3番目の婚約解消51 惨事の後で
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コーナー王女を捕縛して、アランはコーション国からサスティアル王国へと戻っていった。
コーナー王女はサスティアル広告で魔力を使った犯罪人として、そして、その罪を隠蔽したフォーガス国王、ガーラ前王太后と共に裁判にかけられるらしい。
サスティアル王国が大陸の国に干渉するのは初めての事で、大陸の諸国はざわついたが、面と向かってサスティアル王国に異議を唱える国は出てこなかった。
コーナー王女は今後、サスティアル王国の地下牢で死ぬまでの日々を過ごすことになる。フォーガス国王は、王女を管理すべきでありながら放置したとして王位を退くことになり、サスティアル王国の監視下の元に王太子であるルカがフォーガス国王として国をまとめていく。
ルカはパーティでの騒動のあと、アランから無理やりフォーガス国へ早急に帰国するよう指示を受けていた。ガーラ前王太后とサスティアル国王ともに捕縛し、サスティアル王国の裁きの結果を待って、刑に処すためだ。
しかし、ルカは早急の帰国を拒否した。ガーラ前王太后の捕縛と国王の退位は、側近であるグレイに既に指示をしているから、まだコーション国に留まる時間はあるという無茶苦茶な理由を盾にしたのだ。
しかし、後々サスティアル国王の心証が悪くなるとアランとアンジェリアに諭され、後ろ髪ひかれながらも渋々帰国の途についていた。
『アンジェには、サスティアル王族の力があると言っても、自分の身の安全を優先してほしい』
『パーティでのように、危険を省みず、他の人を助けようとしないで。自分の身を守って、約束してくれる?』
ルカはパーティ以降、何度も何度もアンジェリアに言い聞かせて、アンジェリアがルカに満足の返事をするまで、傍から離れなかった。
ーーーー確かに、コーナー王女の呪詛からルカを庇おうとしちゃったから、心配させてしまったのだけれど…
誰だって、目の前に危機が迫れば大切な人を守ろうと必死になるとアンジェリアは思った。そして、ルカの前では神妙な姿勢をしながらも、ルカを心配させない程度に約束を守ろうと考えていた。
◇◇◇◇◇
サスティアル王族のアンジェリアに対して、フォーガス国の王女が呪詛を掛けようと暴れ、立太子の披露パーティを目茶苦茶にしたせいで、アンジェリアは王城からオルソン公爵領へ、未だに戻れないままだった。
近隣諸国の王公貴族を巻き込んだコーナー王女の魔術については、サスティアル王国に任せきりにするのではなく、大陸側としても何かと調査をするらしい。コーナー王女の暴走を招いたフォーガス国には多数の国から抗議が送られていたし、警備が甘いとコーション国にも批判が高まっていた。
「あれだけシャルの力を見せつければ、少しはカイル派閥も何かと二の脚を踏むと思ったんだけれど…。サスティアル王族のルルドがレオン側の派閥にいるのに、カイル派はなかなか諦めないわね…」
アンジェリアが溜め息をつくと、側で控えていたマリアナがつかさず、お菓子を差し出した。
「とりあえず、コーナー王女が捕まったんだから、良しとしないとーー、それに、ルーファス陛下も一命を取り留めたご様子ですし」
「たまたまよ。今度、いつ仕掛けてくるか分からないわ」
マリアナが差し出したお菓子を早速食べながら、アンジェリアはもう一度溜め息をついた。
コーナー王女が捕まった日からすでに1ヶ月が過ぎた。カイル王子の立太子の披露パーティに姿を現さなかったルーファス国王は、アンジェリアの予想通り、暗殺者により、大怪我を負わされていた。
コーナー王女が捕縛されて直ぐに、アンジェリアは大急ぎで、レオンと共にルーファス国王の元に駆けつけた。そして、禁断とされる癒しの力によりルーファス国王の命をなんとか取り留めたのだ。
表立っては、ルーファス国王の奇跡の回復としているが、ベイガザード王国の情報を得ているカイル派は益々アンジェリアの力を手に入れようと躍起になるに違い。
「アンジェリア様は、くれぐれも御一人にならないようにお願いしますね」
溜め息をつきながら、考えに耽るアンジェリアに、最近対立していたアンナも心配そうに声をかけた。
カイルの立太子の披露パーティでのサティスアル王国関与のコーナー王女の捕縛劇は、ガーランド王国から遣わされたアンナ、ロイターとユーグの3人の態度を一変させた。
最近は、アンジェリアの指示に文句こそ言わないが、渋々指示に従っていたと言うのに、サスティアル王族の絶対的な力を直接目にして、考えを改めたらしい。パーティの後からは、アンジェリアの指示を待たずに意図を汲んで、アンジェリアの元にコーション国の情報を集めてくるのだ。
「ーー納得、いかない…」
そんなアンナの掌を返したかのような態度に、マリアナはほとほと呆れている。それでも、アンジェリアがなだめれば、マリアナもアンナとの開いてしまった溝を少しずつ埋めようと努力はしているのだ。
「ーーーーリア? 何だか、雰囲気、重たいね…?」
沈んだ部屋の様子に恐る恐る姿を壁からルルドが表した。ルルドはあのパーティからサスティアル王国とコーション国との往来を頻繁にしており、疲れの色が濃い。
「ルルド、何だかやるせなくて…」
アンジェリアが若いとは思えない発言をすると、ルルドも、そんなアンジェリアの憂鬱にルルドも引っ張られる。
「分かる…、分かるよ…、僕なんて、兄上と顔を合わせれば、やれ、手合わせだって…、コテンパにされるんだよ…」
父上に次いで、世界最強な兄上のレベルに到達しろ! なんて、僕にどうしろって言うのさ…ーーと、ルルドも目が死んでいる。
「「ーーはぁ……」」
ルルドとアンジェリアが顔を見合せため息をつくと、みかねたマリアナが2人の会話に入ってきた。
「もう! 御二人とも、しっかりなさいませ! ルルド殿下、この度も、何かしら、ご連絡があるのでは?」
マリアナは、どんよりとした空気を纏いつつあったアンジェリアとルルドを相互にみやった。そして、熱々の紅茶をルルドにガチャっと置いた。
「ーーあぁ、ありがとう。マリー孃。そう、怒らないでくれよ。ーーそうだ!リア、ようやく、サスティアル王国とリアとの転移術式が完成したよ。万が一、そう、何かあれば、サスティアル王国へと意識を向けて。必ず、サスティアル王国の王位の間へ転移できるから」
「「まぁ! それは!!」」
ルルドの言葉を受けて、マリアナとアンナはとても嬉しそうに声をあげる。転移術式が完成すれば、コーション国が戦火になろうとも、アンジェリアは気持ち1つで、その場から逃げることが出来るのだ。
「ーーねぇ、でも、それは、複数人は連れていけないのよね…?」
「ーーあぁ、サスティアル王国の人間でなければ、サスティアル王国内の魔力に満ちた空気に、とてもじゃないけれど、耐えられないからね…」
喜ぶマリアナとアンナには悪いが、アンジェリアが一人逃げになる転移術式は、アンジェリアにとってはあまり嬉しいものではなかった。
確かに、サスティアル王国内に充満する魔力に、大陸に住む人間は耐えられない。数時間の内に身体中の臓器が破壊されてしまうのだ。一緒に転移すれば、いのちを落としかねない。
ーーーー危険な状況で、私一人が、転移魔法で助かっても良いのかしら…?
ルルドもそんな浮かないアンジェリアの気持ちを知りつつも、言葉を続ける。
「リアの気持ちも分かるーーでも、いざとなったら逃げることを1番に考えて。リアが無事に逃げたら、マリー孃やマリアナ孃も自分の安全に専念できるんだ…。それと、間違っても、ルカのフォーガス国に向かわないようにね」
「分かってるわ。昔、フォーガス国に転移術式が手来たのって、単なる幸運なのでしょうね。この前のシャルの手紙にもあったわ。転移術式は、1度サスティアル王国で、洗礼を受けないと危険だって」
ルルドの真剣な言葉にアンジェリアも神妙に頷き返した。
サスティアル王族はある程度の年齢になると、サスティアル国教会で洗礼を受ける。そこで、サスティアル王国を拠点ーー固定にするイメージを持って、世界各地に転移術式が展開出来るのだ。
ちなみに、複数人を転移させることが出来るのは、サスティアル国王、アラン、ルルドの3人だ。その中でもルルドは、ずば抜けて転移術式に長けている。
ーーーー命の危険に晒されたとき、ルルドが傍にいてくれてたら、マリーもアンナも、皆、無事でいられるのに…
アンジェリアは自分1人では、周りの人間を助けることが難しいことに、歯痒さを感じた。
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