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じゅんけいさん。に。  作者: ジョウビタキ子


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9/13

きゅうりを武器にするしかない


さぁ今から

きゅうりの収穫を始めるぞ、と

『愛菜号』にコンテナをセットしたタイミングで

緑の何かが目の前をサッと横切りました。


きゅうりの収穫をしていたら

葉っぱや、脇芽、つるが

時々落ちてくることがあります。


指でひょいひょい除けていけば良いので

なんの問題もありませんが

手袋をはめている最中で

まだ収穫を始めてもいませんので、

このタイミングで

視界の端に映った緑に

娘は少し

嫌な予感がしていました。


まだ

焦点は合わせていません。


コンテナの中に

ぼんやりと

緑があるな〜っという感じです。


手袋をはめて

少し辺りをキョロキョロ見て

よしっと心を決めて

カゴの中を見ます。










「でっかいね〜…」










カゴの中にいたのは

バッタです。


珍しいですね。


あまり会わないお客さんです。


バッタは…

あまり興味がありません。



大きいか

小さいか

長いか

短めか

太めか

細めか



そんな基準で見ています。


これがトノサマバッタだよと言われれば

しっかり信じるでしょう。


バッタに関しては

それくらいの気持ちの矢印しか

まだありません。


なので

この

ちょっと大きくて

長めのバッタが

何バッタなのかは分かりませんが

思うことはただ一つ。















出て行っておくれ。

















跳ねるから苦手なんです。

大きいしですし…。


コンテナの底で息を潜めているバッタに

雨蛙の時のように

手を持っていく勇気がありません。


長いものを探しますが

こういう時に限ってないんです。


さて、どうしようか。


追い出し方を悩めば悩むほど

バッタのボディをこまかく見てしまいます。


口が赤いんですよね…

どうして口が赤いのでしょうか。


あの長くて健康そうな足も厄介ですね…

すごくジャンプできそうです。


口が…赤いですねー…

んー…

苦手かもしれなです。
















考えた末。


右隣にぶら下がっていた長めのきゅうりを


プチリと収穫した娘。


きゅうりで追い出そうという魂胆です。


きゅうりは長さがあるので


ぴょんと跳ねられても


娘の手までは距離があります。


そう思い


きゅうりを近づけていきます。


バッタも娘の動きの気付いて


グッと体を引き締めるように動きました。


これは


跳びますね。


絶対跳びます。


問題は


どこへ向けて跳ぼうとしているかです。


きゅうりをバッタへ近づけながら


バッタの出方を伺う娘。


ここでハタと気付きます。











コンテナ…


ひっくり返せばいいじゃないかな?











絶対それがマシです。


きゅうりをそっと置いて


跳んではくれるな、と


願いながら


コンテナを抱えます。


もちろん


できるだけ


バッタから距離のある場所を持って。











ガコンッ












無事外へ出て


コンテナをひっくり返しました。


でもこのバッタ


強情そうです。


掻きついて離れてくれないんです。
























コンテナ


横に倒したまま


放置しました。


もう知りません。


きゅうり収穫している間に


出て行ってくれることを願って


次のコンテナをガシッと掴みます。










ハウスの温度が上がっているんです。


バッタさんにかける時間は


ありません。


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