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次に目を覚ましたとき、私はまだ病室にいた。
残っていた三色団子は包み直され、どうやらおばあさんは退院の支度をしているところだった。
着替えをしながら、隣のベッドの患者と何やら話をしている。
やがて支度を終えると、おばあさんはその人に向かって言った。
『自分を大切にね。あなたは一人しかいないんだから……』
おばあさんは声を掛けた人にお辞儀をして、病室を後にした。
会計を済ませ、おばあさんは自宅へと向かう。
電車に揺られ、二、三駅ほど離れた場所で降り、立派な二階建ての一軒家へ帰っていった。
門を開け、鍵を開けて玄関へ。
『ただいま』と優しく声をかけるが、家の中から応える声はない。
手洗いを済ませると、仏壇の前に座り、線香をあげて手を合わせる。
その視線の先には、おばあさんの夫であろう人物の写真が飾られていた。
おばあさんは包み紙をほどき、三色団子を仏壇の前に供えた。
そして、懐かしそうな声で語りかける。
「昨日ね、あの子がわざわざお見舞いに来てくれたのよ。
私たちが好きだったお団子を持ってね。
あの子が団子を見せてくれたとき、あなたと一緒に食べた日々を思い出して……
持って帰ってきたの。私は一足先に頂いちゃったけど、とっても美味しかったわ。
怪我が治ったら、また一緒に買いに行きましょうね」
そう言って、少し寂しそうな笑みを浮かべながら供えた三色団子を手に取り一口食べ、湯のみのお茶をゆっくりと口に含んだ。
──この光景は、何度も見てきた。
でも、どうしても慣れることはない。
さすがに“神”とはいえ、人間の命を蘇らせることはできない。
せめてもの祈りとして、私は小さなおまじないをかける。
「夢の中で、もう一度、一緒に三色団子が食べられますように」──と。
次の循環のときが、もうすぐやってくる。
それまで、少しだけ眠ろう……。




