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36 部屋の整理は心の整理。

 僕達は、あの後ブロックモの作業も終わり屋敷に帰宅した。

 魂本体なのに魂が抜けたように僕はボーとしながらリビングのソファに転がっている、目線は何もない天井。


「なんだ、帰ってから元気がないな…何か食べるか?」


「いらない~」


 ブロックモは作業内容を紙にまとめ終えると、それらを片付け台所に行ってしまう。


 はぁ~。


 僕も無限回廊に行って生まれ変わった方がいいんだよね。でも、どの世界に行ったら良いかわからないし、いっそのこと誰か一緒の世界に転生してくれたらいいのに…。


 ブロックモは僕がいらないと言ったのに、食事用のテーブルに四つ折りにしたクレープを果物とクリームを添えて皿に飾り用意してくれた。勿論、ミルク入り珈琲も忘れずに。

 彼は何も入れない珈琲だけを飲んでいる。


「これでも食ってろ!」


「あっ…ありがとう、いただきます」


 僕は流れるように席につきブロックモに感謝しつつデザートを口に運ぶ。


「で、何を悩んでいるんだ?」


 僕が半分ぐらいを食べ終えた頃のタイミングで彼が声をかけた。


「あ~、知り合いがドンドン転生しちゃうから僕も、多分、生まれ変わった方が良いんだと思うんだけど」


 僕は歯切れ悪く答えた。

 

「それで?」


 ブロックモは僕の話をゆっくりと聴いてくれた。


「生まれ変わる世界が決められないから、知ってる誰かと一緒に転生できないかな…と」


 僕はブロックモの顔色を伺いながらボソボソと言った。


「そうか、なるほどな」


「ブロックモは次の転生をもう決めているの?」


 彼も珈琲を飲んで少ししてから口を開く。


「俺か、俺は中庭街の全修繕箇所の修復が終わったら直ぐに建築物の種類が多い、前回、目星のつけていた世界に生まれ変わる予定だ」


 僕はブロックモが生まれ変わる世界をもう決めていたことにショックを受けた。

 また、置いていかれるのかと。


「もし、俺と同じ世界にルチルがついて来たとして建物ばかりの世界だぞ、本当にお前が()()()()と言えるのか?それに」


「それに?」


「世界は広い。あの世の記憶は向こうには引き継がれない、だから、向こうで会うこもないし会ってもわからない、それでも意味があるのか?」


 僕はうなだれる。


 痛いところをつかれたがブロックモが言ったことは僕が心の中で思っていたことだった。


「うっ…そうだよね」


「それに今は無理に決められなくとも、いいんじゃないか?もし、それでも転生先を決めたいと、どうしても思うなら」


「思うなら?」


 僕は顔をあげて彼の顔を見る。


「何でもいい、それに繋がると思うことを何かひとつでも、やればよいと思う。一歩でも前進すれば、それだけ前に進めるからな。まずは自分ができることをすればいい」


「僕ができること…」


 僕は彼の言葉をかみしめる。


「僕、やってみるよ!できることを」


「そうか、俺が言ったことだが…あまり無理するな。疲れたら、そのソファでいくらでもゴロゴロしていればいいしな」


 僕は早速、席を立つとブロックモはもういいだろうとテーブルの上を片付けだした。



 それから僕は無限回廊に旅立つ前の準備をするとこにした。

 これが今の僕に出来ることのひとつだから。


 僕は自分の部屋だといわれた場所の扉をあけて、殺風景な何もない部屋を見回す。そして、前回見た物置部屋の扉をあけて中に入ると、使用法がわからない物たちを一通り眺めた。これ全部、前回の僕が誰かから貰ったものだとブロックモが話していた。


 それらに興味がなく適当にこの場所に放り込んでいたらしい。まあ、多分、話を聞いた感じだと前の僕はスキルや物に興味を持たない、特別なこだわりを持たない性格だと思うから、前の僕が何を考えていたのか気にしても仕方ない。


 今は、この部屋の物を片付けてから無限回廊にとりあえず行ってみようと思う、立つ鳥跡を濁さずだしね。




 僕の出来ることをする。



 そう、この時から僕は他人を巻き込んでもいいから、物事を決められる自分になろうと思い始めていた。


 僕の魂の何かがカチリと音をたて歯車が周りはじめる。




 

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