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その頃王宮へ向かう馬車の中では
「いやぁ。良い村だったな。」
オズワルトはお土産にいただいた燻製肉、チーズ、ベリーが入っている籠を眺めた。ワインは別の籠に入っている。
「この燻製肉は楽しみだ。」
「ヴェルナー部長はどこへ行っても食べ物の話ですね。」
エドリックが窓の外を眺めながら答える。
「食は大事だぞ。」
「まぁ確かに。」
「それにしても、幸運な村だな。」
「銅鉱脈のことですか。」
「ああ。鑑定士が見切りをつけた鉄鉱山だ。廃坑のままでもおかしくなかった。」
「廃坑認定の基準が見直されるでしょうね。」
「やはりそうなるか。」
「ええ、少なくとも追加調査や鑑定士の技量が試されるでしょう。」
「鉱山部ではなく他の王宮の役人に頑張ってもらおう。」
いやうちの仕事になるだろうとエドリックは苦笑する。
「それより、気になることがありました。」
「ほう?」
「坑道です。」
「エドリックも気づいたか。」
「ヴェルナー部長もですか。」
「何十年も鉱山を見てきたからな。」
「脆い岩盤の層に見えるのに、岩盤が硬かったのです。」
「私もそう思った。ぱっと見た目脆そうなのに、まったく崩れていなかった。」
「崩落してもおかしくない状態なのに、非常に安定していた。不思議でした。」
オズワルトは苦笑すると、
「何年生きていてもわからんことがあるな。」
エドリックは妙に引っかかることが気になるが、現時点では何もわからないのがもどかしく思う。
「また、この村に来る気がします。」
「またか?」
「ええ、何だかそんな気がするのです。」
「エドリックがそんな不確かなことを口にするのは珍しいな。」
「自分でも驚いています。」
オズワルトが籠の中のベリーを一つ摘みながら口にほおりこむと、
「その時は私も一緒にこよう。」
オズワルトの中にも村に何度も足を運ぶことになるような予感がしていた。このままでは終わらんぞと自分の今までの経験がそう言っている。
ただ、今回は良い村で、いい視察だった。
お土産にいただいた籠の中をどう分配するのか2人で少しもめたけど、そう報告しよう。
王都に着くまでに、2人でベリーを食べつくし、燻製肉をナイフで削って食べきった後、もう後にした村を懐かしんだ。




