進化③
リードを気絶させた俺はリードに近づいていき、シルビアに頼んで回復した。すぐに目覚めると思っていたが、リードの抵抗が下手くそ過ぎたのか俺の魔法が強すぎたのかしばらく気絶していた。
『ん……。あ?なんで俺の傷が治ってるんだ?』
「……俺が治した」
正確には俺じゃないけどシルビアも俺の中にいるんだし間違ってはいないだろ。……今は違うとしても元々は俺だったんだし大丈夫だろ。治したのも別に殺す気は無かったんだし、多分こいつはヴェノムのクラスメイトだったんだし殺したら目覚めが悪いだろ。
『そうか。……あ?んでてめぇがここにいるんだ!てかなんで俺の体を治した!?』
リードは俺の返事を聞いて一度頷くと固まり、また急に動き出したと思うとその大きな体を器用に動かして立ち上がりずざざー、と後ろに下がった。
「……そんなにビビるな。俺はお前が何もしなければ俺も何もしないぞ。というかその身体だとデカくて鬱陶しいから人化を使え。服は用意するから」
『お、おう』
俺が少し強め威圧しながら『人化』のスキルを使えと命令すると俺の殺気を思い出したのか、リードは情けない声で返事をしてスキルを使用した。
リードの体がバキバキと音を立てて縮んでいき、3m程あった体が人間の成人男性くらいの体まで縮んだ。黒髪の赤目で肌は日本人と同じ白寄りの黄色、筋肉は最低限程しかなく何も知らなければ一般人にしか見えない外見だ。……しかし裸なため唯の不審者にしか見えなくなっている。
「……とりあえず服は作ってやるから早く着ろ。それと鏡をだしてやるから自分の体を確認しておけ」
『物質創造』で白のTシャツと黒のジーパンを作りつつリードの前に【ミラー】を発動させて鏡代わりにした。リードは俺から服を貰うと少し離れてその身体能力を活かして一瞬で服を着た。その後【ミラー】の前に立ち、自分の姿を眺めた。
「……あ?前と姿が変わってねぇな。邪神の野郎は体を再構築したから外見は変わってると言ってたのによぉ」
「……それは本当か?俺は見た通り白銀の髪で以前の外見とはかけ離れてるんだが」
「俺は以前と変わってねぇ。てめぇはそもそも『身体操作』があるんだし外見なんて自由だろうが」
俺は『身体操作』で体を変形させながらリードの質問に対して答えた。
「……俺が試さないと思うのか?試したけどあくまで操作だから性別までは変えられなかったし、体積が足りなかった」
そうなのだ。以前このスキルを手に入れた際に試したが、顔や体格は変えれたが身長は体積が足りず戻せなかった。あとは性別も変更できなかったため、俺のオレも戻らなかった。
「そんなことはどうでもいいが、お前はこれからどうするんだ?もう一度闘るなら付き合うが今度は殺すぞ?」
「……それはもういい、とりあえず俺はてめぇについて行こうと思う。その方が強くなれそうだしな」
「……そうか。それじゃあお前には俺の眷属になってもらう。まだ信用出来ないからな。……多分その方がお前も強くなれるぞ?」
まぁ、獲得する経験値と熟練度の量は減るだろうな。でも眷属化すれば俺が成長する度に眷属に俺の力が一部流れ込むから結果的には今よりも成長する筈なので嘘はついてない。
「あぁ、それと多分お前の元クラスメイトがいるぞ寒河江って言うんだけど知ってるか?」
「あ?なんでてめぇの所に孝臣がいるんだよ。てかそんな気配は感じねぇけど本当にいるのか?」
「今は別の階層でレベル上げしてる。しばらくは合流する気はないけど会いたいなら送るぞ?」
「……いやいい。とりあえず俺はてめぇについて行こうと思う。てめぇの言ってることが本当なら俺の目的とも合うからな。で、どうやったらてめぇの眷属になれるんだ?」
「……それは俺がやる。少し精神干渉するけど抵抗するな」
俺はヴェノムの時と同じ忠告をしてリードを眷属にした。ヴェノムとは違い何の抵抗もしなかったため、数秒でリードは眷属化した。
「……終わりだ。これでお前は俺の眷属になった」
「あ?今ので終わりかよ。もっと眷属とか言うからめんどくせぇもんだと思ってたんだがな」
「……そうか。それじゃあ俺はこれから仲間?を連れてこの階層を移動し、進化しようと思っている。お前は今眷属になったから俺の影に入れるけど、どうする?」
「……まじか。影に入れるとかすげぇな。いや俺は別にてめぇの影に入らねぇけどな。普通についてくぞ」
分かりやすいなぁ。口ではそんなこと言ってるけど体がめっちゃソワソワしてるんだが……。何こいつ、もしかしてツンデレとか言うやつか?……いや、これは素直に影に入るのは恥ずかしいから俺がもう一度言うのを待ってる感じかな。
『に、ニールちゃん。本当に連れて行くの?襲って来ても対処できるけどつ、常に後ろから狙われているかもと考えているのは疲れるよ?』
俺がくだらないことを考えているとシルビアが話しかけてきた。どうやらリードを警戒しているらしい。
『……多分もう襲って来ないはずだ。理由としてはまずリードはそこまで凶暴じゃない。さっきの眷属化も抵抗を一切しなかったからな。本能的に抵抗されると思ってたけどあれは理性で抑えてる感じだった』
『う、うん。それは私も分かったよ……。す、凄いと思った』
『そうだな。次に口調に反して頭が良い。俺の少ない説明だけで大体の内容を理解できていた。だから俺との力の差も理解出来てるだろ』
『……説明が少ないって自覚してたんだ』
『……うるさい。そして最後に眷属化の際に、俺を攻撃しようと思わなくさせた。つまりもうこいつは無害だ』
『い、いつの間にそんなことをしてたんだ……。警戒してて全然気づかなかった。……そ、それじゃあ大丈夫かな』
『まぁ、大前提としてリードは俺に勝てないけどな』
『……そうだね』
俺が三つの理由を述べ、最後にそれらの理由が要らなくなってしまうことを言うとシルビアは呆れたような安心したような声で返してきた。
「影に入らないなら歩いて着いて来い。さっきも言ったが、一旦一緒に行動してるやつと合流するからな」
「……お、おう」
俺がそう言うとリードはソワソワさせていた体を止め、少し悲しげな声で返事した。それを見た俺は内心少し笑いながらラプラスのいる方向へと移動し始めた。
ラプラスからもこちら側に来てくれていたためすぐに合流することができた。リードについて説明しようとすると全て見ていたらしく、むしろ俺よりも詳しかった。
「……それじゃあ転移するから捕まってくれ。とりあえずこの前俺が進化した階層に行くぞ」
転移魔法を発動させようと魔法陣を構築し始めると俺の右肩に手を置いていたリードが質問してきた。
「安全なんだろうなぁ、そこは」
「大丈夫だ」
「なら、俺は別にいい」
リードは俺から質問の答えを聞くと、ラプラスの方を見た。
「……ラプラスは何も無いな?」
「私はどこまでも君について行くさ」
「……そうか」
ラプラスはそれが世界の理だと、決して揺るがない事実だと言うかのように質問に対して即答した。……宮沢と似た雰囲気で。
二人からもう何も質問がないことを確認し、構築していた魔法陣を発動させた。一瞬で以前いたあのドーム状の空間へと移動した。
レベルが上がった影響で転移可能距離も延び、一度の転移でこの階層まで来ることができ、使用魔力も大幅に減らすことができた。
「俺はこれから進化するからリードには俺を守ってもらいたい。一応俺の周りにアンデットを待機させておくからリードはこいつと交代で守ってくれ。ラプラスは自由にしてくれて構わない……」
「おう、てめぇのことは任せておけ。んで、その代わり進化したらもっかい闘ろうぜ。てめぇに負けたまんまだと悔しいんだよ」
「……善処する」
俺はリードの願いに対して曖昧に答えて鑑定で進化先を確認した。すると五つの進化先が表示された。
……まずは鑑定していかないとな。いくつか知ってるドラゴンのがあるしちょっとだけ楽しみだな。リードみたいに神話の中でも有名なドラゴンだろこれは。
『ラハブ』
神々が世界を創るときに引き裂いた龍。引き裂かれた体は海と雨になったと言われている。体を液体に変化させることができる。
『ケツァルコアトル』
太陽神であり、金星の神でもある龍。風と生者の世界も支配する。非常に強力な力があり、新たな世界を創造できると言われている。
『ウロボロス』
不死の龍。永遠の生命力があり、その叡智を生かしてありとあらゆる魔法を使う。二つの頭があり、人化をすると男性型と女性型の二種類がある。温厚な性格で人類に強力的な個体が多い。
『ヤマタノオロチ』
生体は八つの山と谷を覆うほどの巨体になると言われている。頭の数によって強さが異なり多い個体の方が強力。水神に似た力があるが人類からは恐れられている。
『ヴィーヴル』
蝙蝠の翼を持った雌しかいない龍。額にはガーネットがあり、これを手にした人間は人を超越した魔法を扱えるようになる。人間との子供ができる。現在の竜人の多くはヴィーヴルの子孫。
……ふむ、難しいな。とりあえずヤマタノオロチは駄目だな。生体になるのにどれほどかかるのか分からないけど八つの谷と山を覆うほど大きくなるのは不便だ。
それとヴィーヴルも駄目だな。これは弱いと思う。……いや、強いんだろうけど他のやつの説明がやべぇからそう感じるんだろうな。
『あ、あのね。私はウロボロスになりたいな。べ、別にもしかしたら私にも頭が出来るかもとか考えているわけではないよ。も、もし人間に私たちがドラゴンだとバレても大丈夫だと思うからだからねっ』
『シルビア……。体が欲しいなら言ってくれよ?能力創造も一度使ってみたいし、『分身』みたいなスキルにお前の意識を移せばできるだろ』
『ほ、本当に?わ、私の体を作ってくれるの?……こほん、このような理由から私はウロボロスに進化した方が良いと思います』
『……取り繕えてないぞ。進化を先にするけど終わったら作ってやるよ。能力創造も仕えて一石二鳥だからな』
『う、うん』
『で、どうするか……。ウロボロスは既に不死だし叡智だし生命力は『超速再生』があるから既にもってるんだよなぁ』
『じゃあ、ニールちゃんはなんの力が欲しいの?ら、ラハブの体を液体にするのだって物理攻撃無効があれば大丈夫じゃない?』
『そうだよな……。つまり、海の力か太陽の力のどちらを選ぶかなんだよな。………決めた、ケツァルコアトルにしよう。金星の神とかも気になるしな』
『そうだね。私も少しだけき、気になってたかも』
俺とシルビアは二人で進化先を話し合い、ケツァルコアトルを選択した。瞬間、逆らえない眠気が発生しそれを分かっていたため特に抵抗せずに意識を手放した。
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《条件を満たしました。スキル『神腕』『神火』『神速再生』『破壊』『創造』『忍耐』『神域』、称号『神竜』『太陽神』『創造神』『金星の神』『風と生の支配者』『暴食の罪』『強欲の罪』を獲得しました》
《スキル『神火』に『劫火の息吹』、『神速再生』に『スタミナ回復速度』『魔力回復速度』『超速再生』、『破壊』に『分解』(中略)が統合されました》
《熟練度が一定に達しました。スキル『神速再生』『並列思考』『神火』(ry》
……なんか凄い統合されたな。まぁ、統合されるということはそれだけそのスキルが強いということだからいいんだが、また能力とを確認しなくちゃいけないから少し面倒だな。
『やぁ、ニールちゃん。君は僕の眷属ということを差し引いても明らかに成長が早いね。予想以上に進化が早くて驚いたよ』
目を覚ました俺が進化して変化したステータスを確認していると世界神の声が聞こえ、思考速度が上がり周りの景色が動きを止めた。
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種族:ケツァルコアトル
名前:ニール(成田 龍輝)
年齢:1
レベル:1
HP:8300/8300
MP:9200/9200
SP:8600/8600
スキル:『鑑定LvMAX』『複製LvMAX』『探知LvMAX』『神速再生Lv4』『並列思考Lv2』『身体加速LvMAX』『思考超加速LvMAX』『念話LvMAX』『千里眼LvMAX』『神腕Lv3』『神火Lv4』『吸血LvMAX』『水流操作LvMAX』『魔力操作LvMAX』『身体強化魔法LvMAX』『森羅万象LvMAX』『闇魔法LvMAX』『神聖魔法LvMAX』『即死魔法LvMAX』『死霊魔法LvMAX』『空間魔法LvMAX』『操影LvMAX』『万能薬LvMAX』『未来予測LvMAX』『人化LvMAX』『身体操作LvMAX』『飛行LvMAX』『龍鱗LvMAX』『物質掌握LvMAX』『創造Lv5』『破壊Lv4』『暴食LvMAX』『強欲Lv3』『忍耐Lv5』『縮地LvMAX』『神域Lv1』
称号:『世界神の眷属』『神竜』『太陽神』『創造神』『金星の神』『精神生命体』『魔物を率いる者』『神を殺す者』『虐殺者』『死神』『不老不死』『地獄の監守』『叡智』『賢者』『調合者』『影の国の民』『死者を喰らう者』『風と生の支配者』『暴食の罪』『強欲の罪』




