新たな訪問者
-Main story- 9-2
翌日も、魔族の地へ旅立つ準備を進めていると再び客人がやってきた。
「ごめんください‼︎」
「お邪魔する。」
玄関先から聞き覚えのある声が響き、ハッとする。
慌てて玄関へ向かうと、案の定、そこには想輝様と越志さんの姿があった。
「どうされましたか?」
わざわざ皇子が側近を引き連れてやってきたのだ。
何か大切な用事で来たのだろう。
「陛下からの使いできた。なんだか忙しそうだな。」
想輝様の視線の先には、出先に持っていく物や、里にストックしておく物が散らばっていた。
「すみません。お目汚しを。お気になさらず上がってください。こちらへどうぞ。」
(あぁ…恥ずかしい。想輝様にこんな光景を見られてしまうなんて。いつもはちゃんと片付いているんです。)
と、表面上は繕いながら心の中で言い訳をし、2人を応接室へと案内した。
腰を下ろした想輝様は早速今日訪ねてきた理由を話し出す。
「この前の魔物が出た件を陛下と話しあったんだ。狂瘴草も生えていただろう。それに、魔物の動きが活発になっていることもある。魔族の地で何が起こっているのか魔王に話を聞きに行くことになったのだ。それに、君も同乗して欲しくて頼みにきたのだ。」
なんとタイムリーな話だろう。
私は2人に明後日、魔族の地へ赴く予定があると伝えた。
「そうか。向こうに連絡の行き違いあったか。きっとその使いが帰った時には、我々の訪問する旨を聞くことになっているだろうな。ならば、その仕いがくるまで、我々もここへ滞在させてもらっても良いだろか。」
「もちろんです。宮中みたいなおもてなしはできませんが。どうぞこちらへ。部屋に案内します。」
お客様用にと建てた離れへと2人を案内する。
「出発までは、ゆっくりしていてください。何かあればなんでも言ってくださいね。」
「あぁ、ありがとう。助かる。早速だが、外をぶらついても構わないか?」
外といっても、今の里には、畑や森林、社ぐらいしかない。
「まだ、何もありませんがお好きに過ごしてください。では、私は一旦失礼します。」
離れから遠ざかった所でひと息吐き、緊張をほぐす。
想輝様を前にすると緊張してしまいドキドキが止まらなかった。
やはり私は想輝様を好きになってしまったのかもしれない。
(魔族の地でも自分の役目を全うできるだろうか?)
想輝様の前で失態などおかしたくはない。
(ちゃんとしている私をみて欲しい。)
っと、思った所で致命的なミスを犯した事に気がついてしまった。
(この前のお礼言うの忘れてる‼︎)
と、早速失態をおかした自分に頭を抱えたのだった。




