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「蔵景ちゃんだ」
「さっきログアウトしたけど戻ってきたのか」
「隣にいるの誰だ?」
「知らん」
足利照々の立っている背後から、蔵景とカルムが一緒に並んでこちらへと近づいてくる。集合予定時間よりは早いが、二人ともログインしてきたようだ。何やら会話をしているようだが、距離があるので内容は聞き取れそうにない。
「おや?」
接近してきた二人に対して琥二郎が反応を示す。
「……?」
それにつられて足利照々が視線を後ろに向けた。四人が合流する流れになりそうだが、このまま見ていてタイミングを逃すと余計に合流しにくくなりそうだ。俺もそれとなく琥二郎達の元へと近づこうとするが、周囲のプレイヤーの壁に阻まれてしまう。
「あら、もう一人は?」
足利照々がカルムに問い掛ける。
「あれ、まだ来てない?メッセージ送ったけど反応がなかったから、てっきりもうログインして着いてるのかと思ったんだけど」
「……、――あの、ここに居ます!」
声を出すか悩んだが、どうせこの状況なら否が応でも注目を浴びる。遅いか早いかならさっさと済ませるべきだと声を上げて存在を示す。周囲のプレイヤーの目線が一斉にこちらを向く。
「うん?どこから少年の声が――おや、そこにいたのか」
琥二郎が気づき、一斉に壁が切り開かれるようにプレイヤーが退いて道が開く。これ以上ないくらい目立ってしまったがもはや後の祭りだ。
「琥二郎さんに認知されてる……?」
「どういう繋がりなんだこのメンツ……?」
様々な視線が突き刺さる。この短期間で数回繰り返された光景だが、落ち着かなくてソワソワするな。衆目に晒されながら、琥二郎達の元へと近づく。
「……見世物じゃないのだれけど。その探るような不快な視線を向けるの、やめてもらえるかしら?」
周囲を取り囲むプレイヤー達に対して足利照々が一瞥すると、人の波がサーッと引いていく。
「おお、怖い怖い。たった一睨みで蜘蛛の子を散らしたみたいに逃げていくじゃないか」
「怖がっている人間が浮かべる表情じゃないわよそのニヤケ面」
「ありゃ、そうかい?オジサンあまり顔に出ないタイプだからねぇ」
「……、」
何か言いたげな足利照々が腰に差した刀に手をかける。その様子を見たカルムが慌てて飛び出す。
「ま、まぁまぁ照ちゃんもその辺で。トミナ君、来てたんだね。もう大丈夫そう?」
カルムに問われ、視線を向けると隣にいた蔵景と目が合った。そしてなぜかすぐに目線を逸らされる。いや、まあ今思い返すと少し気恥ずかしい事を言ったかもしれないなと思うが、発言は取り消せない。
「はい、大丈夫です」
隣にいる蔵景に聴こえるように、ハッキリと力強く俺は答えた。




