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神域

 進化によるステータスの変化を確認しているといつも通り世界神が話しかけてきた。


『……いつもお前はいきなりだよな。まぁ、今回は俺もお前と話したかったし良いけど』


『それは本当かい?まさかニールちゃんが僕と話したいと言うなんて……世の中何が起こるか分からないね』


『うるさい、お前と話すのは少し後だ。先に話さないと行けないやつがいるからな』


『なんか最近僕の扱い酷くない?』


『……そんなことは無い』


 多分大丈夫だろ、うんきっと恐らく雑では無いはずだ。それよりもシルビアはちゃんと話せているのか?やけに時間がかかるな……。


『は、話せたよ。けど、なんかこの子変。私たちの特徴と当てはまってないんだ』


『……どんな奴だった?』


『え、えっと乱暴だった。リード君みたいに……』


 ……ふむ、リードみたいに乱暴だったのか。とりあえず話してみるか。その方がそいつの人柄も分かるだろ。


『……おい、聞こえてるなら返事をしろ並列思考』


『あんだよ、うるさいなぁ。今度はなんなんだよ。それよりも肉をくれ』


 そう、俺は進化の際にさりげなくレベルが上がっていた『並列思考』のスキルから新しく発生した思考と話して欲しいとシルビアに頼んでいた。

 世界神にもこのスキルについて聞きたいことがあったためここで済ませるために頼んでいたのだ。


 ……本当に俺とは思えないほど乱暴だな。……いや、どちらかと言うと幼いな。言葉をハッキリと話しているが小学生の様な雰囲気が溢れてるな。語彙もそれほどあるようには感じられないな。


『……肉は待て。でお前は自分が何だと自覚している?』


『俺はお前のスキルから発生した思考だろ。お前もそれを知ってるんじゃないのか?俺はそう認識してるぞ。肉をくれ』


 ……シルビアと同じだな。後はこいつが俺のどこから発生したのか知りたいな。シルビアは俺の現在の体が女だから発生したんだろうけど、こいつはなんなんだ?……話しながら確認していくか。


『……そうか。肉は待て、後でたんまりとやる。……もちろんお前の体を作ってな。それで聞きたいんだが、お前は何が得意だ?』


『喧嘩。なんでも倒してやるぞ』


『喧嘩……?あぁ、戦闘ということだな、分かった。それじゃあ次だ。お前は何が好きだ?』


『肉と喧嘩と血』


 ……やっぱり幼い気がするなぁ。好きな物が少しグロいけど、他は戦闘を喧嘩と言ったり、語尾がどこか強がってる雰囲気がある。……大人になめられたくない強がってる子供みたいな感じだな。


『……そうか。それじゃあこれで質問は終わりだ。後はお前の名前だけど自分で考えるか?それとも俺が考えるか?』


『自分で考える。…………コアにする。ふふん、カッコイイだろ』


『……うん、そうだね』


 ケツァルコアトルからとったのかな?何がカッコイイのか分からないけど本人が気に入ってるなら別にいいか。みじかくて呼びやすいしな。……話も終わったし今度は世界神と話すか。何も喋ってないけど拗ねてる気がするしな。


『……もう終わった。俺からも聞きたいことがあるけど先にお前から話してくれ』


『やっと僕の番か、待ちくたびれたよ。え〜と、まずはニールちゃんが神になっちゃったことからだね』


『それは知ってる。けどそれが何の問題があるんだ?』


『いやそうじゃなくてニールちゃんがほんとうの意味での神になりかけてるんだよ。いや、既に土台は完成してるけど僕が抑えてるんだよね』


 その後の世界神の説明では俺の今の種族は実際には神ではないらしい。この世界で神と言っても本当の神の前では指を片手一本で倒せる程度なんだとか。

 しかし、成長限界がなくなっているためいつかは本当の神になれる可能性があるんだとか。俺の場合は世界神の眷属の影響で既になれるらしいが力が大きすぎるため今なってしまうと俺がこの世界が壊してしまう可能性があるため現在は世界神が真の神にならないよう制御してるんだとか。


『ーーということなんだよ。つまり君は実質僕と邪神を除いたらこの世界で最強なんだよ?特に『創造』のスキルとかは普通真の神になって手に入れる程の力なんだよね。……なんでニールちゃんが獲得出来たのかは分からないけど』


『……そうなのか。それじゃあ俺はこれからどうすればいいんだ?レベルを上げてもこれまで程の変化はないんだろ?』


『うん、その事なんだけどニールちゃんにはこれからは力の制御を上達してもらいたいんだ。ほら『神域』というスキルがあるだろ?それが真の神の力なんだよ。制御が上達したらレベルを上げていくんだけどそれだけでどんどん強くなるよ。……まぁ、君の既にある力を解放するだけなんだけどね』


 ……力を制御するだけで強くなれるのか。確かに力の制御が出来ないやつな世界を壊せる力を与えるとか、何も知らない子供に本物の拳銃を渡すのと同じくらい危ないよな。


『……分かった。それじゃあこれからはそうしていく。それで、話たい事はそれだけじゃないだろ?』


『ニールちゃんも分かるようになってきたね、それだけ僕のことを見ていたのかい?』


『そんなことはどうでもいいから話せ』


『少しくらい冗談にのってくれてもいいじゃないか、時間は大して過ぎないんだし……。こほん、次はニールちゃんも気になってる『並列思考』のスキルについて話していくよ』


 ……なんで心を読めるんだよ。内側はそこまで隠してないけど外側は最近心を読まれないようにしてるんだけどなぁ。仮面にもそういう術式を阻害する効果をつけたし、『並列思考』に残ってる並列演算の一つを使って俺に対する精神干渉を禁止にまでしてるのに。……精神攻撃は効かないから必要か悩んだけど。


『ニールちゃんはいろいろ分かりやすいからね。でもそこがいいところだと思うよ、可愛いしね』


 今可愛いって言ったな。俺、男なのに可愛いのか……。そうか……。なんかもう世界神が嫌になってきたな。力を貰ったらこの世界壊しちゃおっかな……。


『もうやだぁ……、お前と話したくない』


『あ、あれ?そんなに傷ついた?……しかも演技じゃない!?ごめんね?もう可愛いとかか言わないから機嫌を直して……』


『……本当に言わない?今後言ったら邪神倒さないからな?』


『そ、そこまで……。分かったよ、もう言わないよ』


 前にも言われたけど今回は本当に悲しかったな……。なんでだ?少しだけ、ほんと〜に少しだけ自覚してるから以前よりも事実として受け止めてしまったのかな?

 ……久しぶりに変な口調になるほどだったけどなんでそんなに傷ついたんだ?


『そ、それじゃあ話を続けるね。ニールちゃんのスキルだけど新しく作られる思考は龍輝君とニールちゃんとの違いから発生するんだよね』


 違い……?性別とか種族の違いか?なんでそんなとこから新しい思考が発生するんだよ。


『シルビアちゃんは性別の違いから、コア君は年齢の違いから発生した思考なんだよ。コア君の場合は少しだけ、種族の違いもあるけどね』


『……そうか。それじゃあ次もそうなるのか。……新しく思考が発生した場合俺に何か変化はあるのか?』


『えっとね。その事なんだけど、以前君が成長したら体に影響されて性格が変化するって言ったでしょ?それは思考が新しく発生した場合も同じで、ちょっとずつ引っ張られてるんだよね。さっきだって口調が女の子みたいになってたし……』


 な……、やっぱり影響あったのかよ。さっきの変な口調もその影響かよ。自覚出来ないほどとかどんだけ体に引っ張られてるんだ?……いや、まだ大丈夫なのでは?今だって普通に考えているしな。


俺が今までの事を振り返り考察していると、シルビアが話しかけてきた。


『……に、ニールちゃん。今まで隠してきたけど、結構変化してるよ?えっとね、まずは魂が変化してる。以前は人間みたいな形だったけど、今は半分くらいドラゴンと混ざってるよ……』


『……他には?』


『ほ、他には口調とか考え方とかかな……。口調はそこまで変化は無いけど考え方が一部投げやりなんだよね。な、なんか物事を大雑把に考えてる……』


『全然気づかなかった……。シルビアから見たらそんな風に見えるのかよ。……今度そういう変化があれば言ってくれ』


『う、うん』


 マジで自覚がなかったのか。俺が気づいてたのって本当に一部だけだったんだな。止める手段がないし、受け入れるしかないんだろうけど嫌だなぁ。なんか以前の俺が消えるみたいでさぁ。


『そんなことはないと思うよ?ほら、人って久しぶりに会ったら以前と性格が反対だったとかあるでしょ?それだと思えばそこまで不自然でもないんじゃない?』


『いや、そうなんだけど俺の場合は少し違う気がするんだよな……。そういう奴らって何かがきっかけになってパッと変わるだろ?俺はじわじわと変わるから意識しちゃって不安なんだよ』


『う〜ん、解決自体は出来るんだけど僕じゃあそこまで干渉できないなぁ。解決方法はシルビアちゃんに教えておくから君たちで頑張ってくれよ』


『……分かった。それとありがとうな』


『あ、ありがとうございます。世界神さん』


『うん、うん、もっとお礼を言ってもいいんだよ。……でも、まぁ僕も話し相手が君たちしかいないから感謝したいのはこっちなんだよねぇ』


 俺たちが感謝の言葉を述べると世界神は何かを懐かしむようにそんなことを言った。


『それじゃあ、そろそろ話を終えようか。ニールちゃんも聞きたいことはもうないんでしょ?【天啓】を使ってくれれば話すことはできるから今度はその時ね。それじゃあバイバ〜イ』


 世界神は急に恥ずかしがるようにまくしたてると俺との繋がりを絶った。繋がりが消えるのと同時に思考加速も解除され、周りの動きが元に戻った。


 ……なんだアイツ。急に早口で話し始めたと思ったら一方的に切りやがって。質問するなら答えるのをまてよ。まぁ、確かに聞きたいことはもうなかったけどな。

 よし、それじゃあ進化によるステータスと外見の変化を見ていくか。まぁ、ある程度予想は出来ちゃうけどな。


 俺は【ミラー】を出してドラゴンの体を見てみた。ドラゴンの外見は基本的に変化しておらず所々で変化が見られた。まずは爪が凶悪になっていた。長さはそこまで長くないが先がなんでも切れそうな程に尖っており、少し光沢を放っていた。

 次に翼がまた大きくなった。既に体の半分くらいの大きさになっており、折りたたまないととても幅をとり歩きにくかった。後は鱗の強度が異常に上がっていた。試しにそこら辺にあった石を高速でぶつけてみたがかすり傷ひとつ付かず、逆に石の方が粉々に砕け散った。それを見ていたラプラスの体がビクッと動いていてちょっと面白かった……。

 西洋のドラゴンと言えば思いつくドラゴンの翼を大きくして鱗を真っ白にすれば多分俺の姿になると思う。ニーズヘッグの時に発達した顎も小さくなっているめリードのドラゴン形態と似た感じの顔になっていた。


 ……なんか神って言うから特徴的な見た目をしてるのかと思ったけど一般的なドラゴンだな。むしろ、今まで見たモンスターの中で一番平凡な気がする。今回の進化では単純に能力が向上しただけなのか?

 ……とりあえず人間の方も見てみるか。おっと先に服を用意しておかないとな。どうせまた服を着てないだろうしな。


 俺は新しく手に入れた『創造』の能力でシェロブの糸で編まれたワンピースを用意した。何故か以前よりも禍々しいオーラを放っており鑑定してみた結果以前よりも沢山の人を食ったシェロブの糸だった。……具体的には0が四つ並ぶくらいの数食ってるらしい。

 俺は『人化』を発動させるのと同時に服を着てリード達に裸姿を見られないようにした。

 変化が終わり、【ミラー】を見てみるとそこには以前も見た白銀の髪の美少女が立っていた。


 あれ……。マジで変化が分からないんだけど。いや、確かに身長と髪は伸びてるんだけどそれも本当に少しだけだしなぁ。短期間での進化だったからいくら魔法のある世界でもそこまで成長できないのか?……仕方ない、外見は諦めて能力の変化を確認していくか。新しく手に入れたスキルを鑑定して約束してたシルビア達の体を作るか。

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