14 一難去ってまた一難。
海のように何処までも広がる森、それの上を僕を抱えて優雅に飛ぶレイブン。
回りを眺めると今のところ敵対する魂は見当たらない。しかし、周囲の空気がいつもと違う。
こころなしか視界も悪く霧が少し出てきたようだ。
いつもと違うのは景色もで少し先には空から滝のようなものが流れ落ちているのが見えた。それが森の木々に潤いをあたえている。
滝は常時流れている訳ではなく不定期で流れ落ちていたので僕が今まで見たことがなかったらしい。
レイブンの話によると滝は真新しい魂の誕生の場で、遥か上空から流れる滝にはピチピチの魂が魚の姿で無限回廊に放たれるのだとか。
川を流れ湖にたどり着きランクアップして森を徘徊する。最初の魂の誕生の工程。僕たちも、そうして一番最初にこの無限回廊に放たれたらしい。
ほとんどの者がその時の記憶がないので多分そうだろうとの事。
この滝は魂が作られる時のみ発生する。滝の出現と共に樹海全体が霧に囲まれ薄暗くなるので、とても視界が悪くなる。
今現在、先ほどよりも霧が濃く、とても視界が悪い。
少し不安になる。
「レイブン、視界が悪いから警戒が難しいよ。あまり遠くは見えない」
レイブンも霧のため飛ぶ速度をおとしている。
「タイミングが悪いな、後少しで中庭街なんだ。あの滝は天の滝と言って直ぐに止まるから、ゆっくり飛んでれば霧も晴れるんだがな…」
レイブンがどうしようかと迷っているうちに霧が晴れはじめていく。
「あっ、滝がもう流れてない霧も晴れてきた。本当に短時間だけ出現する滝なんだね」
「ああ、大丈夫そうだな…それじゃーこのままスピードを上げて街を目指すぞ」
「うん、あまり飛ばし過ぎないでね。落とされたら嫌だから」
レイブンは僕の言葉を聞き流し、さっさと速度をあげはじめた。僕はしっかりとレイブンにしがみつく。
レイブンは進行方向を見て飛んでいる。恥ずかしい話になるが僕はレイブンに抱きかかえられている。そうしないと上手く飛べないらしい。そして、僕の手はレイブンの首付近にある。
要するにレイブンと顔が近くなるので恥ずかしいから僕はレイブンとは違う方向を向いている。つまり横を見ているわけで。
その僕の目が怪しい大きな影を見つけた。
距離は離れているのに、それが大きいことがわかる。
凄く嫌な予感がする。
何だかあれ近付いてきてる。
「レイブン!!何か来てる」
「ああ?後少しで中庭街なのにか…何かってなんだよ」
「黒くて長くて大きい。まだ遠いけど、こっちに近付いて来てる。2両編成の電車の回りに黒い毛がびっしり生えてる感じのやつが空を飛んできてるんだよ!!」
「にりょうへんせい?なんだよ、それ」
「とにかく見て!」
レイブンは飛ぶ速度を落として横に顔を向ける。
「なんだ…あれ?あの大きさ無限回廊の大門を通れたのか?いや、ギリギリ通れたからいるのか…それともランクアップしてあの大きさに?!いや、それでも大門より大きな魂はいないはず、ならギリギリ大門の大きさなのかっ!」
レイブンはぶつぶつと自分の考えを思案する。
「ねえ、多分だけと僕達を追ってきてない?」
「くそ、中庭街は直ぐそこだ中に入れば結界の効果で魂戦にはならない。急ぐぞ!飛ばすから確りとつかまれ」
レイブンは言い終える前にスピードをあげた。
必死につかまる僕。
風を切る音が凄まじく、僕のフードも髪の毛もぐちゃぐちゃになり前髪が長いので目に入りとても痛い。僕は必死に敵の姿を確認する。
レイブンも速いのだが巨大な2両編成は大きいのに速い、身体中を波打つようにくねらせて空を泳ぐように飛んでいる。そして、黒い毛の頭にあたる部分によく見ると目が6個ついている。
あれか、僕がいるぶんレイブンのが不利になってる。中庭街は、あとどれくらいなのか?聞きたいけど前からの風で口を開けることができない。
怖い!追いつかれる。
僕の手は汗でびっしょりになり、レイブンから離れないようにするのに必死で何もできない。ただ、スキルの効果で敵の恐ろしい姿が魂に鮮明に刻まれ強い恐怖心を煽りまくる。
「!!!」
その時、黒い毛の2両編成が体の半分を空中で切り離した。
ズドーン!!!
(えっ、何で!)
黒い毛の2両編成が体を切り離して1両になった。
意味がわからない、トカゲかよっ!
速い、速度が倍になってる?
えっ来た。目の前に。
ツルッ!
あまりの緊張と恐怖で僕の手はレイブンから離れバランスを崩して体が投げ出される。
落ちるっ!!!
(レイブン!)
僕は念話で叫んだ。レイブンがそれに反応し振り返り手を伸ばす。だが一度離れた手は無情にも届かない。
ガバッ。
パクン。
そして、黒い1両編成の何かは口を開けて僕を美味しそうに丸飲みした。




