47 歓喜!!
僕とレイブンはお互いの近況を話しあった。なんと、レイブンはチャイガの管理する南国リゾート風の世界に転生していた。僕が渡した名刺を元に扉を訪ねて、翼のある人族の王族に生まれ変わっていた。
そこで権力争いに勝ち、空にある世界の王になったらしい。凄いね、流石レイブン!
僕はというと、レイブンと別れてから無限回廊で生まれ変わる世界を決められずに、ずっとブラブラしていたことを告白した。すると、やっぱり凄く呆れられた。
「お前なぁ~、あれからずっと迷っていたのか?しょうがない奴だなぁ~」
「うっ、行きたい世界が特に無いんだよ、だったらレイブンが決めてよ!レイブンが生まれ変わる世界に僕も一緒に行く!独りで転生するのも嫌だし」
レイブンが僕のポンチョのフードをおろして、髪の毛をグシャグシャにして頭を撫でる。
「うわー、やめてー髪留めがとれちゃうー」
「1人で転生が嫌だと言っても、どうせ生まれ変わったら、あの世での事は忘れるんだぞ。一緒に転生する意味があるのかよっ!」
「でも…知らない世界に1人で行くのは…」
僕とレイブンが話している間、マッシュはおとなしく二人の話を聞いていた。
だが、ここで口を挟む。
「あの~、わし思ったんだが、ここでの事が分からなくても、向こうで一度でも会えれば良いのであれば…スキルで呪いとか追跡機能とか設定して転生すれば…なんとか相手と会えるのでは?」
「「呪い…」」
二人が同時に反応した。
「あれだ、俺の言霊スキルで、できないこともないか…たとえば、相手のいる方向が何時でも何となくわかるようにするとかだが」
レイブンが例をあげる。
「それ!それやってよ!」
「あぁ~?何で俺がそんなことしなきゃいけないんだよ。俺にメリットがないと、やる意味がないだろう」
流石、レイブンだ。
自分の利益にならないことに対しては腰が重い。彼が渋るので僕は、ここは攻め時だと思い畳み掛ける。
「メリットはあるよ。僕がレイブンの位置がわかれば覚えていなくても、そこに行くと思うし。あれだったら、会いに行きたくなるように指定して出会った先でレイブンが困っていたら、絶対に助けるという内容の制約にしてくれれば、もしもの時のレイブンの保険になるでしょう?」
レイブンが少し悩んだ末に頷く。
「まあ、そんな内容で良いのか?お前にとって損じゃないのか?」
「僕は1人だと、ずっと転生先が決められないと思うから凄く助かるんだよ!ねっ、それでいこうよ!」
「まぁ~お前がいいなら俺は良いけど」
とりあえず、僕とレイブンの話がまとまった。
正確には丸め込んだといった方がいいだろうけど。
僕はレイブンの居場所がわかるようにしてもらい、レイブンに、その対価として転生後に彼が困っていたら無条件で助けるという内容だ。
僕は心の中で歓喜した。
彼は僕がどれだけ喜びにうち震えているか想像もしていないだろう。でも、それでいい、契約が完了するまでは僕の思いなど気取られてはいけない。再会した瞬間からレイブンをターゲットに絞ったことを気づかれてはならない。
これで転生先でレイブンを見つけられる。覚えていなくてもレイブンと会える可能性があるなら、いくらだって彼を助ける。そんなのは僕にとって対価にはならない、魂のポイントも沢山あるからレイブンをサポートできるようなスキルをいっぱい取らなきゃだね。僕は嬉しくなって先の展望を色々と考える。
「行く世界は俺が決めて良いのか?」
「うん、僕はレイブンが行きたい世界に行くから」
話がまとまった後に無限回廊が少し揺れた。
「あれ、何か揺れてない?」
「ホウロウ揺れてる!地震だ!」
「おいおい、また、何処かの世界が滅ぶのかよ」
三人は回廊で身を低くして倒れないように膝をつく。
揺れは次第に大きくなり立つこともできないほどだ。
「あっ!見て、そこの回廊の壁が光ってる」
「これは消滅じゃなくて誕生だな!」
「わし、新しい世界の誕生の瞬間を初めて見る!」
段々と壁の光が強くなり、目を開けていられずに三人とも目をつむり腕などで光を遮る。
ドーーーン!
最後の大きな揺れと共に、それは収まり光も消える。
「扉が見える、新しい扉ができた?」
「白い扉か?」
「白のようでいて、キラキラとラメ状に光が全体を覆っている?わし、こんな色の扉を見たことがない」
そして、無限回廊の躍動と共に新しくパールホワイトの扉が三人の前に現れた。
それは新しい世界の誕生の瞬間だった。




