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再会の黄

 無事、赤とのチャンピオン戦を終え、赤と協力関係を結ぶことに成功した

黒たち。


 その後、黒は黄が取締役を務める会社のホームページで電話番号を調べ、会社に電話。黄に黒が会いたいと伝えてほしいと言伝を頼み、その日は各々帰宅した。


 翌日――


 黄から着信があった。今すぐになら、会えるということ。


 黄の言う、「今すぐなら会える」というのは「今なら予定がないから会えるよ」という意味ではなく、「今は君と会っても良い気分だから今なら会ってあげるよ」という至極自分勝手な意味の言葉なのである。


「これが人間社会(資本主義)か」


 金持ちになり、すっかり資本主義社会の毒に犯され、傲慢になった過去の同族を憐れむ黒だったが――


(いや、あいつは昔からそういう奴だったな)


 よくよく考えてみれば、樹海にいたころから黄は自由気ままで気分屋な奴だった。


 黒は黄に会う約束をとりつけ、青、赤、銘に連絡をした。




 数時間後――




 黒たちは事前に落ち合い、四人で黄が指定してきた待ち合わせ場所へと向かった……………………黄が待ち合わせ場所に指定してきたのは、最近若い女性に人気のパンケーキ屋。


「「「……………………」」」


 若い女性で埋め尽くされる店内で、おっさん三人が浮かないわけもなく――なんならアットプラス女子高生でより不審者要素を追加してしまっている。


「あーむ…………うーん、おいしぃ」


 銘はそんなこと気にせず、有名パンケーキの味に舌鼓を打っているのだが、黒たち三人は黄が来るまでの間、この場の雰囲気にジッと耐えていた。


 やがて――


「ごめーん、待った」


 待ち合わせ時間に遅れること一時間、ようやく黄が到着した。


「「「遅いっ」」」


 三人は口をそろえて、黄に大声で文句を言った。


「ごめん、ごめん」


 少しも悪びれる様子なく、席に着く黄。


「あ、お姉さん。僕もこの子と同じものを」


 そして、銘と同じこの店名物のパンケーキを注文した。


「それで、話って何」

「「「「っ――」」」」


 来て早速、本題に入ろうとする黄に全員緊張感が走った。


「今日お前を呼んだのは、お前らが企んでいる件について話を聞きたかったからだ」


 意を決して口を開いたのは青だった。


「企み。へぇえ、何の話」

(コイツっ)


 わざとらしく素知らぬふりをする黄にイラッとする青。


 思わず、我を忘れて「お前らがいま裏でこそこそやっていることだよっ」と黄の胸ぐらを掴んで問い詰めようとした、その瞬間――


「ご注文のパンケーキです」


 黄が注文したパンケーキを店員が運んできた。


「「「「…………」」」」


 店員に話の腰を折られ、現場は一瞬静まり返った。


「うん゛ん゛」


 咳ばらいをして、黒が話を戻した。


「最近、この辺りで俺たちに似た怪物が人間を襲う事件が発生した」

「へえ、そうなんだ」

「その怪物の正体を調べてもらおうと白に死体解剖を依頼した翌日、白が行方不明になった」

「え、そうなんだ。初耳」

「「っ――」」


 わざとらしいはぐらかし方をする黄に苛立つ赤と青。


「この一連の事件、お前たちが一枚噛んでいるな」

「…………」


 核心に迫ることを言われ、黄は口に運ぼうとしていたパンケーキが一切れ刺さったフォークを皿の上に置いた。


「んーなんのこと」

「っ」


 未だ、とぼける黄に青はついに手を出した。


「とぼけんな、てめえ。友達(だち)が行方不明になってるんだぞ」

「そういわれても」


 一触即発のムードに、キャッキャッしていた店内の様子が一変した。


「おい、よせ」


 店員が来る前に、黒が青を制止した。


「…………」


 渋々、青は掴んでいた黄の胸ぐらを離した。


「あの――」


 ここで――今まで黙って様子を見ていた銘が口を開いた。


「三日前黄さんは白さんと会っていたんですよね。その後はどこでなにをしていたんですか」

「君は」


 黒と青が白に野良怪物の解剖を依頼した帰り、偶然白に会いに来た黄と再会した。その時、銘はいなかった。教師になる前の黒の大学時代(過去)を調査していた。


 黄と銘が会うのはこの時が初めてである。


「うちの生徒だ」

「桐谷銘、探偵クラブに所属している高校生です」

「へえ、探偵さん」


 興味深げに銘をまじまじと見る黄。


 銘自身に興味があるというより、黒の生徒ということで気になっているのだ。


「それで私の質問には答えていただけますか」


 黄はニコッと子供のように笑い、銘の質問に答えた。


「アリバイ聴取ってやつだね。いいよ。黄と会った後はそのまま、自宅の高層マンションに帰ったよ。家に帰った後は、ずっと一人でごろごろくつろいでたかな」

「ち、ブルジョワが」

「アリバイの証人は」

「家にずっといたことを証明する人はいないけど、白と会った後、僕が家に帰ったことを証明してくれる人ならいるよ。僕専属の運転手――」


 間髪入れず、立て続けにされる銘の質問に淀みなく即答していく黄。だが――


「白さんとは何の話を」

「それは…………」


 ここで初めて、黄は言い淀んだ。


「君には関係のない話かな」

「…………そうですか」


 黄の答えを聞き、銘はそれ以上追及することはなかった。


 ここまでの問答、黄はすべて正直に答えている。


 銘の最後の質問に答えなかったのは、それが黄にとって都合が悪かったからだ。


 ここで下手に追及して、黄の機嫌を損ねて質問に答えてくれなくなってしまう方が困ると銘は判断した。


(それにたぶん、その質問の答えは今回の事件には関係ない)


 銘の勘は当たっていた。


 あの時、黄が白と会って話していたのは、病院で出た死体の取引について。


 黄は白から病院で出た死体のいくつかを買っていた。白は死体を売って得たお金で、病院の設備投資などをしていたのだ。


「どうだい、謎は解けたかな探偵クン」

「…………はい、わかりました」


 そう言うと、銘は周囲の視線が自分に集まるのを待ってから、口を開いた。


「黄さんは今回の事件に無関係みたいですね」

「「「っ――」」」


 そう言いながら、銘はニコッと黄に笑いかけた。


「ぷっ――」


 銘の言葉を聞き、黄は思わず噴き出した。


「あははははははははは、そりゃそうだよ。鷹峰財閥の御曹司(勝ち組)の僕がわざわざ事件なんて起こすわけないじゃん」


 そう言って黄は勢いよく椅子の背もたれにもたれかかり、子供のように足をぶらぶらばたつかせた。


((なんか…………むかつく))

「ところで、黄さんは誰が白さんを連れ去ったんだと思います」

「さあ」


 あからさまに上機嫌な黄に銘はニコッと笑みを浮かべながら、続けた。


「急に旅にでも出たくなったんじゃない。ほら、思い立ったら吉日ってやつだよ」

「病院を経営している院長さんが、ですか」

「ない話じゃないだろ。深夜に一人、病室の窓から見える月を見ていたら、そのまま――っ」


 そこで突然、黄の顔色が変わった。


「そのまま、なんですか」


 「やっちゃった」という顔で固まる黄に銘はニコッと笑みを浮かべながら、さらに詰め寄った。


「あ、いや、その」


 銘は無言で笑顔のまま。


 黄を逃す気は一切ない。


 気まずい沈黙が数秒流れ、銘が口を開いた。


「白さんはよく独り身や家族が面会に来ない患者さんの話し相手になってあげていたそうです。だから、行方不明になってもすぐに気づかれず、病院の方が白さんの失踪に気づいたのは二日前の午前九時。私たちが今持っている情報では、白さんが行方をくらませたのは三日前黄さんと会ってから他の病院スタッフが失踪に気づくまでの間」


 実際、病院スタッフたちからの聞き込みで三日前の午後九時までは病院内で白がいたことは確認されているのだが、事件を捜査している警察官ではない銘たちはそこまで詳しいことは知らない。


「一度自宅に帰って、二日前の朝唐突に旅に出たくなったかもしれないのに、どうして黄さんは白さんが行方をくらませたのは三日前の深夜で、しかも病院で行方をくらませたとピンポイントで言い当てられたんですか」

「それ、は…………」


 事件の詳細を知っている者から聞いたもしくは黄自身が白を誘拐した犯人その人でなければ説明がつかない。


「白失踪事件の詳細を知っていたから、深夜、病院でと、ピンポイントで言うことが出来たんですよね」

「…………」


 言葉を失う黄に青がやれやれといった様子で黄に「お前の負けだ」と宣告した。


「相変わらず、お前は調子に乗ると口が軽くなるな」

「ああ、もう、嘘に真実を混ぜたらが(嘘が)ばれにくくなるって緑が言うから、わざと本当のことを混ぜたのに」


 そう言って、黄は勢いよく机に突っ伏した。


「バカが下手に気をてらうから墓穴を掘るんだよ」

「僕の負け。こうさーん」


 黄は力なく、両手を上げた。


「そうだよ、白失踪事件にも、君たちが野良怪物って呼んでいるあの出来損ないが起こした事件にも僕たちが関わっているよ」

((出来損ない))


 黒が野良怪物と名付けた、自分たちと似て非なる怪物。野良怪物の件にも自分たちが関わっていると黄は自白した。


「どういう意味だ」

「ああ、もうこなっちゃったら全部話すけどさ」


 観念したように黄は今回の事件――その真相を話し始めた。


「全部シオンの計画なんだ」

「…………だろうな」


 黒がそう言った後、青と赤もやっぱりという顔をした。


 野良怪物の事件と白失踪事件、両方の事件の犯人が同一人物であるとすると、そもそも白を誘拐できる者が白を除いて、この世に六人しかいない。その中で、野良怪物を好んで使いそうな目立ちたがりかつ王様気質の強い同族というと、黒たちには一人しか心当たりがなかった。


「一体何のために」


 黒の問いに、黄はあっけらんかんとした口調で答えた。


「人類に代わって僕たちがこの世界の主役になるためだよ。世代交代ってやつ」

「シオンらしいな」


 樹海にいた頃、シオンは黒たちの中でも特に人間を見下し敵視している節があった。まだ人間という種族の事をよく理解していなかった黒たちは、特段そのことを指摘することはなかった。


「シオンの計画の内容は」


 だが、今はあの頃とは状況が違う。


 黒たちは人間の社会でそれなりにうまく溶け込んで、そこそこ快適に生活している。


 もし、シオンの企んでいる計画が黒たちの平穏を妨げるようなものであれば、かつて一緒に生活(苦楽)を共にした同胞であっても…………


「単純明快。兵隊を送り込んで、そのまま実効支配」

「雑だな」

「だが、よくある話だ」


 似たような話は今現在、世界中のあちこちで起きている。


 みんな知ろうとしないだけで――


(兵隊ってのは、野良怪物の事か)

「あの野良怪物…………兵隊さんはどこから連れてきたんですか」

「どこからって――」


 銘の質問に、黄は珍しく気まずい顔になった。


「あれはシオンが用意したんだよ」

「シオンが、どういうことだ」


 青に詰められ、黄はさらに顔を気まずそうに歪ませた。


「シオンがなんか変な宗教の教祖様をやってるのは知ってるよね」

「風の噂でな」

「…………そこの信徒たちだよ」

「「「「っ――」」」」


 黄の言葉を聞き、全員言葉を失った。


「どういう意味だ」

「「…………」」


 黄の言葉を聞いても未だ理解できない青と赤、それに対し黒と銘はうっすらとだが答えに辿り着いていた。


「人間を怪物に作り変えた…………」

「…………」


 辿り着いた答えに、口にした銘自身が戦慄した。


 口にはしなかったが、黒が辿り着いた答えも同じだった。


「大正解」

「「「っ――」」」


 気まずい雰囲気の中、黄が正解を口にした。




 二週間前――




 シオンに呼び出され、連れてこられたのはシオンが教祖を務める宗教団体の総本山。その地下室。


「これは」

「どうだすごいだろ」


 連れてこられた先で緑が見たのは頑丈な鉄檻とその中に入れられた自分たちどことなく似た一体の怪物。


「これは一体」

「俺が作ったんだ。俺の言うことを従順に聞く、俺たちの兵隊だ」

(俺たちの…………)


 その真意も気になったが、それ以上に緑には気になることがあった。


「シオン。一体どうやってこの化け物を作り出したんですか」


 緑の問いに、シオンは答えず、後頭部から二本の触手を出現させ緑の目の前まで自身の触手を伸ばした。


「なるほど。そういうことですか」


 シオンの後頭部から生えている二本の触手は、先端を針のように尖らせることができる。そして、突き刺した相手に自身の体内で生成した毒を注入することができる。


 樹海のいたころは、山の中に生えていた毒キノコを食べ、生成した毒で野生動物を痺れさせ、狩っていた。


 今、シオンは人間社会にある、ありとあらゆる毒――化学物質を体内に取り込み、ある特別な毒の精製に成功した。その実験の成果が今、緑の目の前にあるモノ。


「成功確率はそれほど高くないが、量産は可能だ。なんせ、素材はそこらじゅうにうじゃうじゃいるからな」

「素材…………」

「いるだろ、そこらへんにいっぱい」

「まさか――」


 シオンの言わんとしていることを察し、緑は目を見開いた。


グラッ


 直後、檻の中にいた怪物が緑に襲いかかった。


「っ――」


 鉄格子の隙間から腕を伸ばし、緑の服を掴む怪物。その瞬間、緑はある事実を、身をもって知った。


(これは――)


グラァ――


 直後、シオンはすぐさま野良怪物の胸を自身の触手で打ち抜いた。心臓を撃ち抜かれた怪物はそのまま檻の中で倒れ込み、絶命した。


「どうだ、コイツの力は」

「…………」


 シオンの問いに緑は答えず。


「あまりにも貧弱だろ」


 代わりにシオンが自分で自分の質問に答えた。


 シオンの言う通り、先ほど自身の服を掴まれた時に感じた怪物の握力は、自分たち同族に比べ明らかに貧弱。とても、自分たちと同じ種族とは思えないほどに弱かった。


「すべてにおいて俺たちに劣る俺たちの劣等種(出来損ない)だが、それでも元(の性能)に比べればはるかにましだ。もう少し成功確率を上げられれば、一ヶ月もかからずに数千の兵隊を用意できる」

「一体何のために」


 決まっているだろというように、シオンは緑の質問を鼻で笑った。


「俺たちがこの世界の本当の支配者になるためだ」

「シオン、君は…………」


 シオンは人類を全生物の頂点の座から引きずり下ろすつもりなのだ。




 そして、現在に戻る――




「シオンは、人間たちと戦争をするつもりなんだな。人間を、この世界の支配者の座から引きずり下ろすために」

「俺たちが人間を管理する側になるために、か」

「あいつ、樹海にいたころ、よく愚痴ってたもんな。なんで俺たちがあんな劣等種の目を気にしながら、こそこそしなきゃいけなんだっ、てな」

「それはお前もだろ」


 青につっこまれ、きまずそうな顔をする赤。


「「「「…………」」」」


 シオンの計画を知り、四人はしばし黙り込んだ。


「そ、それじゃ、僕予定があるから行くね。じゃっ」


 気まずい状況に耐え切れず、黄は注文したパンケーキを残したまま、そそくさとその場を後にした。


「「「「…………」」」」


 再び沈黙が支配するテーブルで特に気まずそうにする銘。


 そんな銘の様子に青と黒は気づいていた。


「どうするよ、これから」


 一番最初に口を開いたのは、赤だった。


「正直、シオンの作戦は俺たちにとってメリットしかないよな」

「っ――」

「もう嫌味な上司にねちねち愚痴を言われることも、面倒な酔っ払いの相手をすることもない」

「僕も我儘な生徒の相手をする必要もない。テストの採点も、モンペの相手をする必要もなくなる」

「理想郷じゃん」

「…………」


 シオンの計画は黒たちにとってメリットはあっても、デメリットになることは全くない。しばらく考え込む四人。そして――


「ま、俺警察官だしな」


 あっけらかんとした口調でそう言う青。


「目の前で起こっている犯罪を見逃すわけにはいかねえわな」


 そうして、青はチラッと銘の方を見た。


 その視線に気づいた黒は、わざと普段よりもはるかに軽い口調で青に言った。


「この間の地下闘技場は思いっきり見逃していたようだが。あれも、違法だろ」

「そ、それは」


 ちらっと赤の方を見る青。赤はしばらく真剣な顔で考え込んだ後、冗談めかすように肩をすくめた。


「あと二回勝てば、十分な金がたまる。そうなればあそこはもう用無しだ。好きにしろ」

(十分なお金って、もしかしてあの子たちのいる孤児院の運営資金)


 赤も青たちの空気に乗ってきたのを見て、青と黒は内心ホッとした。


「用が無くなればすぐにお払い箱ってか。冷たい奴だな、お前はもっと義理人情に厚い奴だと思っていたのに」

「うるせぇ」


 つまり、赤も青と黒と同じ考えということだ。


「あいつらはあいつらの事情で俺を利用した。俺も俺自身の都合であいつらを利用した。お互い様だ」


 そうして、赤は黒の方に視線をやった。


「黒、お前はどうする」


 全員の視線が集まる中、黒は銘の方を見た。


「「…………」」


 黒は少しだけ、銘の顔をじっと見た。


 黒の覚悟(意志)はすでに決まっていた。


「教師が教え子の前でみっともない姿を晒すわけにはいきませんからね」


 そう言って、黒は銘の頭を優しく撫でた。


「っ――」


 素直に撫でられる銘。


 種族は違っても、親子のような二人の姿に思わず赤と青は頬を緩ませた。


「じゃ、決まりだな」


 赤、青、黒の三人はシオンの計画を否定する。同時に、一緒にシオンの計画を止めることをここに決めた。


「敵が襲撃するならどこだと思う」

「それは――」

「そんなの、一箇所しかないだろ」


 青の問いに三人は一斉に同じ場所を頭の中に思い浮かべた――国会議事堂。この国を動かす、この国の中心地である。


「完全にテロリストじゃねえか」


 国会議事堂を制圧してしまえば、国内だけではなく、国外にもこの国を手中に収めたことをアピールすることができる。シオンたちにとって国会議事堂襲撃は一石二鳥の話なのである。


 だがそれは同時に怪物(黒たち)と人間たちの間に二度と埋まらない決定的な溝が生まれる日でもある。


「明日全員でシオンの宗教団体の総本山に行って、シオンを説得する。といってもあいつが人の話を聞くとは思えないから力尽くで、シオンの計画を止めさせる。それで今回の件は万事解決のはずだ」


 シオン側の戦力はシオン自身、緑と黄、そしてシオンが作り変えた改造人間(怪物モドキ)たち。その中で最も数が多いのはシオンに怪物にされた改造人間たちだが、人間目線で見れば一人でもかなりの脅威なのだが、黒たち目線では束になっても(改造人間たちは)大した脅威ではない。


 正直、考慮するほどの戦力ではない。


 黒たちが注視しなければいけないのは、自分たちと同族の三人。シオン、緑、黄の三人、だが――


「緑さんと黄さんは」

「あいつらはシオンが降りれば、一緒に降りる。そういう奴らなんだよ」


 樹海にいた頃、緑はシオンの右腕――いわゆるNo2(サブリーダー)という立ち位置だった。自身の意見はほとんど言わず、シオンの意思を尊重する。


 黄は緑と違い、ただ単純にシオンの計画をおもしろがって手伝っているだけ。


 二人とも、そこまでシオンの計画に固執しているわけではない。それぞれの思惑でただシオンに同調しているだけ。


「青はとりあえず、このことを本部に上手く報告してくれ」

「わかった」


 黒は明日にそなえ、青にやばい宗教団体がテロ活動を起こそうとしていると警察上層部に報告してもらうことにした。もちろん、野良怪物の件は伏せて。


(警察が動いてくれれば、多少はシオンを説得しやすくなるかもしれない)


 勝負は明日――この日はここで解散となった。


 各々はそれそれの帰路へ…………


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