28 宝飾店で店内を物色しよう。
ネックレスや指輪だけを置いている店や髪飾り全般を並べている店、多種多様なアクセサリーの店が所せましと並んでいる。そこを僕はタンポポちゃんと商品を眺めながら歩く。
「ここら辺は普通のアクセサリーっぽいけど、空間収納付きのアクセサリー店って、どれだと思う?」
僕は振り返りタンポポちゃんを見ると彼女は少し考えた後、一軒の大きめな店を指差す。それは回りの店より広い敷地で看板が袋と宝石を表したデザインになっている。
店の商品はネックレスから腕輪、綺麗な石のついた帽子など幅広い品揃え、文鎮やペンまである。
「この店がそうなのかな?」
僕は店に入り店内を物色する。
店の中は繁盛しているようで客が多く店員らしき者が3人いて品物の説明をしているようだ。
種類が多いから何を買えば良いのか分からなくなる。確かに店員の意見を聞くのが一番なのかも、でも今は忙しそうに話をしているので手があくまで商品を一つ一つ順番に見ていくことにする。
「ポポナ、ホウロウ、似合う、探す」
タンポポちゃんは僕にピッタリのアクセサリーを探す気まんまんだね。僕、外見は女だけど派手なネックレスとか大きなリボン付きの髪飾りとかは…ちょっと嫌かも、シンプルなブローチとかなら嬉しいけど。彼女が僕の髪や首もとに品物をかざし首をひねっている。
「タンポポちゃん、僕、シンプルで実用的なデザインが良いかもっ!」
恐ろしいデザインのものを選ばれても困るので予防線を張っておく。
「シンプル、実用的?」
タンポポちゃんは考えるように顎に手をあてている。
「あっ、お店の人の手が空いたみたい行こう!」
彼女の手を握り通路を誘導するが何かブツブツ言っている。
「シンプル…」
僕が声をかけた店員さんは綺麗な男の人で長い髪を横で一本に結んでいてピンクゴールドの髪がキラキラしている。
「あっ、背中に綺麗な羽が」
「いらっしゃいませ、当店へようこそ」
口では歓迎の言葉を紡いでいるが無表情て愛想笑いもない、でもそれと相対するように店員さんの背中には透き通る虹色の羽がわずかに動き輝いている。
とても綺麗だ。
店員さんは本物の妖精だ。僕の虫のような、なんちゃって妖精みたいなのではなく正真正銘の妖精、長身の男の人の背中に綺麗な羽が生えていても、なんの違和感もないバランスのとれたスラッとした姿。レイブンも顔が整っていたが目付きが悪いので綺麗というよりは、かっこいいになる。妖精の彼は男なのにマップ売りエルフより目立つ。
あれだ、もしかしたら綺麗な店員さんのいる有名な店なのかもしれない。心なしか他の店員さんも種族は違うようだが皆、綺麗めで女の人もいる。
「あの~僕、この店初めてで商品の説明をお願いしたいのですが…」
「なるほど、当店は商品の種類が豊富で機能がそれぞれ違う空間収納になっています。外見の素材と添付された機能別に、お値段が変わります」
僕とタンポポちゃんは二人で説明を聞く。
「入口付近の小物は魔力を含んだ宝石がついていませんので容量の小さなもので価格も割安です。奥の方に行くほど大容量収納できるタイプで魔力を持った特殊な素材でできた物や魔石を使った仕様のものになります。質問はありますか?」
僕は少し気になっていた丸い文鎮を指差す。
「例えば、これは文鎮ですよね。これも空間収納になっているんですか?」
妖精店員さんが石のついていない文鎮を手のひらに乗せ説明する。
「これは書類のみ収納できる安価なものですが書類仕事のさいに机のスペースを確保する為、一時的に別の書類を閉まっておくタイプです。容量は少ないですが事務仕事には重宝されていて人気です。こちらのペンも同じでインク瓶のみが収納できるようになっています」
「そうなんですね、僕には必要無さそうです」
「そうですか」
僕と妖精店員さんが話しているとタンポポちゃんがツバの大きな帽子を持ってきて僕に被せた。
すると、僕のコバルトブルーの髪が帽子に吸い込まれるように入り結んでないのに結んでいるように邪魔な髪がおさまる。
いやーこれは似合わないと思うよ。
「そちらは、どんなに長い髪の方でも帽子に髪を収納できるタイプです。外出時に髪を引きずって歩くのが大変な方が買われていきます。女性用ですがツバの小さい男性用もあります」
僕は帽子を脱いでタンポポちゃんに渡す。
「僕の髪は肩ぐらいだから必要ないですね」
タンポポちゃんはガックリと肩をおとし元の場所に帽子を戻しに行っている。
「どのような物がよろしいですか?」
「収納力が大容量だけど装飾品が大きくなくシンプルで実用性があるものです」
僕の言葉に妖精店員さんが考えたのちに答える。
「それでしたら、あちらの奥にあるガラスケースの中に有るものが高価ですが大容量で小さな装飾品で実用的ですよ」
促された方を見ると高級そうなガラスケースに小さなアクセサリーが並んでいる。
うわー本当に高そうだ!
だけど僕には銀行でおろした魂ポイントが大量にある、大丈夫だ高くてもきっと買えるはず。僕がガラスケースを眺めていると妖精店員さんは他の客に呼ばれて離れていく。
タンポポちゃんは別の場所に移動して壁に飾られたブローチを見ているようだ。
僕は奥のガラスケースの方にひとりで近づく。
ケースの中にはカラフルなダイヤモンドのような宝石がズラリと並んでいる、これが魔石と呼ばれる物だと思う。ピヤス、イヤリング、イヤーカフ、確かに小さな装飾品。だけど…こんな高価そうな物、これって落としたら怖いよね、軽いから落ちた時感覚的に分かるのかな?!
わぁ~、何か数字が並んでる値札の数字って魂Pコインの数だよね。
0が多いんですけど。いや、それでも買えちゃう僕って…おかしいよね。多分、全部買っても余裕だよっこれ!
どうしよう、こんだけあると選べない。下の段には腕輪タイプのもある。これなら落としても気づくかも、僕は夢中になって商品を一つ一つ確認していく。
あまりにも集中していたのが悪かったのだろう少し後に下がりケースを覗いた拍子に誰かにぶつかってしまった。
ドン!
「いてっ!おい、何だお前!」
「ひーっ、ごめんなさい確認しないで下がりました」
誤りながら後に振り向くとワインレッドの服を着た黒髪に金の差し色がある男が立っていた。
知った顔だ。
「レイブン?!」
「何だよボーク、お前か…ちゃんと後ろを見ろ危ないだろ!俺だから倒れなかったんだからな」
ニヤリと笑い僕の肩を軽く叩く。
「こないだぶりだな、元気そうじゃないか」
「レイブンも元気そうだね。あれ?足が地面についてる!いいの?足の裏が汚れちゃうよ」
出会ってから長い間、浮遊しているレイブンしか見たことがなかったけど地に足をつけているレイブンってとても新鮮だね。
僕がレイブンと離れていた時間は短いのに何だか懐かしい気分になった。




