけるのは当たり前だし、ルビーは20センチ四方の小さい原石だし。ホールいっぱいの紫水晶の圧倒的な美しさの方が凄かったと思うんだけどね。違うのか!?
「ジェマ嬢、鷹飛ばせます。今回は何もつけなくて大丈夫です。金は普通の金なので、どのあたりで見つかったか書くだけですし、ルビーの原石は現段階で傷つけられません。また、返事が返ってくるまで待機ですね。ジェマ嬢、ここは貴族も暮らしているので、お泊りは今までで一番良い部屋になりますよ。案内していただきましょう。」
オズワルト様はなんだか無我の境地のような表情だ。エドリック様はチベットスナギツネのような虚無の表情だ。な、何故!?
お爺様はぎゅっと抱きしめてくれる。お爺様、わたし悪いことしてないよね!!
ハンスとリッシャはただただ苦笑している。
「仕方がねえな。嬢ちゃんは。まぁ待ち時間だ。前のゲーム出してくれよ。あれで時間潰そう。」
リッシャに強請られてリバーシを出す。ゲームに慣れてきたので、もう1セット作り、4人が交代で戦う。わたしが前世のアドバンテージがあったのは、最初のほんの少しだった。おかしい!ハンスは盤面を読むのが得意だし、意外とリッシャは堅実だ、そして勝負運の強いお爺様は例えゲームといえども強い。わたしは後半こてんぱんにやられてしまった。解せぬ!!はっ!そういえば、前世毒親で友達もいなかったわたし、知識としてリバーシを知っていたけど、対面で戦ったことは無かった!経験ゼロだ。そりゃ弱いか・・・。
でも、みんなでわいわいとゲームをする楽しさ。負けても楽しい。こんな子ども相手に容赦なく戦ってくれるところまで嬉しい。ははは。リバーシは決して1人ではすることが出来ないゲーム。憧れていた。だから、とても嬉しくて、泣いてしまいそうだよ。
それを見て、わたしが負けて泣きそうになったのかと、お爺様が気づいて、おもっきりおろおろされた。
「すまぬ。ジェマ、いや、このゲームが面白くて、つい本気になってしまったのじゃ。悪い。ジェマをやっつけようとしたのではない。決してそうではない!」
慰めようといろいろしてくれるお爺様に、嬉しくて抱きついてしまった。7歳のジェマも40歳のわたしもお爺様の温かい胸の中で安心して、いつの間にか眠ってしまっていた。




