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初級魔法師の英雄譚  作者: 藤咲理久
第一章

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第二話 まだ、誰もが知る初級魔法

 翌日からの行程はやりやすかった。


 リーシャはかなりコミュ力が高く、気遣いができた。

 俺がぎこちなくなるところをフォローしてくれたり、比較的話しやすい人と近い配置になるように提案してくれたり、夕食時もみんなで一緒に食べているところに呼んでくれたり。


 ……学生のキャンプでコミュ障ボッチを気遣う優しい女子みたいなムーブだな。


「今日の午前中はうちのパーティと一緒かー、よろしくねクルトさん」


「よろしくリーシャ。それと──」


「冒険者パーティ"白竜の爪"でーす。うちのリーシャがお世話になってます」


 今日はリーシャの所属する冒険者パーティと共に商隊の側面を護衛する。


 この"白竜の爪"というパーティは美少女四人の冒険者パーティだ。

 もうね、美少女冒険者なんてそうそういないのに、四人も固まっているので目立ちまくっている。


 で、なんで四人もの美少女冒険者が集まっているのかと思ったが、出自を聞いてなにか事情があるのだろうと察した。

 この四人、全員元貴族のご令嬢らしい。それも、幼い頃から知った仲だとか。


 この世界では美少女冒険者は少ないが、高い戦闘能力をもった美少女は結構いる。この世界だとギフトさえ良ければ女性だろうと、戦闘訓練以上に美容にリソースを割いていようと、高い戦闘能力を得ることができる。だから、地球と違って戦闘能力の高い美少女は多い。

 ではなぜ美少女冒険者が少ないのかといえば……冒険者の地位が低いからだ。

 戦闘能力が高く見目も麗しい少女。そういった引く手数多の人材は冒険者などにはならないのだ。


 そう、つまり、四人もの容姿に優れた元貴族令嬢が地位の低い冒険者になっている以上、深い訳があるのは間違いない。


 ……まぁ、俺は元貴族令息の割に、あまり重い理由もなく冒険者になってるけど。

 そう考えるとこの四人の理由が軽い可能性も……無いか。一人ならともかく四人だし。

 というか、そもそも俺の理由もこの世界の価値観を考えると重いのか? いや、そうでもないよな。うん、軽い軽い。

 まぁ、俺の場合は理由自体は軽いとはいえ、貴族ではいられなくなった。そして、それでも冒険者になるのは普通の貴族生まれはためらう。俺がためらわなかったのは、前世の地球での記憶のおかげで、冒険者への差別意識がなかったというのが大きい。

 つまり、やっぱりこの四人はわざわざ冒険者になっている以上、俺と違ってなにかやむにやまれぬ理由があった可能性が高い。


「クルトさんって初級魔法師って名乗ってたけど、ギフトが初級魔法系なの?」


「……ああ。そうだよ」


 このぐらいは隠すほどのことじゃない。

 それに、戦闘になればわかってしまうことだ。

 ……まぁ、そこらで出てくる魔物程度が相手なら、ある程度手の内は隠すつもりでいるけれど。

 それでも、魔境に籠もる前の三級冒険者として活動していた時期相当の実力は見せるつもりでいるのだ。初級魔法系のギフトだってことは隠すほどじゃない。


 ……それに、普通、ギフトは一人につき一つだけだ。

 まさか俺がギフト三つ持ちで、しかもその全てのギフトが初級魔法系のギフトだとは思うまい。

 そう思われないように振る舞うしな。三つの内一つを晒すぐらいは、むしろ良いカモフラージュになる。


 他者に晒すギフトは決まっている。【初級魔法制御力向上】だ。

 世間一般では極めて評価の低いギフトだが、俺にとっては最も重要なギフトだ。


 このギフトのお陰で、五年前の自分は初級魔法だけでオークの集落を殲滅して三級冒険者になった。

 初級魔法に、この世界の常識を超えた威力をもたせるのにも重要なギフトだ。


「なるほど。ギフトが初級魔法系なら、初級魔法で頑張っているのも納得だ」


「そう言ってくれるってことは、リーシャもやっぱり重い武器を使うのはギフト絡みか」


「うん。【過重武器運用】っていうギフト。本来扱えないほど重い武器を扱えるようになるギフトだよ」


「なるほど、納得だ」


 ギフトは神々から与えられる祝福だ。様々な神様が、様々なギフトを与えてくれる。この世界の人々は十五歳になると、神殿が執り行う成人の儀に参加し、そこで祝福を授かるのだ。


 例えば魔法神様のギフトなら【初級魔法制御力向上】や【上級魔法焦点自在】のような魔法に関連する効果の祝福。武勇神様のギフトなら【覇者の剣技】や【戦技威力向上】などの戦闘に関する力。変わったところでいくと、美麗神様のギフトには【輝く美貌】や【不老】なんてものもある。


 そんなギフトが、()()()()()一人につき一つ与えられるのだ。

 三つも与えられている俺はかなりの例外だ。


「クルトさんってうちのリーシャと仲良くしてくれてますよね」


 歩きながらギフトについてリーシャと話していると、他の"白竜の爪"のメンバーも話しかけてきた。

 今話しかけてきたのは"白竜の爪"のリーダーである……ミルシーだ。確か。


「ん? ああ、そうだね、よくしてもらっているよ」


「ふふーん、リーシャは可愛いですからね。惚れるのも仕方ないってものです。ただ、リーシャはうちのエースですから、あげませんよ?」


「まぁ、確かにリーシャは可愛いね。ただ、まだ惚れてはいないかな」


「えぇ!? リーシャに惚れてないなんて嘘でしょ!? うちのリーシャに惚れないなんて男として見る目ないですよ!?」


「……あはは、あげないって言っておきながらそれって結構ひどいな、君」


「ごめんなさいねー、ミルシーってリーシャのことが大好きなんですよー」


 そう言って次に話しかけてきたのは"白竜の爪"の魔法師アリーネ。ほかメンバーよりちょっと大人びていて色っぽい。まぁ、年齢は同じらしいけど。


「それにしても、初級魔法系のギフトということはかなり苦労されたのでは?」


「まぁそうだな」


「魔法関連の仕事は最低でも下級以上の魔法関連ギフト、一定以上の水準が求められる仕事の場合中級以上の魔法関連ギフトを持っていないとそもそも就けませんからねぇ。この国だけじゃなく、大半の国でそうだと聞きますし」


「いくつか興味のある仕事をあたってみたけど、確かにそう言われて断られたな。正直あれ良くないと思うんだがなぁ。例えば【最上級魔法焦点自在】とか持ってても役に立たないだろうし」


「【最上級魔法焦点自在】は確かにそうですね。まぁ、あの手の制度は貴族の見栄によるものですから、仕方ありませんよ」


 世の中には事実上運用不可能なギフトが存在する。例えば【最上級魔法焦点自在】もその一つだ。【最上級魔法焦点自在】は少なくともそれ単体では機能しない。理由は単純で、最上級魔法は個人運用が不可能だからだ。例外として【最上級魔法制御力向上】のギフトを持つ者は、個人で最上級魔法を行使できるが、これがないと複数人で協力しなければ最上級魔法は使えない。

【最上級魔法焦点自在】は、最上級魔法発動時、その魔法の起点となる座標を自身の魔力範囲内で自由に指定できるというギフト。つまり、そもそも最上級魔法を使えなければ意味がない。

 そのため、【最上級魔法焦点自在】が運用できるのは【最上級魔法制御力向上】を同時に獲得している場合だけだ。一応、【最上級魔法焦点自在】持ち複数人でチームを組んで最上級魔法を使う場合でも運用は不可能では無いらしいが、その場合は精神系の魔法で思考を共有するなどの手間が発生するらしい。


 ギフトは基本的には一人につき一つだ。しかし、稀に二つ与えられる者もいる。そして更に稀に三つ与えられる者も存在する。

 更にギフトを複数与えられた者の中でも、魔法系ギフトを複数というのは確率が低い。魔法系ギフトを複数ということは、つまり魔法神様から同時に二つ以上のギフトを授けられるということだ。このように一柱の神様から複数のギフトを受け取る確率はかなり低かいのだ。複数ギフト持ちでも大抵の場合、魔法神様と武勇神様、のように別々の神様からの祝福を受けることになる。


 二つ以上のギフトを受ける時点で稀、同じ神様から二つ与えられる事は更に稀なのに、それに加えてピンポイントで【最上級魔法制御力向上】と同時獲得しないと意味がない。【最上級魔法焦点自在】は間違いなく外れだ。歴史上個人で運用できた者が一人もいなかったとしても不思議じゃない。いたら名前残ってそうだし。


 にも関わらず、【最上級魔法焦点自在】を持つ者は最上級魔法系ギフト所持者として魔法関連の仕事に就くことができる。最上級魔法系ギフトを与えられるということは、それだけ魔法神様から期待されているということになるらしい。……馬鹿馬鹿しい話だ。


 ……神々はそこまで個人個人を見ていないさ。そんな余裕、神々にはない。


「貴族ってのはホント面倒だよなー。ま、私も元貴族令嬢だけどなー」


 最後の一人、斥候役を務めるというキルスがそう言って声をかけてきた。


「まぁ、魔法なんていうのは貴族の権力の象徴みたいなものだからな。実際、魔法に優れた者同士で血を繋いでいる家系が多いから、ほとんどの国で平民より貴族のほうが、魔法の才能が高い傾向にある」


「それなー。貴族は魔法にこだわるもんなー。家によってはギフト次第で勘当するとかあるもんなー」


「特に魔法に関する要職についている家系とかな」


「そうなー」


 魔法の要職につく家系の場合、ギフトが魔法神様のものじゃなかったり、魔法神様のギフトでも初級魔法系だったりするといない者扱いされたり勘当されたりするのが当然のこととなっている。……ほとんどの国で。


「まぁ、魔法が国にとって重要なのは事実だから仕方ないよ」


 ミルシーと話していたリーシャがこちらの会話に加わってきた。


「事実なのは確かだが、納得しづらいことも──」


 そこまで言ったところで、俺は気配を感じ取った。

 近くの森から迫ってくる気配を。


「どうしたの? クルトさん」


「魔物が来る。横の森からだ」


 俺の言葉と同時に、キルスが森に目を向けた。


「えっ! ほんと!? でもクルトさんって初級魔法系のギフトなんだよね? なんでわかるの?」


「経験と勘だ」


「うわ、ほんとに来てるなー! オークの群れだぞ! みんな! オークの群れが突撃してくるぞ!」


 キルスが何かしらのギフトで確認したらしい。

 キルスの言葉で緊張が走る。商隊を挟んで反対側にいた冒険者達も、俺達がいる森側に集まってくる。


「そういえば、こっちを探っているオークがいるって話だったね」


 昨晩の情報共有で、そのような話が出ていたのを思い出す。


「ああ、こちらの護衛の数的に襲ってくることは無いだろうって話だったわけだが……少なくともオークの知能で勝算があると思える規模の群れということだろう」


 言ってる内に地鳴りが聞こえ始める。地面が揺れる。

 オークって重いからな。そのくせ、スピードが乗ってくると結構速い。


 冒険者たちが戦闘態勢をとる。

 すでに前衛組が前へ出て、後衛組が後ろに下がり、準備は万端。

 魔法使いたちは詠唱を始めている。


 じゃ、俺もやるか。

 今回は詠唱するつもりだしな、今回は。

 どうせ、初級魔法の詠唱は短い。ほんの一言だ。


 ちょうどのタイミング。オークの先頭が森の木々の隙間から見えた。

 俺は一言、神々がこの世界に与えた言葉を唱える。


「《(ヴェン)》」


 言葉と同時に、自分と世界がガチンと噛み合うのを感じる。世界と俺が繋がった。

 そして、慣れ親しんだ感覚のまま、手を前に突き出す。


 その手をかざした空間に、小さな魔法陣が生じた。


 そのまま手を横にゆっくりと払い、動きに合わせて多数の魔法陣を展開していく。


 展開した魔法陣に、更に魔力を注ぎ込む。

 魔法陣より生じた風の塊が圧縮されていく。


 ……こんなにゆっくり魔法を展開するのは久しぶりだ。

 だが、これで十分だろう。五年前の俺はこの程度の実力だった。


 ……まぁ、その五年前の時点でオーク相手には火力は過剰気味だった。今回のこれでも十分に実力を認めてもらえるだろう。


※※※


 オークが見えた瞬間、私は相棒の大戦斧を構え走り出す。

 構え、と言っても半ば引きずるような形だ。

 私の【過重武器運用】は重すぎる武器を扱うとき、武器の重さに応じて筋力の増加と闘気による強化効率向上、そして自分自身への仮想質量の付加ができる。

 確かに重すぎる武器を扱えるようになる。だがそれは、例えば重すぎる武器を片手だけで振るうことができるようなものではない。それに、武器の質量を下げるものでもない。


 つまり、足りない力を補うことはできるだけで、重い武器を扱うための体の使い方はギフト頼りではいけないということだ。


「《(ヴェン)》」


 後ろでクルトさんの詠唱が聞こえた。

 初級魔法の詠唱はただ魔法名を唱えるだけだ。


 だが、クルトさんの魔法が飛ぶ気配はない。そのかわりに凄まじい魔力が、クルトさんが展開した魔法陣に注ぎ込まれている。


 クルトさん以外の後衛の魔法使いたちから、下級魔法や中級魔法が飛び、オークの最前列を爆ぜさせる。

 その爆風が消えた直後、オークの第二陣と私達冒険者の前衛が接触した。


 私も全身を使って、闘気で強化された相棒を振るい、オークの体を両断した。

 相棒の喜びを感じる。敵を殺すことに武器が喜ぶ感覚にも、もう慣れちゃったな。


 超重量武器である相棒の勢いに流される体をうまく操作する。

 大事なのはまず闘気による足腰の強化。続いて重心移動。最後にギフトによる仮想質量の制御。武器の重量と自分の体重、ギフトによる仮想質量……つまりは重さの扱いこそが要だ。

 勢いを殺さずそのまま利用し、次の敵に続けて攻撃を加える。

 今度も防御しようとしたオークの棍棒ごと一刀両断。うん、絶好調。


 そんなとき、オークたちの間から、敵の後衛のオークたちが魔法を準備している光が見えた。

 まずい。


 回避を──


 パァン!


 凄まじい破裂音が鳴り響いた。

 音はクルトさんの位置から。同時に、オークの後衛達の頭が弾け飛び、倒れ伏した。


「はい?」


 口から呆けた声が出てしまう。

 だが、どう動くべきか、体はわかっている。だから止まらない。

 援護の気配が消えたことに戸惑うオークの首を刎ねる。

 刎ねながら、さっきのクルトの攻撃を思い出す。


 すごい初級魔法を使ってくれるだろうと期待をしていたけれど、一瞬で敵後衛全滅なんてちょっと予想を上回りすぎている。あの一瞬でいくつの初級魔法を放ったのだろう?


※※※


 後衛の始末が終わってからは、適当に前衛の中で危うそうなところの火力支援に終始した。

 一発目ほどの威力でぶっ放すことはなく、そこそこの威力で敵の攻撃の機先を制す感じで。

 ……こうしておけば、実力も隠しやすい。まぁ、そもそも五年前は実際にこの程度しかできなかったし。


 適当に気楽に初級魔法を放つ。

 詠唱したのは戦闘開始時だけ。使っていたのはずっと《(ヴェン)》だ。


 この世界の魔法は基本的に詠唱を必要とするが、毎回詠唱が必要というわけではない。

 この世界における詠唱の意味は世界との契約の宣言だ。

 一度詠唱すると魔法を発動するのに必要な世界との契約が行われた状態になる。その契約を破棄するまでの間は、改めて詠唱をすることなく、同一の魔法を何度も使えるのだ。

 詠唱は魔法を使用可能な状態になるための手順で、最後に魔法を終了する宣言を詠唱することで平常状態に戻る。

 故に、同じ魔法しか使わないなら、詠唱は一度でいい。


 詠唱した魔法以外の魔法を使おうとすると、一度契約を破棄して、次の魔法の詠唱が必要になる。加えて、世界との契約中は魔力を消費し続けるという問題もある。しかし、それを踏まえてもなお、契約を終了せずに連続で魔法を使うのは、魔法使いなら当たり前のテクニックである。


 初級魔法の契約は維持に必要な魔力も少ないし、この状況なら《(ヴェン)》の契約維持で問題ない。


 適当に援護していると、オークたちは数を減らしていき、最後の一体はキルスの弓とミルシーの剣で倒れた。


 余裕の勝利である。

 この集団に襲いかかってくるのも納得できる大群ではあったが、所詮相手はオーク。実力は全く見せるまでもなかった。

 ……いやまぁ、俺がいなかったとしたら、本来なら犠牲者が出てもおかしくない状況ではあったけれど。後衛の魔法が飛んでこなかったからこその圧勝だし。


 俺からするとこの五年間戦ってきた魔境の魔物に比べれば遥かに格下の相手。味方のフォローも余裕だ。


「《終了(フィーニ)》」


 契約の終了宣言を詠唱する。

 魔法の契約が終わり、魔力の消費が止まった。


「クルトさんよぉ、さっきのはなんだい?」


 戦闘が終わった直後、俺同様後衛として戦っていた三級冒険者の男が声をかけてきた。


「風の初級魔法《(ヴェン)》ですが? ご存知ですよね?」


「いや、最初の一発目、ありゃ初級魔法で出せる威力でも弾速でもなかった。確かに詠唱は《(ヴェン)》だったが、詠唱無しでより上位の術を使ったんじゃないか? おそらく下級魔法の《風弾(ヴェン・ブーレ)》……いや、中級魔法の《風撃弾(ヴェン・ルプトブーレ)》だろう? それを【中級魔法詠唱不要】のギフトの力で撃ち出したんじゃないかい?」


 男がそう問いかけてきている内に、周りに人が集まってくる。他の人達も俺の魔法に興味があったらしい。

 確かに、詠唱不要系のギフトならそういった真似もできるだろう。詠唱不要系のギフトはこの世界で唯一の詠唱を省略する手段であり、同時に他の魔法の契約状態維持中に別の魔法を使う手段でもある。


 だが、残念ながら彼の考察は外れだ。


「残念、外れだ。俺が使ったのは初級魔法だよ。俺の展開している魔法陣を見た人ならわかるはずだ。……それに、もし俺が中級魔法系ギフト……いや、下級魔法系ギフトでも持っていれば、俺は冒険者にはなっていないよ。あのときの一撃は【初級魔法制御力向上】のギフトによるものだ」


「いや、だが……初級魔法の威力上限は超えていただろう?」


「初級魔法の威力上限なんていうのは、昔の貴族が碌に研究もしないまま言い出した世迷言にすぎない。……ただ、大抵の魔法使いにとって確かに威力上限に思えるような壁があるから、その世迷言が正しいと思い込まれているだけだ」


「は? いや、そんなはずは……」


「それがあるんだよ。俺が証拠だ」


 そう、さっきのは確かに常識を超える威力を出した。

 だが、本質的には普通の初級魔法だ。


「さっきのあれは」


 まだ──


「誰もが知る初級魔法だよ」

読んでくださり、ありがとうございます


以下投稿予定です。


4/17 20時投稿開始。5話同時投稿。

4/18、19は12時と20時に投稿予定。

4/20以降は1日1話、20時投稿予定。

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