三階の女子トイレには悪魔がいる
小説1000字
ホラー初挑戦し失敗
三階の女子トイレには悪魔がいる。
わたしは見たのだ。体からなんかこう黒いモヤモヤーが出てる黒いやつだった。
あれは悪魔だ。
それは放課後。
通りがかったトイレの中から音がしたのだ。奇妙に思って中をのぞいたら、一つだけドアの開いた個室の中に、悪魔がいた。個室から出るように動きだして、
わたしと目が合った。
わたしは走って逃げた。
三階のトイレにはもう行かない、そう決めた。
お家に帰って靴を脱いでただいまを言う。その勢いで、トイレのノブをガチャと回して開くと、悪魔がいた。
悪魔がべんきに座っていた。
叫びますよ、そりゃ。女子高生だもの。ひかえめ系文学少女でも叫びますよ。
どすんとわたしのお尻は床に落ちた。
母親が心配そうにやって来た。気づくと悪魔は消えていた。
母に立ち上がるのを手伝ってもらった。そして、トイレが終わるまで、見張っててもらった。
この家のトイレにはもう行かない、そう決めた。
しかし夜中になるとトイレに行きたくなってしまった。しかたなく、寒い中をコンビニまで出かけていった。
コンビニの店員に声をかけて、早足で店の奥の女性トイレのドアをがらがら。
悪魔がいた。ドアを閉めた。
男女兼用トイレのドアに手をかけた。がらがら。
悪魔がいた。ドアを閉めた。
大きく息をすって、はいた。
ドアを開けた。悪魔がいた。ドアを閉めた。
念のため言っておくが毎回ちゃんと叫んでいる。年頃だもの。
店員がやってきた。見張ってもらったら悪魔はいなくなった。
無事にトイレが済んだのはいい。しかし、これではわたしは永久に見張りなしにはトイレに行けないではないか。
決着をつけようと思った。
店員が客にコピー機の使い方を教えている間に、わたしはトイレのドアを開けた。悪魔がいた。
悪魔と目を合わせた。キモかった。
悪魔がしゃべった。
「はじめまして。トイレの神様です」
ドアを閉めた。
状況を整理して、
再びドアを開けた。
「どうも、私がトイレの神様です」
認めがたい。認めがたいが思いあたるふしは有った。だから、話は聞いてやろうと思った。
「いつもトイレを磨いてくれてありがとう」
わたしはうなずいてやった。
「これ返すね、おもしろかったよ」
悪魔は一冊のマンガを渡した。失くしていたわたしのマンガだった。
受け取ると、悪魔は笑って、すーっと消えていった。
それ以来、わたしはトイレにマンガを持ち込むのをやめた。親にトイレが長いと文句を言われることも無くなった。
次の連休はおばあちゃんに会いに行こうか。
(めでたし)




