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大乱世モノノフサバイバー  作者: ミヤムラ
第1章:再起する剣士
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黄鬼来訪

「なんで!?なんでここに!?ウソまって聞いてないそんなの!!サプライズにもほどがある!?」



地面に座り込んでしまったプレイヤーは、ひどく混乱していた。というより、眼前に推しが現れてパニックになっているだけのような。さっきの悲鳴は恐怖から出たのではなく、歓喜の声だったのかもしれない。推しについて熱く語るハイテンション時の平泉先輩を見ているようだ。


その平泉先輩――もとい、カルムはというと、慌てて刀を地面に置き、急いで札を取り出していた。それを荊棘黃童子(いばらきどうじ)に向け、無言のまま目を見開いている。異常な集中力を発揮しているのが見て取れた。



「金髪に額から生えた1本角、腹立つくらいの美形に金棒……!」


「荊棘黃童子がなんでここにいるんだよ!?」


「まだレイド開始じゃねぇのにどうなってんだ!?」



そんな彼女らとは対照的に、周囲のプレイヤー達は一斉に警戒を強める。中には一目散に逃げ出すプレイヤーの姿もあった。



「……なんだよ、オレがこの狂都ん中にいちゃ悪ィのか?オレと朱天(しゅてん)星鳴(せいめい)の野郎に仕方なく付き合ってやってるだけだ。それ以外の時間まで指図される筋合いはねェぞ」



気怠そうに髪を掻きながら、荊棘黃童子は周囲を睨みつける。荊棘黃童子の見た目は少年だ。リアルで例えるなら中学生くらいだろうか。160あるかないかくらいの身長。だが発せられる声は大人のそれだ。凄みのあるドスの効いた声がギャップを生み、ひどい異物感を演出している。


しかし、突如乱入してきたのにも関わらず、荊棘黃童子はこちらに手を出そうとする気配が感じられない。じっくりと、品定めするような様子で周囲のプレイヤーを見ている。



「あーらら、ずいぶんとせっかちなボスもいたもんだ。うーん、まあこういう時は、1番強い人間に指示を仰ぐってのが鉄則だ。トミナ少年、ちょいと移動しようか」


「わかりました」



琥二郎に促され、その後ろ姿を追う。この中で1番強い人間といえば、足利照々である。


足利照々は地面に落ちた刀を回収しながら、青白い液体の入った小瓶を口にしていた。すると一瞬にして喪失していた右腕が生える。直後、地面に落ちていた腕が消失。刀がカランと地面に転がった。


その刀を拾い上げた足利照々は、こちらに近づいてきた琥二郎に渋い顔を向ける。



「……なにかしら?」


「おっと、そう邪険にされるとオジサン傷つくなぁ。いやなに、【剣豪将軍】サマに判断を仰ごうと思ってねぇ」


「判断も何も、わたしは誰かと共闘するつもりは最初からないわよ?邪魔するならあなたから斬ってあげるけど」


「あらら、そうかい。まあそんな気はしてたけども」



二人の会話を一歩引いて見ていると、隻腕の蔵景が刀と腕を拾ってこちらにやってくる。見た目がわりとショッキングな光景だ。蔵景の肩口からは、光が溢れ出している。



「おつかれ」


「うん、労いありがとう。トミナ君、少しの間、これを持っててもらえるかしら」


「うえっ!?お、おう」



まさか生腕を渡されるとは思っていなかったので、思わず声が裏返る。


ほんのりと声に明るさを取り戻した蔵景から、刀と腕を受け取る。蔵景は先ほど足利照々が使用したアイテムと同じ物を取り出し、中身を一気に飲み干す。すると俺が手にしていた腕が消え、蔵景の左腕が復活した。



「斬られた腕って生やせるのか」


「希少アイテムを使うけど、一応」



手元に残った刀を蔵景に返そうとした、――その直後の事だった。

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