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私は、子供が買った三色団子に意識を飛ばした。
そのとき、子供はちょうど電車を降り、改札へ向かっているところだった。
子供の顔を見ると、どこか不安そうな表情をしている。
やはり、家族が入院していることが心配なのだろう。
大雨の中、駅から歩いて病院へ向かう。
病院に到着すると、入り口の脇で合羽を脱ぎ、雨水をしっかりと払い、持ってきていたビニール袋に丁寧に畳んで、受付を済ませて病室へ向かう。
病室は四人部屋で、入口のプレートにはおばあさんと思しき名前があった。
向かいにも別の患者が二人いるようだ。
子供は病室のドアをノックし、そっとドアを開ける。
そして、左奥のベッドにおばあさんの姿を見つけると、涙をこらえきれず、駆け寄って抱きついた。
──よほど心配だったのだろう。
おばあさんは孫の頭を優しく撫でながら、「大丈夫だよ」と穏やかに声をかける。
聞けば、骨折ではなく打撲だったようで、念のための検査入院とのこと。
明日には退院できるらしい。
その話を聞いた子供はほっとしたように笑い、思い出したようにビニール袋から包み紙を取り出した。
三色団子を見せると、おばあさんは満面の笑みを浮かべ、
「ありがとう」と言って孫をぎゅっと抱きしめた。
二人は仲良く並んで三色団子を食べながら、たわいもない話に花を咲かせていた。
──このひとときが、私にとっても至福の時間だ。
人間が笑顔でいる、それだけで私は幸せを感じる。
……幸せな時間をくれたお礼に、少しだけ力を使ってみよう。
私は神力を用い、空を覆う厚い雲を払い、大雨を止めた。
そして雲の切れ間から陽の光を差し込み、空に虹をかける。
虹に気づいた孫は、目を輝かせておばあさんと一緒に窓の外を見つめていた。
──ちょっと力を使いすぎたかもしれない。
まだ二本、残っている三色団子があるから、そこで少しだけ休ませてもらおう。
次の循環まで、ほんのひと眠り……。




