密談
-Introduction- 8-4
岩壁に建つ魔王城。
夜の闇がその禍々しさを強調させていた。
そんな王城のとある一室。
一人の男と女が密談をしていた。
「ロイ様。妙子はまたも失敗したようです。」
窓から波打った海を眺めている男に女が話かけていた。
「やはりダメだったか。魔人が神の子と関わりを持つこと自体が間違っていたのかもしれんな。ちっ。シグレ。厄介なやつだな。」
ロイと呼ばれた男は舌打ちをし、組まれた腕に指先が食い込む程に怒りを露わにしていた。
再び女がロイへと問いかける。
「いかがなさいましょう。」
ロイはずっと考え続けていた。
この腑抜けた魔族をあるべき姿に戻す方法を。
その為には邪魔にしかならない導神族は潰しておきたかった。
長い間画策を続けていたが、五神が我々を牽制していて身動きが取れずにいた。
しかし、突如として目の前に訪れたチャンス。
奴ら一族がチリジリになっている今が絶好の機会だった。
足踏みしている暇などない。
「最終プランを実行に移す。」
「はっ。」
ロイの命令を受け取った女はうやうやしく頭を下げると、指令をこなす為に速やかに部屋を後にした。
1人部屋に残ったロイは己の野望を抱いていた。
(シグレ。あの娘がいなくなれば魔族は今一度発展する。それだけじゃない。後ろ盾のなくなった人間どもなど造作もなく鎮圧できる。そうすれば、この島ごと私のものになり、真の平和が訪れるのだ。)
妙子は最初から捨て駒だった。
種まで与え、良い夢を見せてやったというのに。
導神族なら少しでも使えると思っていたが、あまり役には立たなかった。
「王女の娘か…。」
ロイはそうつぶやくと、自らも準備を進める為に闇の中に姿を消したのだった。




