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鉱物好物  作者: ヒロ
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お爺様とお父様とお婆様とお母様とティオとネオ、ハンスにオットー、リッシャにフィーナと勢ぞろいして水晶の洞窟に行くことにした。最近大人ばかり外歩きでティオとネオがくすぶっていたのと、今回はお爺様がお婆様に水晶を是非見せたいということで、それならばと家族全員で見に行くことになったのだ。オットーは我が家の執事だ、今後の水晶の売り方を考えてもらうためにも必要だということで連れてこられたんだよね。まぁ興味津々といったところだ。


「ほぉ。これは、凄いですね。この水晶。これでも王宮直轄地にならないぐらいの規模なんですね。」


初めて見たオットーが驚いている。同じく初めてみたお婆様は声も出ないみたいだ。そんな驚いたお婆様をお爺様がにこにこ見守っている。初めてみる水晶の鉱床にティオとネオも興奮していたが、水晶にぶち当たって壊すといけないから、フィーナとリッシャがしっかり手を握っている。


「姉さまが前にお土産にくださった水晶はここで採れたのですね。とても綺麗です。」


「いっぱいありゅ!」


ネオは見たことない風景に大興奮だ。ティオだって冷静に見えるけど目が輝いている。

わたしは、水晶がにょきにょき生えているところをぶつからないように丁寧に見ていく。色付きの水晶があるといいんだけどね。

少しスキル探索を使ってみる。ぴこんと何かがひっかかった。ん?この水晶のホールではないようだ。


「お父様、こっちにも、何かあります。」


「ジェマ、何か見つけたのかい?」


「探索でひっかかりました。この壁少し切り取っても良いでしょうか。水晶には傷をつけませんから。」


「気をつけるんだよ。」


壁が崩れないようにまわりをスキル硬化で固めてから、反応があったあたりまで、岩盤を切り取る。切り取った岩盤は邪魔にならないように一度自分のインベントリに収納する。大人が通れるぐらいの大きさで、5歩ぐらい進めるぐらいに掘り進めると、透明で薄い緑や青っぽい色の岩盤が現れる。これは?スキル『鉱物の鑑定』

あ。これ蛍石だ。


「あら、フローライトの岩石ね。」


いつの間にかお婆様が後ろにいらっしゃった。びっくり。フローライトは蛍石の別名だ。なんだなんだと、お爺様も後ろから顔を出される。


「なんじゃ、半透明の石か。これは価値があるのか?」


「そうですね。効果は癒しと集中力の向上とありますね。少し脆いようなので、それほど価値はないかと思います。」


お婆様の鑑定では、いまいちの価値のようだけど、前世のわたしは知っている。蛍石は綺麗なのだ。


「お婆様、ちょっと見て下さい。この蛍石、あ、フローライトでペンダントトップを作ってみますね。」


わたしは岩盤から少し石を切り出し、三センチぐらいの楕円に加工し、研磨する。そして、脆い蛍石を硬化させた。綺麗。蛍石は光に当たるともっと綺麗。


「お婆様、これは外で見ると、とても綺麗です!」


「まぁジェマは簡単に加工してしまうのね。確かに綺麗です。フローライトも間近でこうしてみたことがなかったけど、宝石ではなく気軽に身に着けられるのであれば、売れるかもしれないですね。」


わたしはお爺様の許可を得て、フローライトの岩石を大きく切り取った。まだ奥の方も続いているようだ。水晶といい、うちの領地は当たりではないか。蛍石の原石からも優しい波動を感じる。石の波動はどれも優しい。癒される。


ダイヤモンドやルビー、サファイアやエメラルドみたいなわかりやすい宝石じゃないけど、前世のわたしは半貴石と呼ばれる石が好きだった。自分に価値がないと思っていたので、煌びやかな宝石は似合わないと思っていただけに、水晶の優しさや蛍石や翡翠に癒されていたのだ。再び転生後にこれらの石と会えて嬉しい。


この後、水晶も25メートルプールいっぱいぐらいの広さにみっちり生えているので、端っこの方を、抱きかかえられるぐらい大きなもの以外の形があまり綺麗じゃないものを選んでわたし用に頂いた。オットーから戦略的に使えそうな比較的綺麗な形の中程度の大きさのものも持って帰るために採掘を依頼された。わたしのスキルなら瞬間でゲットできるからね。お父様とオットーは今すぐ売らないようだ。


水晶を一番必要としているのは、スキル授与している教会だ。村の教会は良いとして大きな教会に抱きこまれるのは本意ではないとのことだ。

まぁわたしとしては個人的に使ってもいいってOKでたので、それで十分。


家に帰ったら、お爺様が家族全員を応接室に呼んでニコニコ笑いながら問いかけられた。


「さぁ。家族会議だ。銅に水晶に、ジェダイトにフローライトと我が領地は今、いろいろ見つかった。これをどう生かすのか、何でもいい、思いつくことがれば、教えて欲しい。」


「そうね、ジェダイトとフローライト、水晶も装飾品や護符などが作れますわね。」


「ジェマの箱庭テラリウムは家族だけではなく広げても良いかもしれません。リーテお義姉様がかなり気に入っておいでです。」


「銅で蒸留器を、翡翠で香炉を作りたいです!」


「まぁジェマ。蒸留器?あと、香炉?って何かしら。」


「お母様、蒸留器は香りの成分を集めることができるんです。あと、お酒の酒精を強くしてくれるものです。ぼこぼこ茹でてもくもく煙になったら、それを冷やしたら出来上がりです。」


「まぁ。そうなのね。香りなら、うちの村にあるローズマリーやミントを使ってみるのもいいわね。たくさん自生しているから。」


「あと、香炉は乾いた木を乗せたら、いい香りがするの。その器みたいなものなの。ええっと、作ってみるね。」


わたしはインベントリから翡翠と黒曜石を取り出し、それをスキルで加工し、下を黒、上部が緑色のちょっと中華っぽい香炉を作り上げた。ころんとした形で可愛い。


「あ、お母様、角うさぎの魔石を使ってもいいでしょうか。」


「あら、いいわよ。でもすごく小さいわよ。」


わたしはオットーに頼んで角うさぎの魔石を受け取ると、スキルで加工していく。魔石も石なのだ。わたしのスキルが及ぶのだ。魔石は前に気になってオットーに1個事前にもらって加工ができるか試したことがあった。その時も延ばしたり加工したりしてみたのだけど、今回も出来た!


わたしは、ちょっと待っていて!と慌てて自分の部屋に戻り、木の棒を持って帰ってくる。家族全員目が点である。すまん。説明が出来ていなかった。


「この出来上がった、香炉の中に、角うさぎの魔石で作った台を入れて、この台の上に、この木を、お父様!少し削って台の上に載せて下さい。」


「おお、わかったよ。」


お父様が香炉に木の棒を削って、台に載せてくれる。魔石で作った台は上に物が載ると熱を持つように作ってみた。ふんわりいい香りがしてくる。森の香りだ。


「おっ、これは良い香りだね。なんだい?」


「これは、乾燥した杜松の木です。前に森に遊びに行った時に落ちていて、ちょうどいい感じだったので、持って帰ってきたのです。香炉に入れる木が他になかったので試しに入れてみました!」


「姉さま良い香りがします!」


「ぼくも好きー!」


家族全員参加なので、お母様の膝の上でネオが座っていて、わたしの隣にティオがいたけど、なかなか話に参加できず、ちょっとうとうとしかかった時に、良い香りがしてきたので、ちょっとびっくりしたようだ。どこから香りがしてきたのかきょろきょろしていたけど、香りの先がわかって、にこにこしている。可愛い!


「この香炉とやらは、香りがしているのは何故だ?」


「お爺様、魔石の台の上に物を載せたら熱くなるように設定したのです。乾燥した木が熱で良い香りを出しているのです。」


「ま、魔石が熱をだと!?」


「はい。上に物を載せたらじんわり温めるようにしてみたのです。」


「ジェマ、魔石が加工できて、熱を付与できるのか?」


「ふよ?って何ですか?お爺様。」


「付与とは、特殊効果をつけるというような意味だ。エンチャントとも言う。ジェマは魔石に物を載せたら熱くなるという効果をつけたということだ。なんてことだ!」


「父さん!魔石に付与なんて普通にできましたか!?」


「付与魔法スキル持ちや魔道具師が魔道具を作る時に付与を行うことはある。しかし、こういう使われ方は初めてだと思う。ただ小さな木の破片を温めるだけのものなど、見たことも聞いたこともない。」


「ジェマ、これは火事になるとか危険はないのか?」


「じんわり温めるだけなので燃えるところまで熱くなりません。小さな角うさぎの魔石なので、これぐらいが精一杯です。」


「そうか、温めるだけで、森の雨上がりのような良い香りがするのだな。森にいくらでも落ちている枝なのに。」


「魔石を加工して付与したといっても、害のない範囲であれば良いか。村の魔道具師に付与してもらったことにするか・・・。魔石を薄く延ばすことは普通誰にもできぬ・・・。ジェマ、魔石はそのままの形で付与できるか?」


「大丈夫だと思います、でも、丸くて小さい魔石の上に木の破片は載せられないかも・・。あ、魔石の上に薄い水晶の台を作ってみます。オットー、角うさぎの魔石もう1個もらえますか?」


恭しくオットーが角うさぎの魔石を差し出してくれたので、恭しく受け取る。さっきの香炉に付与した魔石とその上に水晶の台を置いてみた。


「お父様、またこの枝削って下さい!」


「ああ、わかった。」


お父様が絶妙に破片を削って台の上に載せてくれた。みんなでじっと見つけていると、今度も良い香りが漂ってきた。ヨシ!成功だ。


「わかった。今度は村の魔道具師に会いに行ってくる。これと同じ付与ができるか試してもらおう。」


「では、これはお爺様に差し上げます!」


「おお、ありがとう。ジェマ。香炉自体も村で作れると良いのだが、陶工にも声をかけてみよう。

あと、さっき蒸留器と言っていたな。蒸留器は聞いたことがある。エドモンのところでワインを作っていたが、アルノーが、そのワインを蒸留するんだってはりきっていなかったか。あいつのところには、いつもチーズを送って、代わりにワインが届いていたが、今度聞いてみるといい。」


「ああ、そういえば、アルノーがワインを蒸留するんだと言っていたのを聞いたことがある。蒸留器は銅を使うらしいな。今度聞きに行ってくるよ。」


お爺様とお父様の会話で出てきたエドモンさんはお爺様の弟さんで、男爵家の領地のはしっこで広大なワイン農家を営んでいる。男爵家の次男さんで、後継ぎではないから好きなことをすると酒造りに邁進されている。アルノーさんはエドモンさんの息子でお父様の従兄弟。エドモンさんよりもお酒が好きな人だ。アルノーさんの子ども、リュシアンがわたしと同じ年で7歳、妹コレットが4歳。2人は、はとこだ。お父様に連れられて時々会いに行くよ。


「銅は、青銅にしてナイフを作っても良いし、少し真鍮にして先の装飾品にしてもいいわね。」


「ディアのナイフを新調しようか。ゴンゾに頼んでおくよ。」


「お父様ぼくもナイフ欲しいです!」


「ティオはまだちょっと早いかな。まずは木剣からだ。練習するか?」


「ぼくやりたいです!!」


ティオの目がきらきらしている。超頭のいい子で本読んだりするのが好きだから、てっきり剣を使いたいなんて言わないと思っていたので、びっくりした。男の子なんだな。


「ぼくもー。」


「はは、ネオは木剣すら早いな。もう少し我慢しなさい。」


「やー。ぼくするー。」


「ねぇ、ネオ、姉さまのお願い聞いてくれない?蒸留器が出来たら西の川にミントを取りに行くの。ネオもミント一緒に摘んでくれる?」


「え?みんと?ねえたま、いるの?」


「ええ、たくさん欲しいわ。」


「じゃ、ぼくとってあげる。」


「ネオ、優しいのね。ありがとう!」


「姉さま、ぼくも手伝います!」


「2人ともありがとう。蒸留器ができたら、ミントいっぱいとって、ミントのアロマを作ってみたいの、ミントは虫よけにいいのよ。」


「確かに、虫よけはあると助かるな。出来たらわたしにくれないか。」


「ええ、上手に出来たら、お父様に差し上げます!その前にお父様が蒸留器を教えてもらってきてくださいね。」


「わたしも頑張って調べてくるよ。楽しみだね。」


ネオは剣のことを忘れただろう。一緒にミントを採りに行くんだとわくわくしている。可愛い。ティオはリッシャから剣を習うそうだ。

わたしはお婆様から礼儀作法とオットーから読み書きを習っているけど、それだけでいいのかな。前世を思い出すまで、ありとあらゆる時間全力で駆けていたみたいだけど、少しは大人しくしないとね。


蒸留器関係はお父様が勉強することになって、香炉はお爺様が村で試作を作ってみるとおっしゃっていたのでお任せしようとしたけど、水晶の薄い台だけはわたしにしか作れない。これは薄くても割れないように硬化もして、お爺様にお渡ししよう。お婆様からはリーテおばちゃまからの依頼で箱庭テラリウムが欲しいということだったので、水晶で器を作ろうと思う。水晶たくさん貰ったからね。


真鍮と蛍石でアンティーク調の装飾品も作りたい。半貴石ならば、平民の村人でもおしゃれで使えるだろう。

小さめのブローチとか、髪飾りを作ろう。可愛いボタンやチャームやお守りもいいかもしれない。まずは、お婆様やお母様に可愛いと言われたい。


青銅のナイフはお父様がゴンゾに頼むとおっしゃっていた。武器関係はよくわからない。日常に害獣駆除で使っておられるお母様がご担当されるかも。

そんなに一気に作ろうにも人手が足りない。うちの村の鍛冶屋は2軒だけだし。今まで宝石等は産出されていなかったから、宝飾品の加工とか細工をする人は村にはいない。

翡翠や蛍石はこっちの世界では宝石扱いじゃないみたいだった。王宮の人もほぼスルーだったしね。しばらくはわたしがちまちまと作っていくしかないだろうな。でも、好きな石を好きなように加工できるのは楽しい!


箱庭テラリウムは、水晶の器さえ作れば、土と苔と黒曜石は村にどこにでもある素材で、他の人でも作れると思う。まぁ黒曜石は箱庭におけるぐらいに小さめにカッコいい形に加工はしているけど。リーテおちゃばちゃまの感じからも、自分でいちから作る方が楽しいかもしれない。見本は作るけど、自分でも好みで作れるようにキットをもっと作ろうか。

売り方はお爺様とお父様にお任せしよう。


家族会議は成功のまま終了した。お爺様とお父様、お婆様もお母様もニコニコ顔だ。ティオとネオはよくわかっていないけど、自分たちも発言できたのが嬉しいみたいだ。

家族って温かいものなんだなって、転生して初めて感じられたけど、子どもの意見も受け入れてくれるなんて、本当この家の子に転生できてほんと幸せ。


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