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お爺様たちが出発したころ、お父様とお約束していた隣町に行くことになった。
うちの馬車と町で売る野菜を摘んだ荷馬車が2台。そこにわたしと村の子ども4人が追加で乗っていくことになった。村の子ども4人は年長の10歳から4人選んだ。これ以上大きくなると、村の一人前の働き手になる。子どもというくくりじゃなくなるのだ。世知辛いね。大人扱いになったら、隣町へ今日みたいに野菜を売りに行ったりできるから、今回は初体験は子どもだけなのだ。
わたしも村を出るのは初めてなので、どきどきする。村は1,000人規模だけど、町ってもっと大きいんだよね。
東の街道を馬車で移動。街道の横は森だ。恵みの森。苔もたくさん生えている。森が切れたら風景が広がる。遠くに町があるらしい建物の影が見えてきた。
この世界は魔物はいるけれど、害獣扱いでうさぎとか鹿とか狼系で、ゴブリンとかオークとかはいない。だから、町や村に塀はなく、なんだかそれだけでのどかに感じる。
まぁ村から護衛が1人、2人で荷馬車でのんびり野菜を売りに行けているのだ。この辺は本当いいところだなと思う。
「「「すげー!!」」」
町に着いたら、子ども達がその大きさにびっくりして叫んでいた。もちろんわたしも一緒に叫んだよ。思っていたより大きい。お婆様のご実家の領地って大きかったのね。
もちろん道は全部石畳だし、並び家も2階建はもちろん3階建ても多い。広場に少し街路樹があるが、苔の生えている場所などない。もちろん、シダも生えていない。きのこもない。
馬車が道を走り、軒先に屋台が並ぶ。
市場は肉がぶら下がり、果物も綺麗に並んでいた。その隣で布が売っていたり、食器や家具も置いてあったりした。
子ども達はカルチャーショックを受けているようだ。
「ジェマ、町って本当に苔やシダ、生えてないな。」
「そうでしょ。あれは村だからある大切な資源なんだよ。」
「わかった。苔もシダも大切にするよ。こんなに草も生えていないと思っていなかった。山も遠いし、森もないんだな。」
当初の目的は果たした!大人たちが野菜を卸しにいったので、子ども達と護衛1人で古着屋さんに行く。ここ頑張って稼いだお小遣いで服を買おう。村の服は行商人が来た時に買えるぐらいで、村の外に出ない子ども服は結構ぼろぼろなのだ。
子どもたちは、古着とはいえ、自分の好みの服が買えて満足した。
「お金稼ぐって大変だけど、買えるものが増えるんだな。俺もっと苔もシダも一生懸命採取するよ!!」
「また、マティアスさんから注文が入れば頼むよ!」
「おう、任せておけ!カッコいい苔やシダを集めてくるよ。最初はどこにでもある苔やシダを器に入れて何が面白いんだって思っていたけどな。町には苔もシダもないんだってわかったら、町の人がいいなと思うわけがわかったよ。苔もシダも見ているとほっとするもんな。」
「そうだよね。見ているとほっとするよね。だからといって、村の苔やシダを根こそぎとってしまえば失ってしまう。失ってしまえば人の力じゃ復活できないからね。」
「ジェマが俺たちを町に連れてきた理由もわかったよ。」
まぁ苔やシダを大切にして欲しかったのと、ぼろぼろに服を更新して欲しかったのと、せっかくのお小遣いを使う場所に連れてきたかったのがあった。子ども達に仕事をしてもらって、お小遣い渡しても、村の中じゃほとんど使えなかったからね。
「古着以外に、お小遣いの範囲で欲しいものがあったら、買いに行こう。」
「俺、一度でいいから、屋台で旨いものが食べたい。」
「あ。俺も、串焼きが食べてみたい。」
「じゃ、みんなで串焼き食べに行こうか。」
「「「おう!」」」
町の一番人が並んでいる串焼き屋にいき、みんなで注文する。村の子どもはぼろぼろの服だけど、気にしない。屋台のおっちゃんもお金を出してくれればそれでオッケーだ。
前世人目を気にして生きてきたから、7歳のジェマや村の子どもたちの大らかさを羨ましく思う。
今のわたしは7歳のジェマに引っ張られているから、ぼろぼろの服の村の子どもたちと一緒でも恥ずかしくない。
ジェマも村の子ども達も恥じる生き方していないもんね。
「「「うまー。」」」
「これ塩味だけなのに、めちゃくちゃうまい!」
「お、君たちグラニット村の子か、俺の串焼きはこの町一番なんだ。また買いに来てくれよ!」
「おう、おっちゃん、また買いに来るわ!」
美味しいものを食べてにこにこの子ども達。
うん、この串焼き本当に塩味だけなのに、美味しい。炭で焼いているからか。村も炭は豊富だ。一度村でも試して見よう。
わたしは、自分の小遣いで、胡椒と砂糖と魚醤のようなもの、植物油とレモンのような柑橘を購入。前世思い出して約半年、塩味のご飯に少し飽きてきたのだ。
家に帰ったらマルタと一緒に塩味以外の料理に挑戦しよう。串焼きはわたしが頑張ってみるよ。
後は、ぼろぼろの穴の開いた鍋とか、折れた剣とかも買ったというのか、捨てるものを貰ってきた。わたしのスキルだと地金として使えるからね。
馬車で半日かかるから、滞在時間は短い。お父様も野菜を町の商人に卸してみんなで帰ることにする。村はほぼ自給自足だけど、こうして定期的に隣町に売りに来るのはお父様の仕事のひとつらしい。ここでの売り上げで、村にはないものを頼まれて、例えば、布や糸や針などを買って帰ったりしているそうだ。
野菜だけではなく、村で採れるのは岩塩やチーズ、燻製肉やワインも村で食べきれない分は持ってきて売ったりしている。
わたしは、町で自分のスキルで作れるものがないかきょろきょろしてしまう。
そんな様子を他の子ども達が笑う。いや、町の大きさに驚いているわけじゃないんだけどね。
お父様が村のおばちゃんたちに頼まれて買っていた布や針や糸、手芸のお店に置いてあった、ボタンは木製が多かったけど、金属でも石でも作れるよね。針もいける。蛍石でビーズも作れる。アミュレットやサンキャッチャー用の紐を買っておこう。鋏や針は作れるから村に帰ってから作って、アミュレット作りを手伝ってくれている、おばちゃんたちに渡そう。
大好きな弟のティオとネオには、クッキーを買った。お高いので2枚だけだけど、今回お砂糖を買ったし、村に卵も小麦粉もあるから、町のクッキーを味見したら、村でも作ってみよう。
村に戻ってきたら、もう日が暮れかかっていたけど、物凄く楽しかった。お父様ありがとう!!
「姉さま!おかえりなさい!!町はどうでしたか?」
「ねえたまー。」
「ただいま、ティオ、ネオ、町は大きかったし、人が多かったわ。」
「ぼくも町に行きたいです。」
「ぼくもー。」
「また、お父様にお願いしないとね。」
「はい!」
「あい!」
ティオとネオはお土産のクッキーを物凄く喜んでくれた。
2人が姉さまにもと、自分の分を少しずつ分けてくれた。なんて優しくていい子たちなの!2人ともぎゅうぎゅう抱きしめてしまった。
クッキーの味は素朴な手作りクッキーっていう感じのものだ。この程度なら作れる!!
砂糖がもっとあればなぁ。村でサトウキビとか甜菜とか育てられないのかな。お父様に聞いてみよう。




