35話 ウツボッキの巣
朝起きたらダーリンが知らない女を連れている。
なんか肩に大きな羽虫みたいなのがいる。なにこれ。
なんで全裸なのに凛とした顔ができて、しかもダーリンの肩に立ってるのか詳しい説明がほしい。
厳つい槍みたいなのもってるし。槍を用意する前に服を着なよ。「私がこの人を守ります!」みたいな感じを出しているけどまず服を着てから守れ。自分も守れないやつが他人を守れると思うな羽虫。
これは妖精かな。多分。初めて見た。
普通は外の別世界から出てこない引きこもりで、人前には滅多に姿を現さないはずなんだけど。なぜかずっとこっちの世界に顕現してるね。
オノドリム、世界は本当に広いね。ダーリンといると生きることに飽きが来ないや。
「おや? 目が覚めてしまいましたか。まだ起きなくても平気ですよ。リリはゆっくり休んでいてください」
「世界樹様には私がついている。奥方はごゆるりとお過ごしあれ」
は? 奥方? 私が? 何、はちゃめちゃいい子じゃん。
私とダーリンがそう見えるって一発で見抜くのは中々センスあるよ。
さすが妖精だね。変態しかいない精霊とは大違いだ。でも服は着ていてほしいかな。
妖精は使命感が強くて融通が利かないとオノドリムは言っていた。
そういう子は妖精に限らずお尻が弱いとも言っていたけど、どうでもいいねそんなこと。私はダーリンにならなんでも弱いし。その弱さなら誰にも負けない自信がある。可愛いって言葉だけで膝と処女膜が震えるもん。「か――」からはじまるだけで震える準備しちゃう。
「あぁそうか、枕代わりにはちょっと高すぎましたよね。これじゃあ寝つきも悪くなる。首がつらいようならどきますから――」
「いい。自分で調整する」
確かに高いけどダーリンから離れるぐらいなら首が折れた方がましだ。
「調整ですか? さすがに私の足の高さはかえられ――こ、こらなにを」
膝枕で上を向いていたが寝返りを打つことにした。
ダーリンは慌てているが、あえて無視して聖域の方に寝返りをうつことを強行。
やばいよこれ。深呼吸しかできない。これ普通の呼吸の仕方忘れるやつだ。
「ま、まったく。それでは息がしづらいでしょうに。そんな強く息を吸ってまで無理な体勢でいる必要はないんですよ」
「まあよいではないか。奥方は甘えたい年頃なのだろ。子供が甘えるようで愛いではないか」
「子供が甘えたいですか……。まあそういうことなら仕方ありませんね」
あっ、お父さんスイッチ入った。最近このタイミングがわかるようになってきてる。こうなったら何しても甘やかしてくれるんだよね。
でもその代わり女としては一切見てくれなくなる諸刃の剣。
多分この状態なら髪や体も洗ってくれるし。抱っこもおんぶも好きなだけ無限にしてくれて。料理中に邪魔しても構ってくれる。究極的には、両足をパカっとひろげながら抱えられて「シーシーしようねー」とか言って庭でおしっこもさせてくれると思う。そして私は両手を顔で隠して放尿するの。恥ずかしいやら嬉しいやら楽しいやらだね。
それはもちろん望むところなんだけど、できれば彼女とか妻としてそれをやってほしい。普通の恋人同士みたいにプレイの一環としてやりたいんだ。一人だけ興奮するのは違う。私にもダー棒搾らせろ。
「フッ、世界樹様も存外に甘いようだな。見ず知らずの余を助けるぐらいなのだからそれもそうなのだろうが。だからこそ奥方も甘え甲斐があるというものよな」
あれ、ホントに深呼吸しかできない。
鼻から抜けてきたダーリン臭が脳をぐちゃぐちゃにする。昔に森で見つけた綺麗なキノコを食べたときと似た感覚を覚える。ダー棒はキノコだった? キノコはダー棒?
だとしたら今はひどい顔をしていると思う。
この顔は絶対に見せられない。闇の精霊がルカにわき腹をくすぐられていた時よりはましだろうけど、そこそこひどい顔をしているはず。
それにしても、くすぐられてるときのあいつの顔はホントにひどかったね。
自分からくすぐり対決を申し込んでおいて、ルカをちょこっとくすぐったらお返しされて速攻で負けてたもんね。「んほぉー!」って言葉が人の形をしたものから出るのはかなり引いた。
後半は言葉のほとんどが濁音になってて、亀みたいに丸くなりながら「イ、イグゥッ!」と叫んだあたりでダーリンが気づいて止めてくれていなかったら絶対に精霊汁飛ばしてた。
なにが「今回は引き分けということで……次回は負けませんわよ!」だよ。完堕ちして完敗してたろ。次回などやらせるものか。生きる不道徳め。
それからルカがくすぐりにハマってしまい、ダーリンをちょくちょくくすぐるようになったのはよい傾向だ。
ダーリン敏感だから反応が可愛いの。特に胸が弱いらしくて、たまたま乳首に指があったたら地鳴りがするぐらい暴れてた。
あれ可愛いからホント好き。私もいつかやろう。聖域もくすぐるふりして触っちゃお。
☆
記憶を何度整理しても理解できないのだが、立ちションをしていたら妖精に異様なほど懐かれた。
倒れて死にかけているところに、そうと気づかず小便をぶっかけてしまったらしい。そしたら元気になって気に入られた。人生何があるかわからないものだ。
でも小便をかけられて懐くなんて、妖精も精霊と大差ないのかもしれない。
自分の聖水に強い治癒効果があるのはわかっているが、普通は小便かけられたら激怒するだろ。
彼女の名前はオーレリアと言うらしい。こっちの世界にきたついでに自分でつけたそうな。
見る角度によって変わる虹のような髪色が幻想的。シャボン玉をみているみたい。でもおしっこ臭かったから体は拭いてあげた。でもまだ臭い。肩から降りてほしいと切に願っている。
オーレリアは俺のことを世界樹だと思い込んでいるちょっと痛めの妖精さん。「違うよ」って言っても「そうだよ」って聞かない。すっごい頑固だね。
別の世界から馳せ参じたとか言っていたけれど、これから意図不明な金持ちの家にご用件をうかがいに行くのに。意味不明な理由で未知の生物に参じられても扱いに困る。
でも事情をきいて泣かされてしまったのだから仕方ない。この子を置いていくなんてできなかった。
もう帰る場所がないのなら肩ぐらいはかしてやろう。でもおしっこ臭いのは勘弁してほしいから早く洗ってほしい。
彼女の話を要約すると、姉妹に見捨てられて居場所を失い。死ぬ間際に魔力が暴走してこっちの世界に来た。「あちらの世界では役目を十全に果たしきった。だから悔いはない――」とか、絶対に過去を引きずっているのに、悲しそうな顔で強がって笑うもんだから俺は涙のおかわりをした。恩知らずな新女王とやらにこそ小便をぶっかけてやりたいと憤った。
妖精についてはおとぎ話程度の知識しかなく、詳しくはないので今度司教に尋ねておこう。あの人はなんでも知っている。何年生きているんだろうってくらい知識の幅が広くて深い。
本当に何歳なんだろう。
☆
馬車の旅はつづき、林を抜けた先で石橋の下に綺麗な川が見つけたので一旦そこで一休み。
「えっ……えぇ?」
御者が何度も目をこすっては妖精を見ているが幻覚じゃありませんよ。
彼女はオーレリアという妖精さんです。黄金の女王だそうです。どこも黄金じゃないのでなにが黄金なのかさっぱりですね。
「外世界の川は初めて見るが星屑は流れていないのか? それに余のいた世界に流れる川よりも幾分か汚れているようだな。地面にそっているのも不思議だ。普通は空を流れるものだろうに」
山から運ばれてきたであろう、湧き水と雪解け水によって構成された清流を汚いと評するか。そちらの世界の水はどれだけ澄んでいらっしゃるのか。こちらの世界とは色々と異なっているご様子。
清流を汚いと断じられた妖精の女王様だが。当人はおしっこ臭くて汚いので、俺の手のひらを川に浸けてやり、その中で水浴びをさせてあげた。
指で遊んでやりながら背中や腹をオルガンでも弾くようにこすってやると「ハオゥッ! アオゥンッ!」と、遠吠えをする狼のような姿勢で聞きなれない鳴き声を上げるのが面白かった。
何度も逃げようとしていたが、すぐに手のひらの中央に戻ってきては、犬が腹を見せるようにコロンと転がって待っているのが、リスなどの小動物と戯れているようでとても癒される。
川辺で待たされているリリはとても不機嫌そう。人形遊びをする変態神父とでも思っていそうな、若干の軽蔑を含んだ目をしている。
リリが五歳ぐらいの幼女ならば同じようにして遊んであげたのだがな。
どんなに心の娘力が高くて精神年齢が五歳ぐらいでも、体はバチシコ全身性器。のぞき穴から肉体のどこを切り抜いても勃起できる、出産適齢性行最盛期女性だ。
同じことをしたら瞬時にオーク化してしまい、明日の朝になるまで犯し抜いてしまうだろう。
「ハァハァハァハァ……ふぅ……やっと落ち着いてきた。か、体を洗ってもらうというのも存外悪くないな……。羽を洗ってもらうのが癖になりそうだったぞ。この世界にこれてよかった」
遊び疲れたらしいオーレリアが、水を吸って重くなった長い髪を後ろに一振り。水を吸っているときは青味が強い気がする。面白い性質だ。
しかし水気を飛ばす姿も、とても様になっておられる。さすがは女王陛下。人間と同じサイズだったら緊急勃起案件だったな。妖精でよかった。
「ねぇ、次は私も水浴びしたいんだけど。血も出ちゃったし色々汚れてるから」
たしかに怪我はしたが、眠っている間に俺の唾液で汚れた首周りは拭いておいた。
一見どこも汚れていないように思えるし、いつも通り綺麗だ。
「清浄という言葉を人の形にしたらこういう姿になろうかという清楚極まるいつものリリですよ?」
「ふーん……ふ、ふーん?」
本心からの言葉なのだがリリは納得をしていないご様子。
出会った頃こそ小汚かったが、今では水浴びも毎日しているし毎日付き合わされている。
教会で暮らすようになって潔癖の癖でもついたのかもしれない。もしかしたらそれで、俺の唾液がついているような気がして不快なのか。
「だから私も手のひらに乗せてよ」
違うらしい。
なるほど、オーレリアとばかり遊んでいたことにむくれていて。娘的に怒っていたのか。可愛いなもう。
「さすがにリリを手のひらに乗せるのは難しいと思いますよ」
「できないことはないと思う」
まあやろうと思えば筋力にものをいわせて可能だろうな。でもそれ楽しいのか?
その爆乳というに相応しい爆裂した乳房なら、手に乗せて片方ずつ丁寧に洗って差し上げたいが……おっと聖棒そこまでだ。少しでも動いたらぶん殴るぞ。
「冗談はさておき水浴びをすること自体は構いませんよ。でもあまり離れては危ないですからね。遠くに行かないようにしてください」
「なんで離れる必要があるの?」
「いやなんでと言われましても……」
私や御者などの、性に興味津々で盛りざかりな男どもの目が近くにあるからだよ。
リリは本当に性に対して無頓着が過ぎるな。
特に自分が世間からどう見られているかという自覚が薄いように思える。パンツも履かないし、お尻は儚いし、おっぱいは大きいし。そういうのを意識して、自分の美しさをもっとちゃんと自覚してほしいものだ。
いつかその油断のせいで危ない目にあうのではないのかと、お父さんハラハラしっぱなしだ。胎孕もしっぱなしだ。
そんな身体でよこしまな気持ちで見られないと思っているのが不思議で仕方ない。見られてもいいとすら思っている節があるので余計に不安を煽る。
俺の眼前で、口よりもよく動く雄弁な爆乳と。水に触れたら溶けてしまいそうなほど儚い尻を生でさらしてみろ。この場にスレイプニルとは違う種牡馬が一頭増えて、馬並みのお馬さんが種馬としての義務を果たさんと種付け任務に突入するぞ。
ヒヒーンでアヒーンで、避妊もしない。
「うーん? あっ、そういうこと?」
目を細めて首をかしげていたリリがパッと笑う。
「言わずともわかってくれましたか。そういうことですよ」
「君はホント心配性だね。大丈夫だよ、確かにこの川は多少深いみたいだけど、幅自体は狭いから大型の水棲魔物は生息できないはずだから」
これは何か誤解しているな。
「あの辺の丘に魔物がいたとしても姿を隠す場所がないだろうし、攻撃を仕掛けるより前に魔法で返り討ちにできる。水がこれだけあるなら魔力も節約できるし、魔法使いの私にとってはむしろ有利な地形だよ」
リリもティアスとは別ベクトルで戦闘脳なんだね。
「まず心配するのが敵襲なあたりがいかにも冒険者らしいですね」
「あれ、なんか違った?」
「いえ、魔物も警戒すべきではありますよ。でももっとほかに警戒しないといけないものがありますよね」
「……? ないよ?」
「あります」
「……(なにその優しい言い方。あーもう好きすぎて無理)」
わさとゆっくり言ってやると何故か抱きついてくるリリ。
一番警戒するべき難敵が既に間合いにいるとは思っていないようだ。
それは水棲の魔物よりも汁っぽくて太いウツボを模した魔物。ウツボッキがすぐそばにいるのをな。
ウツボの生態を知っているか。獰猛な攻撃性を持ちながら繊細で臆病。普段は穴の中に隠れ潜み、一日の大半を穴の中ですごす。昼間の内などは余程の事がなければ絶対に出てこないという。
俺の魔物の生態もそれと似たようなものだ。
もしもこんなところで全裸になって水浴びなどしてみろ。
ウツボッキの水場を好む性質と獰猛な攻撃性。そして穴に隠れたがる習性と、すぐそこに隠れ甲斐のある穴があるという状況が噛みあってしまい、リリの濡れそぼった岩礁に迷わず突入するだろう。
そして今は真昼。一度侵入されたら日が沈むまでは出てこないと思え。
もしそんな惨劇を回避したいならば、その胸部の谷間を巣穴に見たてておびき出すほかない。
それで最悪な事態は避けられるかもしれないが、どう転んでもリリの女としての尊厳が奪われてしまう。
どうだ怖いか。俺は怖いぞ。
リリとの間に築いた信頼関係が、この怪物ウツボ一匹のせいで一瞬で崩れ去るのがな。
「したい、したい、したい。水浴びしたい! 一緒にしたい! いっぱいしたい! (妊活したい!!)」
リリには全くそのつもりはないのだろうが、性行為をねだられているみたいに聞こえてウツボが苦しんでいる。
「参りましたねぇ……」
こうなるとリリはもう言うことをきかない。
トイレについてきてほしいと駄々をこねられた夜なんて、この場で漏らすと広間で脅されたぐらいだ。気をつかったのか、サッと手の両のひらを差し出した闇の精霊がすごい睨まれていたっけ。
「なに、奥方は余が見張っておくので世界樹様は何も案ずる必要はないぞ」
困ったことにオーレリアは、リリを俺の妻だと思っている。
リリのためにも訂正してやらなければならないのだが、御者へついた方便との整合性が取れてしまっているので現状いますぐに否定するというのは難しい。
それとなくリリにも説明したが、そこはちゃんと理解してくれているようで、露骨にイヤな顔などをしたりはしなかった。
むしろ「いいね、面白いんじゃないかな」などと、まるで楽しんでいる風を装って笑い。俺に少しでも心の負担をかけまいと気を遣ってくれていた。
そのリリの優しさと寛容さには感服しきりある。
心苦しくはあるが、しばらくは甘えさせてもらおう。
「オーレリアが見てくれるのですか。なるほど、そういう事ならば私は離れておきましょう。何かあったら伝えに来ていただければすぐに駆けつけますので」
「え? ダー……君も一緒に水浴びしよ? 遊ぼ? 脱ごう?」
リリと水遊びなんてしたらオーク化してしまうわ。即座に白い水遊びが始まって、清流に放精して精流になるぞ。
俺の中のオークを本気で疑っているわけではないが、理性を手放すというのはそれなりの勇気がいる。
これまで理性を失った経験などそう多いわけでもなし。自分でコントロールできるのは理性を失う寸前の、ほんの一瞬の間だけだ。
ムラムラしきっている状態で理性を刈り取られたらと思うと、想像するのも恐ろしい。
「まだ目的地にもついていないのに遊ぶというのは少々抵抗がありますね。先方を待たせてしまっているわけですし」
「あっちが勝手に呼びつけたんだから、そんなの気にしなくていいよ。金までチラつかせて下品だよね」
まあそうかもしれないが、平民の俺がこんな馬車に乗せられている時点で、相手は自分よりも高位の存在であるのは間違いない。
世のしがらみを気にせず飄々と生きられるリリには理解しがたいのかもしれないが、人の世とは俺みたいな下っ端が下っ端らしく生きることで成り立っているのだ。
「では遊ぶにしても帰りにしませんか? それにリリ、うら若き乙女が安易に殿方の前で肌を晒すというのは褒められたものではありませんよ」
「肌を晒す? 私は脱ぐなんて一言も言ってないよ? (脱ぐつもりだったけど。最低限ダーリンだけでも脱がせたらいい。だって私はミニスカートだから。ダーリンさえ脱がしてしまえば事故を装ってスルッと行為に及べる)」
「…………そうでしたね」
いや水浴びすると言ったら普通は脱ぐと思うでしょ。
どんなところに罠を仕掛けてくれてるんだこの子は。ダンジョンより罠を隠すのが上手いな。
「でもそうだね……わかったよ。そういうことなら覚悟を決めて君に晒そうかな」
覚悟を決めて見せるのは余計にたちが悪い。
そんなことをされたらこちらも覚悟を決めて籍と聖棒を入れてしまいそうになるだろ。
「私が早とちりし、勘違いをしてしまったせいで誤解が生じていますね。脱がないのであればそうしてください」
下着を装着していないのだから薄着で入るというわけでもないよな。
濡れた衣服のままでいさせて風邪をひかないかだけが心配だ。最悪は俺の服を着させてやろう。
「うーん、ちょっと難しい話だね」
いたってシンプルな話だったと思うが俺の言葉選びが悪いのか?
「人とはおかしなものよ。そんなにも大きな体をしているというのに肌一つを見せるのも恐ろしいとは。夫婦ならば気にせず見せ合えばよかろう。余には理解できぬな」
素っ裸で尿の臭いがしても気にせず堂々としていらっしゃるあなたにはそう映るのでしょうね。そら何も怖くはないだろうよ。
「私は別に恐ろしくは……あっ、やっぱり怖いかも」
リリはよく意見を翻す。
だがそれは見方を変えれば思考が柔軟であるという長所である。
だからこそ頑なに死のうとしていた意思を曲げ。今は生きる道を選んでくれたのだ。この長所は伸ばしてあげるべきだろう。
「とにかく男女一緒にというのは無理ですよ」
「えー。えー」
「どうせなら私も体を洗いたいので、離れでひと泳ぎしてこようと思います」
もう無理やり話を進めてしまおう。
「ふーん……」
拗ねてしまったが、あとでご機嫌を取るためになんでもしよう。
聖棒を使って、いないない棒とか……いや馬鹿か。これはいよいよウツボッキに思考が乗っ取られかているな。
「世界樹様は泳げるというのか!? えっ、樹なのに!?」
「樹じゃないですからね。ひとだから泳げますよ」
オーレリアが大きな目をさらに見開いて驚いている。世界樹様って何かと思っていたが、本気で樹だと思われていたんだな。山の次は灯台で、その次は樹木か。さて次はなにと誤解されるのやら。
「これでも泳ぎは得意なんですよ。子供の頃に散々しごかれて仕込まれましたので」
「(私もダーリンをシゴいて種を仕込まれたいんだけど)」
司教には毒の沼地で様々な泳ぎを教えられたものだ。
うっかり跳ねてしまった毒が司教の口にナイスインしたときは、俺の聖水で治療して悶絶していたっけ。ちょっとスカッとしたのは内緒にしておいた。トロっとしちゃうからな。
「そうそう彼は泳ぎが上手いんだよ(子袋の中で子種を泳がせたい)」
なぜ俺の泳ぎの練度をリリは知っているのだろう。
俺がリリの前で泳がせているものなど、袋のなかに封印されている精子ぐらいなのに。
「さすがは世界樹様……余は感服したぞ。ぜひ余にも手ほどきをしてくれぬか」
「かまいませんよ。ですが我々とは大きさが違いすぎるので、川の浅瀬で練習しましょうか」
「その心遣い、痛み入るばかりだ」
「ふーん、私はダメでオーレリアはいいんだ? ふーん?」
「あっ、いや……それは……」
まいったな。リリがふくれてしまった。
自分だけで遊んでもらえないからと拗ねてしまうとは。見た目は生きる全自動強制搾精機なのに、中身は子供のままで気難しいな。
でもそこがまた、たまらなく可愛いのだ。
子供なんて我儘なぐらいがちょうどいい。それこそ元気な証拠である。
賢く素直すぎて可愛いルカと、エロすぎる脱法精神ロリなリリの対比が実にいい塩梅じゃないか。
今回は俺が悪かったな。
リリを見守ってくれると言ったオーレリアを連れていってしまうのも話が矛盾している。そのあたりに色々と思うところがあったのだろう。
「オーレリアも女だよ? なんでオーレリアはいいの?」
「奥方よ、余はメスであって女ではないからではないのか?」
女じゃなくてメスだからとか、聞く人が聞いたら誤解を招く言い方をしないでほしい。
「オーレリアは妖精なので女性としては数えていませんしメスとも見ていませんよ。もちろん最低限レディーとしての扱いは心がけますが」
こんな小さな妖精にまで女性として興奮していたらきりがない。
そうなったら開いた花を俺のチンポポで受粉させたいとか。樹の穴にぶち込みたいとか、穴であればなんでもいいと考えるようになり。
妖精でイケるなら鳥やネズミなどの小動物にまで欲情するようになってしまうだろう。
「じゃあエルフの私は女として見てるってこと?」
「言い方に語弊がありますが……リリは可愛い娘として見ていますよ。ですから男にみだりに肌を見せたりするのはいけませんといつも教えているのです」
「……(ここにきて娘の壁か。娘として裸を見る方法はないかな。こんなときに闇の精霊がいてくれれば)」
親指の爪を噛むリリ。こういうところも子供っぽい。
「娘? 奥方は奥方ではないのか? こちらの世界には疎いのだが、近親であっても交配するものなのか?」
「…………そうだよ?」
こらこら、話をややこしくするな。




