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懸念事項

Main story 6-8

by Souma

村に滞在するようになって日々は過ぎ、すでに1か月近くが過ぎていた。

子ども達の覚えは早く、狩りも上手になってきて、獣の処理も手際よくなってきた。

これならもう自分達なんとかすることができるだろう。

あとは、大人達が動けるようになれば、大型の獲物も仕留めることが容易になるはずだ。

やはり、子どもだけでは限界がある。

とりあえず、時雨さんへの現状報告と、毛皮などを売る為に奈々美さんと共に街まで行くことにした。


山を下りながら私は考えていた。

商売の経験がない私は、これらを売るためにどのように街で行動をすればいいかわからなかった。

だから、時雨さんを訪ね、アドバイスをもらいたかった。

でも、どのような口実で時雨さんに会うことを、奈々美さんに切り出せばいいのか悩んでいたのだ。

奈々美さんは時雨さんに対して肯定的だし、私が時雨さんの指示で村に滞在していたことを話しても何も問題ないと思っていた。

でも、私の勝手な判断で、時雨さんの考えている計画が崩れてはいけない。

では、どうすればいいか。

そんな事をグルグルと考え続けていた。


「颯真さんどうされました?さっきから、難しい顔をされていますけど?」


奈々美さんに声をかけられ、思考を止める。


「いやぁ、お恥ずかしながら、私には商売の経験がなくてですね。準備した物の交渉をどうしようかと悩んでいたんです。」


「なら、一旦、時雨さんの元を訪ねてみますか?」


奈々美さんの方から里に寄ることを提案してくれて、ホッと胸を撫で下ろす。


「そうさせてもらえるとありがたいです。私も挨拶をしなければいけませんね。導神族の長の方なのでしょう?」


私は、時雨さんの事は知らないという態度を貫くことにした。


「まだ、私達を一族として受けいれてくれるなら、私達の長様ですね。」


微笑んではいるものの、どこか不安そうな様子だ。


「大丈夫ですよ。きっと導神族の一員だと思っていますよ。」

(でなければ、私を村に送り込むことなんてしないはずだから。)


励ましたつもりだったが、なぜか、足を止めた奈々美さんはじっと私の顔を眺めてきた。


「颯真さん私、ずっと聞きたかった事があるんです。」


「ん?なんだい改まって。」


真剣な顔をしている奈々美さんをみて、なにを聞かれるのかドギマギしてしまう。


「颯真さん、時雨さんから頼まれて村にきたんじゃないですか?」


核心をつかれドキッとした。

何かボロを出していただろうか。


「普通に考えて、見ず知らずの私達にここまで親切にしてくれませんよね?」


更に問われ焦ってしまう。

なんとか誤魔化さなければいけない。


「んー、困ってる人をみると助けたくなる性分なんだよ。」


はははっと笑って誤魔化す。


「ほら、頬をかいています‼︎颯真さん、困った時に頬をかく癖があるって自覚してますか?」


「えっ、そんなことは…。」


っといいながら、私は頬をかいていた。


「あっ、本当だ。ははっ、まいったな。」


自分にそんな癖があったなんて全く意識をしていなかった。


「別に責めてるわけじゃないんです。きっと時雨さんの事だから、私達に気を使ってくれたんだと思っていますから。なんで、自分をもっといい人だってアピールしないんだろう。」


奈々美さんは、〝大人達を説得する事ができるのに。”と言っていた。


「時雨さんには、時雨さんの考えがあるんだよ、きっと。あの人は本当に思慮深い人だから。」


「あっ、やっぱり時雨さんのことは知ってたんですね。」


(しまった‼︎)


話にながされ、うっかり口が滑ってしまった


「まいったな。奈々美さんには敵わないな。」


頭を抱えた私をみて、奈々美さんはクスクスと笑っていた。


「村に来てくれたのが、颯真さんでよかったです。」


奈々美さんは笑顔でそう告げると、再び歩き出し山道を下っていった。

遅れを取らないように私も奈々美さんの後を追う。


こうして、私が村を出てからずっと考えていた懸念事項は解消され、私達の目的地は街から導神族の里へと行き先を変えたのだった。

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