分身
よし、それじゃあ変化を確認していくか。新しく手に入れたスキルは大体能力が分かるけど鑑定しておかないと怖いからな。……既に『創造』のスキルを使っちゃったけどな。
『神速再生』
魔力、スタミナ、傷を神速で再生することができる。部位欠損も修復可能。レベルによって速度が異なる。
『神腕』
拳を振り下ろせば大陸が砕け、岩に手を置けばへこみ、腕を震えば更地を作りだせる神の腕。レベルによって腕力が異なる。
『神火』
全てを燃やし、時に癒す神の炎。破滅の炎にも加護の炎にもなる。レベルによって火力が異なる。
『創造』
能力、物質、生命など全てを作り出す事ができる。創り出すものによって使用魔力が異なる。レベルによって創造できるものの質が異なる。
『破壊』
物質、生命、世界など全てを破壊することができる。破壊するものによって使用魔力が異なる。レベルによって破壊できるものが異なる。
『忍耐』
全ての攻撃に対する耐性を獲得。精神攻撃、痛覚、物理攻撃は無効化できる。レベルによって耐えることのできる攻撃が異なる。
『神域』
神の領域。真の神の力を引き出すことができる。レベルMAXで真の神へと神化する。レベルによって引き出せる力が異なる。
『神竜』
神の竜。一定の力量の差がある竜への命令権を所持している。
『太陽神』
太陽の神。太陽の力を所持しており、火属性攻撃の火力が激増する。
『創造神』
全てを創造する神。創造時に使用する魔力が減少する。世界すら創造することが可能。しかし、魔力が足りず世界を創造した神は存在しない。
『金星の神』
金星の主権を所持している。金星から魔力を引き出すことができる。金星へ魔力を送ることも可能。
『風と生の支配者』
風と生を支配する者。風魔法の威力と回復魔法の制度が上昇。新しく命を与えることも可能。
『暴食の罪』
全てを食らう者。魂すら食らうことができる。生きている者で抵抗している者ですら食らう。食らった物は魔力へ分解可能。
やべぇ。……想像以上にやばかった。大体の能力は予想通だったけど、上限が予想以上に大きかったな。なんで世界を創造できて壊せる力を持ってるの?大罪系とかそれひとつで無双できる能力じゃん。なのに称号手に入れたらもっとやばくなるとぶっ壊れてるだろ!
……あふぅ、とりあえず落ち着こうか。これらは俺の能力のはずなんだけど、あまり素直に喜べないな……。
『ほ、本当に凄いね。私たちの力だからまだ大丈夫だけど、これの一つでも敵の力だったらす、少しゾッとするね……』
『おい、この『創造』を使えば肉を創れるのか?』
『……コア、見るべきところはそこじゃないぞ。もっと他の能力を見ろ』
『俺には分かんないや。それよりも肉が食べたい。お腹は減ってないけど』
本当に肉ばっかだな。精神生命体の体だから腹は減らないはずなんだけどな。……確かに腹は減ってなくても何かを食べたい欲求はあるけどここまで強くはないかなぁ。
「いや〜、また君は凄い変化をしたね。短期間でここまで強くなるなんて羨ましいね」
「おい、てめぇ俺もこんな風になれんのか?眷属ってのはすげぇんだな。……それでもてめぇには勝てる気がしねぇけどな」
「……そうか」
俺がシルビア達と話していると周りを警戒してくれていたリードとラプラスが戻ってきた。それぞれ俺のことを鑑定した感想を言い、満足していた。
「てか、それよりもてめぇはどんだけ進化に時間がかかんだよ。俺でも二週間もかかんねぇぞ」
「……は?」
え、二週間……?そんなに時間が経ったのか?全然そんな感じはなかったし、今回肉体の変化はそこまでないからそんなに時間がかかると思えないんだけど。
「信じきれないようだけど、君は進化に二週間近くかかっているよ。ちなみに前回は一週間ぐらいだね」
「……なんでだ?外見はほとんど変化してないしそんなに時間はかからないだろ?」
「いや、君の場合は外側よりも内側の変化に時間がかかったんだと思うよ。新しく手に入れたスキルが強力だからそれを使える体に変化したんだと私は思うよ。まだ生まれて一年しか経ってないから外見の方は時間経過でしか変化しないだろうね」
「……そうか。分かった、その間俺のことを守ってくれて助かった」
「おう、その代わりちゃんと俺との約束は果たせよ?じゃねぇと今回の労力が無駄になるからなぁ」
「……分かってる。時間があればやろう」
「私には何かないのかい?まぁ、これまで通り君の近くに入れるだけでご褒美なんだけれどね」
「そうだな、お前にも一つ貸しができたな。いつかそれは返すよ」
俺はグールを影に戻し二人にお礼を言った。
「俺はこれからレベル上げを中断して魔力とスキルの制御を修行していこうと思ってる。進化した影響で一部制御が難しくなっているものがあるからな」
まぁ、実際には世界神から力を解放してもらうためだが、いくら俺が世界神の眷属だと知ってる二人でも流石にそこまでの情報は話せないし本音半分、後付け半分くらいの説明で大丈夫だろ。
「そうか。んじゃあ、俺を寒河江のとこに送ってくれや。アイツもレベル上げしてんだろ?俺はてめぇみたいに魔力の制御とか細けえことは嫌いだからな」
「……分かった。それじゃあ俺の体に捕まれ。後今はアイツ、ヴェノムって名前だからな」
リードを俺の体に触れさせた俺は繋がりからヴェノムの居る位置を特定し、一気に転移した。
『うわっ!?……なんだニールか。来るんだったら念話くらい送れよ』
「……すまん」
『で、何の用だ?それと後ろのキョロキョロしてる奴黒崎だろ、なんか目が赤くなってるけど』
「……お前の元クラスメイトを連れて来た。お前の言う通り黒崎って名前で今はリードだ」
俺がリードの事を紹介すると今まで周りを見ていたリードがこちらを振り向いた。
「おい、てめぇ寒河江がどこにいんだよ。どこにもいねぇぞ。いるのはそこの黒い液体みたいな奴しかいねぇぞ」
「いや、だからそいつが寒河江なんだよ。おいお前も念話で話しかけろ」
『あ、あぁ、分かった。俺が寒河江だ。まぁ、今はヴェノムって名前だからそう読んでくれ』
「あ?……本当に寒河江なのかよ!?おい、どうしたその体は!?随分こぢんまりしちまったじゃねぇか!」
俺とヴェノムが認めるとリードは数秒ヴェノムの事を見つめると急に大声を出した。
『……そうだな。お前はニールと同じドラゴンでステータスも高いし、人化できて元の姿を取り戻せて良いよな。というかニール、なんか二週間くらい前に急に力が流れ込んできたけど何をしたんだ?』
あれ、なんかヴェノムの言い方が俺が毎回何か問題を起こしてるみたいないい方だな……。普通に進化しただけなのになんでそんな言い方するんだよ……。
「……進化しただけだ」
『……は?もう、進化したのかよ。俺なんてまだレベル上げの途中だぞ?最近新しいスキルを手に入れて効率を上げて今から本気で取り組むのにお前は既に進化してるのかよ。相変わらずチートだな』
「……なんかすまん。で、本題に入るんだけどこいつと共に行動してくれ」
『え……。何で?』
「いや、色々あってなーー」
俺はリードとの出会い方から戦闘したこと、その後俺が進化してリードと約束したこと、リードの願いなどを説明した。
『……そうか。そういう事なら大丈夫だ。称号から見るに既に眷属になってるみたいだしな。高いステータスの奴と一緒に行動するのは好都合だしな』
「だよな、俺とお前は友達だもんな。お前が危険な時は守ってやるからな」
……あれ、なんか口調が柔らかくなってないか?俺を呼ぶ時には"てめぇ"なのにヴェノムを呼ぶ時は"お前"なのか。いや、別に構わないけど俺が主なのに俺の方が呼び方が乱暴なのって違和感が凄いな。
「あ?なんでそんな物欲しそうな雰囲気だしてんだよ。何もやらねぇぞ」
「いや、別に出してないぞ?」
「……そうかよ」
「……?」
何を言ってるんだリードは。どうみたら俺から物欲しそうな雰囲気が出てるように見えるんだよ……。頭良いと思ったけど勘違いか?
『……気にするな。アイツはいつもあんな感じだ』
「おい、本当かよ。めんどくせぇ性格してんなぁ」
俺がリードについて疑問を持っているとヴェノムとリードがヒソヒソと俺を見ながら話し始めた。
「……とりあえずそういう事だから頼んだぞヴェノム。それじゃあ俺は帰るからな。……もちろん新しく手に入れたスキルはコピーさせてもらうけど何を手に入れたんだ?」
『えぇと、『分身』ってスキルだな。魔力を消費して自分と同じステータスの分身を作れるらしいぞ。レベルによって作れる数が違うみたいだな。ちなみに俺は今レベルは4だ』
マジか……。創造で作ろうと思ったけどまさかヴェノムが獲得してたとはな。『創造』で作る手間が省けたな。
俺はヴェノムから『分身』をコピーした後、ラプラスの近くへと転移した。狙い通りラプラスの前方に転移に成功し直ぐに合流した。
「私だけ置いてどこかに転移しちゃったから棄てられたのかと思ったよ。で、リード君がいないけど何をしに行ったの?」
「……ヴェノムの所に預けて来た。ちょっと新しいスキルを手に入れたから実験するんだけど離れてくれるか?」
「もちろんだよ。でも、私も見ていいよね?」
「……大丈夫だ」
俺はヴェノムからコピーしたばかりの『分身』を発動させた。すると魔法陣から黒い煙が発生して徐々に人型になり、変化が収まり煙が晴れたところには俺が居た。……正確には俺が作り出した分身が居た。
何故か服を着ていなかったので急いで『身体加速』を使用して残像を残すほど早く『創造』を服を創り着せた。
『こ、これって私の体?ほ、本当に作ってくれたの?』
分身に服を着せ終わるとシルビアから少し興奮している声で質問された。
『そのつもりだけど、どうやってシルビアの意識を移すかが問題なんだよな……』
『そ、それなら私が新しく作ってた魔法で出来るとおもうよ……。や、やってみないと分からないけど……』
『……それで良い。とりあえず使ってみてくれ。出来なければ『叡智』で調べてみれば分かるだろ』
『う、うん』
シルビアが『分身』に向かって一つの魔法を使うと俺の中から何か抜けて行き、また分身の体が煙になったかと思うともう一度収縮し始めた。
次第に大きくなっていき、女子高校生くらいの大きさになると変化が止まるとそこには白銀の髪を持った美女が立っており、閉じていた目が徐々に開いていき、そのルベライトのような瞳を顕にした。スタイルは良くそれなりに大きいが存在を主張しない張りのある胸と尻。生糸のように艶のある髪が肩からこぼれ落ちている。
「こ、これが体……。やった、できたよニールちゃ…ん……きゃっ」
「ちょ、ちょっと待て。今服を用意するからな。つかなんで俺の体は裸になる事が多いんだよ!」
そう、シルビアの体は先程作った服は何処へ行ったのか裸であった。一応大事な部分は黒い煙でご都合主義のように隠れているがその恩恵も直ぐに消えて無くなりそうであった。
俺は普段とは比べ物にならない程の速度で動き、シルビアに布を被せて反対方向を向いた。
「と、とりあえずおめでとうシルビア。服は自分で作ってくれ。一応能力は同じの筈だからな。……コアの体はまた今度な」
『べ、別に羨ましくねぇし!?が、我慢できるし!?』
「……そうか。それじゃあ待っててくれ。スキルのレベルが上がり次第作るからな」
『分かった。それまで待つぞ』
コアに体を作ることを約束した俺はシルビアの方を振り向いた。そこには胸元が大胆な開いたスーツ姿のシルビアがいた。認識阻害の為なのかメガネをかけているためその外見とすらっとした立ち方から秘書のようだ。
「ど、どうかな?似合うかな?ちょっと恥ずかしいけど龍輝くんの記憶から引っ張り出してみたんだ」
「……普通に綺麗だぞ」
「あ、ありがとう」
俺が褒めるとシルビアは僅かに頬を紅潮させて俯き、手を弄りモジモジし始めた。
「あ、あのね?その、ありがとうニールちゃん、体を作ってくれて」
「……別に大丈夫だ。いつもお前には世話になってるからな。それにいつかは必要になってくるかもしれないし早い内に準備していく分には問題ないだろ」
「そ、そうだよね。それで、これからどうするの?わ、私も魔力の制御をした方が良いかな?」
「……いや、お前はしばらく自由にしててくれて構わない。念願の体を存分に堪能してくれ。時間になったら呼ぶ」
「う、うん。……ありがとうね、ニールちゃん」
俺がシルビアに自由行動を許すとシルビアは転移魔法を発動させて俺の邪魔にならないように移動した。去り際にもう一度お礼を言ってから移動した。
……よし、それじゃあやっていくか。何故かシルビアが持ってるはずの魔法の知識が俺の中に残ってるし、それも活用して修行していこうかな。
こうして俺が真の神へと神化するための長い修行が始まった。




