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鉱物好物  作者: ヒロ
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19/52

19

「ジェマちゃん、リーテおばちゃまよ!」


賑やかなリーテおばちゃまがお婆様のところへ再度突撃された後、お婆様の部屋に呼ばれた。相変わらず元気な方だ。


「リーテお義姉様、少しはしたないわ。」


「まぁマルグリット、ジェマちゃんに良い報告を持ってきたのよ。」


「ジェマに?」


「ええ、ジェマちゃんが作ってくれた箱庭テラリウムはわたくしのお友達みんなに好評なの。お茶会の時にご紹介して、少しずつ広がっていたのだけど、バーンズ侯爵家のリリアーナ様のところまで何故か届いて、そこから先、バーンズ侯爵が何故か気に入ってしまい、王宮の上位貴族のところで流行りだしてしまったのよ。ほほほ。」


え?上位貴族?ダメじゃない。そんな恐れ多い!!!


「まぁバーンズ侯爵ですか、温厚派のバーンズ侯爵家のご縁ならばまだ大丈夫かもしれませんね。それにしても、リーテお義姉様の周辺だけだと思っていましたのに。」


「わたくしもそのつもりでしたのよ。子爵家と男爵家ばかりの小さなお茶会で楽しんでいましたのよ。でも、伯爵家から子爵家にお嫁入されたメイリー様がおうちで楽しんでおられたところを、メイリー様のお姉様が気に入って、お姉様は侯爵家にお嫁入されていらっしゃったのよ、それでその縁でバーンズ侯爵家のリリアーナ様のところへ。これもそれも、全部箱庭テラリウムが素敵だからですわ。本当に自分が作ったのを何度見ても癒されますわ。」


「仕方がないですね。それでリーテお義姉様は今回何御用でしょうか?」


「まぁマルグリットはすべてお見通しね。箱庭テラリウムの容器と土と苔とシダと黒曜石と真鍮のきのことピンセットとスコップだったかしら、すべて20個分ご用意していただきたいの。」


「20個分ですか!」


「ええ、明日帰る前にご準備できますか?」


「え。明日?!」


「オットー。村の苔とシダを採ってきてくれている子ども達に至急分を上乗せして採ってきてくれるように頼んで。」


「はい、奥様かしこまりました。」


「ジェマは大丈夫ね。」


「ええ、お婆様、黒曜石はいつも多めに収納していますし、水晶もこの間たくさんいただきました。ゴンゾさんに真鍮も貰ったので、大丈夫です。」


「それより20個分になると嵩張りますが、リーテお義姉様はお持ち帰りは大丈夫ですか?」


「ええ、このために、収納のスキルを持ったものを今回雇いましたの。倉庫1個分ですが、箱庭テラリウム20個分なら余裕ですわ。それに予約いただいたお客様には準備資金も既に頂いていますの。マルグリットとジェマに損はさせませんわ。ほほほ。」


ちゃっかりしているのも大阪のおばちゃんらしい。

大急ぎで水晶の器をつくる。みんな同じものもなんので、四角いものを10個、球になったものを5個、少し深いタイプも5個用意してみた。


それに合わせて、土と小石、黒曜石と大理石、大理石は日本庭園の枯山水にできそうな感じで作ってみた。真鍮でミニチュアのきのこだけではなく、牛やうさぎも作ってみた。どんぐりも可愛いかもしれない。蓋の欲しい方に、器の蓋も作ってみた。密閉したバージョンのテラリウムだ。前世ではこっちの方が主流だったけど、今回は簡易版というのか、最初は自分のためのお遊びで作っただけだったのにな。ここまで大ごとになるなんて。


お小遣いを弾んでもらった、村の子どもたちは大喜びだった。わたしが望む苔や小さなシダを持ってきてくれた。


ピンセットやスコップも少し装飾を入れてみた。真鍮製だから黄金色に輝いて素敵に見える。単なる道具なんだけど、上級貴族の方々が使われるのであれば、気が抜けない。

お婆様にはよくやったわと褒めていただいた。

リーテおばちゃまはご機嫌よく帰られた。やれやれである。


注文が多くてドキドキしてしまったよ。

水晶はまだほんの一部しか使っていないし、苔もシダも黒曜石も大理石も村のどこにでもあるから、材料的にはぜんぜん問題ないんだけどね。

本当何が好まれるかなんてわからない。

リーテおばちゃまは真鍮製のきのこがつぼにはまったのか、たくさん欲しいと言っておられた。いや、1個の箱庭テラリウムに1個か2個ぐらい飾りで置くのが可愛いんだけど、リーテおばちゃまはどれだけ置くつもりなんだろう。


我が家でもひとり一個箱庭テラリウムを持っていて、自分の部屋で愛でているようだ。わたしは苔と黒曜石の対比が物凄く好き。前世社会人の心を癒してくれる。7歳のジェマは小さなきのこやどんぐりがお気に入りだ。ミニチュアって可愛いもんね。レゴみたいに小さな人型のミニチュアも作ってもいいかも。真鍮で作るならロボになるか?いやロボはこの世界に早いよねー。だから小さな真鍮のお人形を家族分作ってみた。あら、可愛い。3センチぐらいしかないのが余計可愛い。お爺様が3センチでネオは2センチぐらいしかない。みんな並べて窓辺に置いてみた。7歳のジェマがにこにこにやにや、人形を見ている。時々動かしたりしている。結構気に入ってくれたようだ。わたしも見ているとにやける。可愛く作れて嬉しい。

ただ、小さいからティオとネオが誤って飲み込む可能性があるから、自分の部屋からは出さない予定。自己満足。7歳のジェマと前世のわたしがどっちも同じぐらい満足している。そんな感じ。いいね。こういうのも。


香炉の注文も少し増えてきたようだ。お爺様とハンスが山で良い香りの木の枝を探しているのが続いている。杜松の木の森の香りも結構好きなんだけど、白樺系もいいみたい。

白檀や伽羅とか前世のお高い香木はないんだけど、森の木もこの村の香りでわたしは好きだな。


夏には蚊取り線香でも作ろうかな。豚のあれ作りたい。あ、蚊遣り豚は陶器か、でも磁器なら石だ。石なら作れるかも!


お爺様に磁器用の細かい石が領地にあるか聞いてみよう。

蚊遣り豚は、わたしの前世の感傷である。ただ、夏場の部屋に置きたいだけなのだ。除虫菊も探そう。お婆様の鑑定でわかるだろうか。村の薬師に聞いてみた方が早いだろうか。春も終わり、初夏が来ている。

リッシャに頼んで明日は村へ行こう。



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