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よろず屋 大宇宙堂  作者: ヨネ@精霊王
八章 ドリル少女は引っ越したい!?
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87 暗黒面



 女の子の口から恥ずかしそうに上目遣いで『えっち』と言われる。これは確実に萌ポイントである。それもかなりの高得点だ。

 俺の胸はトクントクンと高鳴った。それもこの見た感じ一回り以上年が離れている女の子に対してである。いや、トクントクンと胸が鳴っているのは萌えのせいだけではない。今現在進行中で俺は女の子の胸を揉み続けているからに他ならない。

 もし今の光景をポリスメンが目にしたならば案件発生で逮捕は間違いないだろう。それなのに何故、胸を揉む手を離さないのか? それは……今俺の手の中にかけがえのない幸福があると実感してしまっているからなのだ。あぁ、何故男子は女子の胸にこれほどまで癒やされてしまうのか? 幸せを感じてしまうのか? それに付け加えて、俺の手に伝わる感触が、この女の子がノーブラであるという恐るべき事実を教えてくれている。


――いけない! このままでは暗黒面ダークサイドに堕ちてしまう!!


 もはやラッキースケベで済まされるレベルを逸脱してしまっているのは明らか、すぐさまジャンピング三回転土下座を決めて謝罪をしなければならないことは必至。


「これは違うんだ! 俺の中の暗黒面ダークサイドがアレな感じなせいで……兎に角違うんだ!」


 モミモミモミ


 そう言いながらも、まだ揉み続けている俺に説得力というもの皆無だった。もはや俺の腕は完全に暗黒面ダークサイドに支配され、もはや逮捕は確実かと思われたその刹那。


「えっ?」


 俺の腕から幸せな感触が失わえれた。それどころか感覚と言うものすべてが失われた。いやさ、更に言うならば俺の腕自体が失われたのである。

 俺の腕であったものはまるでゴミクズのように地面に転がっていた。不思議と出血はしていなかった。


「見苦しいことをする腕は切断させていただきました」


 美貌の執事ことレックスは、汚いものにでも触ったあとのようにハンカチで指先を拭き取っていた。察するに空間ごと俺の腕は切断されたようだ。こうやって冷静に判断ができているのは、何一つとして痛みがないからである。まるでプラモのパーツが切り離されたくらいの感覚でしかなく、堕ちている手を拾ってくっつければ何事もなく元通りになるのではないかとすら思えた。

 

「はい、これ」


 パーカー少女は落ちている俺の手を何事もないかのようにヒョイッと拾いあげると、俺のところに持ってきてくれた。

 

「ありがとう」


 俺は残っている方の腕で受け取ると、何の気なしにそれを元々あった場所へとつないで見る。するとどうだろうか、俺の予想通り腕は元通りになったではないか。


「ご主人さまから、貴様には危害を与えないように言われているからな。そうでなければ今頃貴様は分子のサイズにまで斬り刻まれていたことだろうさ」


 確実に悪態をつかれているわけだが、このおかげで俺の暗黒面を文字通り切り離すことが出来たわけで、ここはむしろ感謝の言葉を上げたいくらいだ。いやあげよう。


「俺の腕を切り落としてくれてありがとう!」


 俺は四十五度の綺麗なお辞儀を決めてみせた。


「貴様は自分の腕を斬り落とされて感謝するのか!? まったくもってわけのわからない存在だ……」


 レックスは頭痛にでも襲われたかのように頭を抑えていた。しかし、何度見ても苦悩するイケメンというものは絵になるもので、このまま額縁に入れて飾っておきたいくらいだ。

 俺はもとに戻った腕をぐるぐると回してみた。ロケットパンチのように飛んでいってしまわないかと少し不安だったが、どうやらちゃんとくっついてくれているようだ。そんな俺の様子をパーカー少女は何が面白いのかニコニコと楽しげに見ていた。

 そして不意に俺とその女の子の目が合ってしまう。その瞬間、この少女がなのか、今更ながら思い出すことが出来た。


「あぁぁぁぁぁっ! 地下迷宮で俺を助けてくれた謎のドリル少女!!」


 もとに戻ったばかりの腕を振り上げてのオーバーアクションを繰り出しながら、俺は思わず叫んでいた。

 

「はーい! 正解でーす! でも、うちにはちゃんとした名前があるんだから〜」


「そう言えば、あのときは名前を聞いていなかったな」


「うん。改めて自己紹介するね。うちは……ウルルって言うんだよ。よろしくぅるるっ。なんてねっ」


 謎のドリル少女改め、ウルルはかぶっていたパーカーのフードを外して挨拶をした。フードの中からはまるで燃え盛る炎のような赤い髪がはらりと首元まで垂れた。そして頭部にはまるで鬼のように日本の角のようなドリルが緩やかに回転をし続けていた。

 地下でなく陽のあたる場所で顔を見るのは初めてなわけだが、まるで健康的に日焼けしたかのように肌は色鮮やかな小麦色をしていた。赤色の髪に小麦色を肌はよくマッチしており、元気ハツラツぷりをさらに強調しているかのようだった。・

 

「と言うわけで、私の指名はこの少女をここまで届けることなので、ここで帰らせてもらう」


 レックスはそう言うと空間の亀裂へ足を一歩踏み入れる。


「おっと、ご主人様からの伝言を一つ忘れていた『宝玉の解析は進んではいるが、まだ少し時間がかかる』とのことだ。私が帰ったからと言ってその少女に不埒な真似はしないほうがいいと忠告しておいてやる。さらばだ」


 こうしてレックスは去っていき、この部屋には俺とウルルだけが取り残されたわけだが、勿論、モチのロンロンロンで不埒な真似などしはしない!

 そうだ。あれは偶然にもおっぱいに触ってしまったからいけなかったわけで、触れさえしなければどうということはない。

 俺の決意とは裏腹に、何も知らないウルルは無邪気に意味もなくぴょんとはねてみせた。

 たわわなお胸がぷるるんと揺れた。それと同時に、俺の心もぷるるんと波が立つのであった。


 


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