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ティオとネオと子ども用のボーリングで遊んだり、お婆様に頼まれて真鍮と蛍石でブローチや髪飾りや小さな鏡を作ったり、ティオとネオのために、クッキーを焼いたり、村の広場の石畳の追加を敷いたりしていたら、お爺様がお戻りになった。
なんだかお顔が硬い。いや、表情が硬い。
「お爺様おかえりなさい。お疲れですか?」
「ただいま、ジェマ。お爺様はジェマを守り切れなかったよ・・・。」
なんだか深刻なので、皆で応接室に移動した。
お爺様はぽつりぽつりとお話してくださった。
「ジェマ、すまぬ。」
「お爺様、どうされたのですか?」
「ジェマは王命で、王宮の鉱山部管理課へ仮配属されてしまった。ヴェルナー様の部下だな。」
「「「「へ?」」」」
「といっても、まだ7歳。王宮へ毎日勤めるのではない。王家直轄地3か所の鉱山の確認が主な仕事だ。あと、もう少し大きな鏡も欲しいらしい。」
「鉱山部管理課?仮配属?直轄地への確認ですか・・・。」
「お爺様、それとっても面白そうです!!」
「「「はっ??」」」
「ジェマ、王家直轄地3か所回るのに約1か月かかるぞ。」
「でも、お爺様もご一緒でしょ。それに村には無い石や金属と出会えるかもしれないです。」
「そ、そうか、ジェマが喜んでくれるなら、良かった。そうか。わしも一緒に行こう。」
ああ、責任重大だと思う前に7歳のジェマが、なんて楽しそうなのと喜んでしまった。そうか、人生楽しんでしまってもいいのね。
「ええ、お爺様、王家直轄地なんて普通入れない場所じゃないですか。とても楽しみです。」
「わしも行くのは初めてだ。ハンスとリッシャも連れていこう。王宮からはヴェルナー様とアシュクロフト様と騎士が2人、山師と鑑定士も随行するらしい。」
「そうなんですね。知っている方がご一緒だと嬉しいです。」
最初はぎすぎすした空気だった応接室も、最終なんだかほっとした空気に変っていった。ジェマが王宮勤め!とみんな驚いたけど、よくよく聞いてみれば、3か所直轄地を回るだけのお仕事だ。期間も1か月。それならば大丈夫だろう。そう結論づけた。
それにお爺様もご一緒だ。心強い。
「行くのは、あさってからだ。ヴェルナー様が迎えにこられる。あと、王妃殿下から、鏡を10個追加で頼まれた、これは代金を支払っていただけるそうだ。材料の銀も献上したものから、インゴット分を一個頂けた。」
この村まで王都から5日かかる、オズワルト様はあさって来られる。ん。わたしの意見は関係ないっていうことだよね。わたしが嫌だって言っても行くことになっていたのか。だから、お爺様のお顔が硬かったのね。
それでも1か月遠出が出来る。それは本当に楽しみ。
オズワルト様が来られるまで、お爺様と直轄地の鉱山について勉強する。直轄地の鉱山は金鉱脈のある北東のもの、巨大な水晶群がある北の辺境地のもの、鉄が採れる北西の山、国の北側に集まっている。ちなみにうちの村は王都からすれば北西にあたる。だから、うちの村から鉄の採れる山、水晶群、金鉱脈と巡って王都に帰るのが手戻りがなくて良いのだと言う。
今は初夏、北の鉱山に行くにもちょうどいい気候だ。秋の収穫祭までに戻ってきたい。
ボーリングの管理はティオとネオに任せた、2人ともわたしがいない寂しさより、責任すべき仕事で注意をそらしたのだけど、頑張って。
「姉さまがいない間、ぼくががんばります!」
ティオが決意をもって約束してくれる。
「ぼくもがんばりましゅ!」
ネオもいい子。ほんとこの2人のお姉様で良かった、ありがとう神様!!
オズワルド様が来るまでに鏡を10個せっせと作る、真鍮の縁飾りは薔薇にしてみた。お婆様から「よろしいと思いますわ」と合格のお言葉も頂いた、ヨシ。
オズワルト様とエドリック様が再び村にやってきた。オズワルド様は鉱山部管理課だったなんて知らなかったわ。いや、最初の挨拶の時にお話しあったらしいけど、ジェマの記憶からは消えていたわ。ごめん。
オズワルト様とエドリック様は相変わらず王宮文官らしい端正な服装だったけど、今から一か月の長旅なので、装飾は控えめに見えた。
「ジェマ嬢、久しぶりですね。今回はよろしくお願いします。」
オズワルド様のにこにこ顔はいつもだけど、今日は少し顔が硬い、お爺様と同じだ。お休みではなく、王命でのお仕事だものね。
「ヴェルナー様、娘をよろしくお願いいたします。」
「ああ、陛下よりの拝命です。無事に最後まで付き添い送り届けます。」
「お父様、行って参ります!」
「マルク、後はよろしく頼む。」
「ジェマ、父さん、どうかお気をつけて。」
「グラニット卿、ジェマ嬢、まずはこの村の裏側の北西の山に行からだ。ここからだと半日ぐらいの距離だ。鉄が採れる。さぁ行きましょう。」
ジェマたちは王宮からの馬車に乗りこむ。こんな大きくて立派な馬車に乗るのは初めてで、汚してしまわないかちょっとどきどきしてしまった。
ジェマは鉱山に行くというのが最初からわかっていたので、ドレスではなく動きやすい村娘のような恰好だ。坑道に入るのに、ドレスはないよね。
だから、オズワルド様もエドリック様もわたしの恰好に何も言わなかった。
7歳のジェマが楽しみで楽しみでわくわくしている。最初の鉱山はうちの村の北の鉱山のうらっかわの山だと聞いている。
そっちはまだ鉄が採掘できるのだ。
馬車で山を迂回して進み、村の反対側に出てきた。さすが王家直轄地、小さな鉱山町のようだ。鉱夫たちが泊まる共同宿舎や、管理棟、鍛冶屋や倉庫、夜は飲み屋になる食堂などがあるらしい。
オズワルト様、エドリック様もわたしもお爺様も管理棟に泊まらせてもらうみたいだ。
鉱山の町はどこも埃っぽい。鉱夫は強制労働者のがりがりかと思いきや、筋肉むきむきの荒くれ者が多いみたいだ。みんな筋肉自慢のような暑苦しい汗の匂いがしてきそうだ。
みんなで管理棟の管理者に挨拶に行く。どんな人が出てくるのかなと思ったら、管理人のおじさんは筋肉むきむきだった。
荒くれ者の犯罪者が送られてくることもあるそうで、力がものを言う職場なんだろう。
「こんなちっこい嬢ちゃんが何のようなんだ。」
「ああ、ジェマ嬢は石については万能スキル持ちだ。」
「な、万能スキルだと?」
「廃坑から銅鉱脈を見つけ、水晶の洞窟も見つけたのだ。その話を受けて陛下からの拝命だ。」
「ああ、そういうことならわかった。鉱山の入り口はこっちだ。」
むきむきの管理人についていき、鉱山の入り口に辿り着いた。
ここでスキル『鉱物の探索』
んんん。いくつか鉱物がひっかかる。鉄は豊富だ。まだあるね。銅も近くにある。うちの山の反対側の方が量が多いのか、おっとクロムがあるじゃない!ステンレスが作れる。
「えっと、鉄はまだ豊富です。近くで銅があります。あと、クロムが採れます!!」
「鉄はまぁいい、銅がこっちにもあるのか。後、くろむ?とは何だ?」
「クロムがあれば、ステンレスが作れます!」
「すてんれす?とはなんだ??」
「え?ステンレスとは錆びにくい鋼のことです。」
「は、鋼とは、隣国で機密にされている素材ではないか。鉄よりも強い。折れにくい柔軟な金属だとその製造方法は機密で我が国では作ることができないのだ。その鋼を更にさびにくくするだと!?」
「ええっと、鉄に炭を混ぜて作ると鋼になるんです。その鋼にクロムを混ぜるとステンレスが出来上がりですね。」
「ジェマ作れるのか?」
「お爺様出来ますよ!わたしのスキルなら簡単です。」
鉱山の管理人とオズワルト様に許可を得て、鉄とクロムを採取。炭も貰う。『鉱物の加工』ふふふ。あっさり出来上がり!
「これが鋼のインゴット、こっちがステンレスのインゴットです。」
「鑑定士を呼んでこい!!」
「ジェマ嬢、この金属で何を作るのか?」
「お許しがあれば、針を作りたいです。村のおばちゃんが喜びます。錆びなくて使いやすいと思います。」
「ジェマ嬢がつくりたいのは針・・・なのか。この金属を王家が鋼や、すてんれす?の配合をいただいて良いのか?」
「え?ぜんぜんいいですけど、ここ王家直轄地ですよね。王家の金属ですから。あ、フォークやスプーンもいいですね。錆びなくて使いやすいと思います。錆びにくいので海辺で使うのもいいと思います。」
「この技術は機密事項だ。鷹便で王家にお伝えする必要がある。ジェマ嬢、鋼とすてんれすを小さく加工できるか、鷹に運んでもらう。」
「では、足に付けられるようにしますね。」
鷹の足にぱかっと取り付けられる足カバーみたいなものを鋼とステンレスで1個ずつ作る。それをオズワルド様が鷹の足につけて、お手紙書いて飛ばせた。
緊急時に念のためにと持たされた鷹だったけど、初日に使うとは思ってもいなかったと、オズワルド様がつぶやいておられた。
鋼もステンレスも前世では当たり前だったから、こっちの世界でまだ知られていないものだって、知らなかった。全部スキルが教えてくれたっていうことにしよう。
「ジェマ嬢のスキルは凄いな。王家からはたぶん褒賞が出る。」
王家から褒賞!?何貰えるんだろう。
お爺様は横で青くなったりはらはらされたり挙動不審だったけど、褒賞と聞いて落ち着かれた。
「ジェマのやらかしにわしは肝が冷えたわい。」
お爺様?ごめんなさいー。
でも、誰かに心配されるってこんな気持ちなのか。なんだか不思議な気分だ。胸がくすぐったくて、温かい気持ちでいっぱいになった。
過去の記憶を塗り替えてしまうぐらい嬉しい。
まぁお爺様に心配させちゃったのは、本当申し訳なかったので、丁寧に謝っておいた。
鷹便が戻ってくるまで、ここで待機らしい。指示があるのを待つんだね。暇だったので、鉄の鉱山の坑道を崩れにくいように硬化させたり、銅鉱脈やクロムを採掘できるように整備したりしていたら、鷹便が戻ってきた。
この鉱山に秘密の加工場を建築され、すぐに王宮御用達の鍛冶師の方々が来られるのだそうだ。
わたしたちは、次のところへ行って良いそうだ。
オズワルド様がほっとされていた。
王家からの指示を現場に伝えたオズワルド様が次へ行くとおっしゃったので、管理人のむきむきの人にご挨拶し、仲良くなって鉱夫の方々にも手を振って鉱山を後にした。
次は、北の辺境伯領にある巨大水晶の鉱床へ行く予定なので、まずは辺境伯にご挨拶に行く。
監視なのか、王命の効果なのか、辺境伯様自身が一緒に着いてこられることになった。
凄い強そうな雰囲気のイケオジだった。熊1人で倒せますっていうようなオーラが凄い。
ひょろひょろのエドリック様二人分ぐらいの幅がある。がっしりされているね。
二番目水晶の鉱床へ、行く途中で、珪石の山、珪砂が採れるな、灰と石灰、石灰の山も近くにある。これでガラスが作れる。モルタルも、漆喰もできる。北の辺境凄いな。と、ついつい口に出していたらしい。
「ジェマ嬢、今、ガラスが作れるとか、モルタルや漆喰が作れるとか言っていなかったか?」
「ええっと、王家の直轄地ではなく、ここ辺境伯領のこの山ですが、珪石の山、珪砂が採れます。で、その隣の山で石灰が採れそうです。だから、ガラスが作れるなと思ったのですが、今回ご依頼の王家の直轄地じゃないから黙っていたつもりだったのですが・・・。辺境伯様はご存じだったですよね。」
「いや、自分の領地なのに知らなかった。ここでガラスが作れるのか!?」
え?自分の領なら、調べつくしていると思った!!
「ジェマ嬢、北の辺境伯領は広大な敷地があり、更に冬は過酷で、接する隣国との緊張関係もあり、領地すべての調査まで済んでおらんのだ。」
「そうだったのですね。ええっと、言ってはいけないことだったのでしょうか?」
「いや、教えてもらえて感謝する。我が辺境伯領に特産物がないので、ガラスやモルタルや漆喰が作れるのであれば、領民の生活が良くなる。ジェマ嬢、ガラスの作り方はわかるのか?」
「スキルで、何となくですが。」
「教えてくれ!!」
「えっと、まず珪砂だけだと温度が上がりすぎるので、灰を入れます。その後に石灰を入れるとガラスになるはずです。抽出の使える人に珪砂の不純物を無くしてもらえれば綺麗に作れると思います。」
「珪砂と灰と石灰か・・・。ジェマ嬢のスキルで作ることは出来るのか?」
「はい!できます!!」
わたしが直接行った方が早いので、目の前の山で珪砂を切り取り、抽出、お隣の山で石灰をゲット!辺境伯のお付きの方が灰を用意してくれていたので、『鉱物の加工』を使う。
お、綺麗なガラスだ。50センチ四方の真四角の透明のガラスが出来た。
「なんと!見事なガラスだ!!!」
「現物を作ってもらえたので、鑑定士に鑑定してもらい配合を確認できる。有難い。ジェマ嬢感謝する。何か欲しいものはないか。」
「いえいえ、原料は全部辺境伯領にあるものですから。えっと、欲しいものですか、ガラスの材料がちょっと欲しいです。山の隅っこちょこっとだけ貰えますか?」
「ああ、いいぞ。これだけ大きな山が全部ガラスの材料になるのであれば、発見したジェマ嬢が半分貰ってもいいぐらいだ。」
「え?そんなに収納できませんから、少しで大丈夫です!」
「そうかジェマ嬢は謙虚だな。足りなくなったらいつでも言ってくれ。」
オズワルド様が苦笑している。ここは王家の直轄地ではない。王家の王命の範囲ではないのだが、ガラスの製造は明らかに国の事業になる。これも鉱山部の管理になるのではないかと思われているのではないかと、前世40歳まで社畜だったわたしは想像して心の中で謝罪しておく。余計なことしてごめんなさいー。
7歳のジェマがスキル探索使っていないのに察知しちゃうんですー。といっても、察知した石の情報から、あら、ガラスが作れるわというのは前世わたしの知識だ。うっかりぽろりして、ごめんなさい。
ガラスの原料の発見もあって、辺境伯ご一行様と和やかに巨大水晶鉱床へ向かう。辺境伯様が非常に友好的でなんだか逆に申し訳ない。
それにしても北の大地、連なる山々、パワーを感じる。山のパワーなのか、大地のパワーなのかわからないけど、前世でいうパワースポットっていうやつなのかな。
体が軽い。気持ちがすっきりするような気がする。
そんなことを考えていたら、水晶鉱床に到着したみたいだ。
水晶鉱床の入り口は柵があり、見張りの人も立っていた。ここも小さな町みたいにいくつか建物が建っているようだ。荒くれものの町とはちょっと違う感じ。水晶の加工なので、教会関係者と錬金術師が多いのだそうだ。
スキル判定用の水晶玉や、護符、タリスマン、チャームなどを作っていると聞いた。
新円の球にするには錬金術師の能力が必要なんだとか。護符、タリスマン、チャームは、魔除け、エネルギーを与えるお守りのようなもので、こっちの世界本当に力が作用するそうだ。凄い!!お爺様からはこっそり『ジェマの作るアミュレットも同等じゃよ。』と囁かれた。そうだったんだ。知らなかった!
管理人さんは教会関係者なのかな。司祭が着ているような服を着用されている。ぞろぞろと後ろを着いていくと、圧倒的なパワーに体が震えてくる。こ、これは。凄い。
誰もかれも声も出ない様子を管理人さんがそれも当然だろうと微笑んでいる。
うちの水晶が見逃されたわけがわかった。うちの村の何倍?何十倍もありそうな果てしなく続く水晶群。穏やかで暖かい母のお腹の中に戻ったかのような安心感、とろけるような陶酔感。
さすが国一の巨大水晶群だ。
「この素晴らしい水晶群で声もでないでしょう。ここはわたくしがご案内いたします。」
案内人の後ろについていく。どこまでも続く水晶群。キラキラしていて本当に綺麗。
「あ、あれはルチルクォーツですね。なんて美しい!!」
「え?るちるくぉーつ?なんですかそれは??」
「え?そこにあるじゃないですか?ルチルクォーツ。」
「そこ?」
困惑している管理人さん、本当にわからないの?
「ここ、透明な水晶の中に針状のルチルが入った水晶ですよ。ほら、金色の針がなんて綺麗なんでしょう!」
「水晶の中に、金色の針?」
「いや本当の針じゃないですよ。針状にルチルえっと、金紅石が入っているんです。綺麗ですよね。」
「た、確かに金色の輝く細いものが入って煌めいていてなんて美しい。」
「ジェマ嬢、これは普通の水晶とは違うのか?」
「水晶ですよ。水晶の中にルチルが入っているだけです。それだけでも美しいですよね。」
「ジェマ嬢、他にもこんな変わった水晶はあるのか?」
「他ですか。えっと、ちょっと待って下さいね。あっちにローズクォーツがありますね。ああ、ストロベリーローズクォーツまでありますよ!なんて可愛らしい。」
小走りでピンク色をした一角へたどり着くと、管理人さんを初め他の人も必死で着いてこられた。
「これがローズクォーツとストロベリーローズクォーツですね。この透明なのにピンク色、可愛いとしか言えません。恋愛サポートしてくれる石ですね。あ、あと、あああ、この壁の向こう側、少し岩盤を切り取っても良いですか?」
オズワルト様とエドリック様が相談されて、許可の声が出たので、人が1人通れる幅で岩盤を切りぬく。2歩ぐらいの距離でぱかっと向こうの空洞と繋がった。
繋がった先は紫水晶がぎっちりだ。はぁーー。綺麗。素敵!こっちはこっちでパワーが凄いよ!
「な、これは!!」
「ヴェルナー様、これは紫水晶です。別名アメジストですね。綺麗ですね。高貴というのか品があっていいですね。」
「こんな高貴な水晶が存在していたのか!素晴らしい!!」
みんなで紫水晶の間に足を踏み入れた。どこもかしこも紫水晶!あ?違う一部違う。
近寄ってみると、この辺は黄色い。黄水晶、シトリンだ。これも綺麗。黄金飴みたいだ。とても美味しそう。
「ジェマ嬢、こっちの黄金色のものも水晶なのか?」
「ああ、ヴェルナー様、これは黄水晶、シトリンですね。これも美味しそうな色ですね。」
「ジェマ嬢、これで全部か?」
「水晶の種類だけなら全部だと思います。」
「そ、そうか、これで全部か・・・。助かった。」
「これは王家に連絡を取って指示を仰がなければなりません。普通の水晶については、教会と王家が契約しておりますが、るちるくぉーつ、ろーずくぉーつ、あめじすと、しとりんは、今まで認知されていなかったものです。新たな契約が必要です。」
管理人さんも興奮されている。そうだよね。こんな美しいものを見れば興奮するよね。お爺様が、わしは何も知らなかった。見なかった。というような顔をされている。大丈夫よ。お爺様今度はやらかしていないはず。だって、水晶群の中で色水晶みつけただけだもの!
「ジェマ嬢、新しい水晶を小さく加工できるか、また鷹に託したい。」
オズワルト様にお願いされたので、それぞれ小さなビーズにして、繋げて鷹の首からかけてもらった。少し重いけど大丈夫?
「この鷹は訓練しているから、少々のことは大丈夫ですよ。それよりこの色水晶たちを見た王家の方々の反応の方が怖いです。」
え、こんなに美しいのに。何が怖いんだろう。
「ジェマ嬢、顔に出ていますよ。こんなに美しいから利権をどうするのか怖いのですよ。」
そうにっこりオズワルド様が微笑む。利権とかはわたしに関係ないしー。7歳のジェマの頭からすっかりこの件はクリアされてしまった。40歳のわたしにも関係ないしね。
鷹が戻るまで、辺境伯様と歓談したり、お爺様とハンス、リッシャとゲーム、こっそりリバーシを作って遊んだりしていた。リバーシはこの後、オズワルド様に見つかって商業ギルドに登録して、マティアスさんを通すことって念押しされた。オズワルド様にも1セット提供したけどね。黒と白の石で作るリバーシはわたしのスキルのためみたいだもの。
鷹が戻ってきて、王家からは、それぞれのクラスターをいくつかと、スワロフスキー風にカットされたものをいくつか、持ち帰るようにと指示があった。もう少し大きなものを見てから判断されるそうだ。決定するまで教会関係者は採取するべからずである。
頼まれてポインターとスワロフスキー風のカットを作る。綺麗だよね。勾玉も作っちゃおうか。
面白くなって、黒曜石、大理石、蛍石、翡翠と他の石も勾玉にして、水晶、ルチルクォーツ、ローズクォーツ、ストロベリーローズクォーツ、紫水晶、黄水晶と全部勾玉にして余は満足じゃ。
あれ、守護石になっていないか?とか鑑定の使える付き人さんが辺境伯へこそこそ話をしていたけど、勾玉の形がいいんだよね。つるっとしていてくりっとしていて、はぁ素敵。作るだけ作って、オズワルド様へお渡しする。オズワルト様が少し苦笑していた気もするけど、気にしない。7歳のジェマはまったく気にしないー。だから40歳のわたしも気にしなくなった。人目を気にしないって本当に楽だ。
さぁ次のところへそろそろ移動することになった。本当はここの地下にもっと凄い水晶群がありそうなんだけど、わたしの中でストップがかかったので、誰にも言わないことにした。
7歳のジェマにもそれはわかったようだったので、猪突猛進の彼女も大人しくしていた。
優しくて温かくてほっとするような素敵な場所だったので、移動するのは少し寂しい。
さよならはまた会う日までの遠い約束って前世で聴いた歌の歌詞だったけど、本当今の気持ちにぴったりだ。水晶は人じゃない、感情も無いだろう、でも、いつかまたここに帰ってきたいなとそう思った。またね。さようなら。物言わぬ水晶に心の中で挨拶をした。




