表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

91/96

3番目の婚約解消50 最強の護衛

いつもありがとうございます!

話はまだまだ続きます!



「ーー、リアが心配で来てしまったよ」


 まるで、近所の散歩帰りにちょっと寄ったかのような気軽さで、アランは笑った。ルルドはそのアランの微笑みが怒りを含んだものであることに、直ぐに気がついて、頬が引きつく。


「ルルドには、リアが怪我しないように、あれ程、何度も、何度も忠告したはずだ。なのに、何でリアの側にいないかな?」


「兄上! あの、それは……」


 アランのお説教にルルドは言い訳が思い浮かばなく、頭を下げた。

 そして、何もない空間から突如現れたアラン=シャルレインに、ホールは再び騒然となった。アランに会った事がない人間が多く、敵か見方か判断しかねていたのだ。

 アンジェリアとルカの後ろでは、空中に佇むコーナー王女が己の渾身の攻撃を消されて、しばらくは唖然としていたが、ホールのざわめきにはっと意識を取り戻す。


【私を、無視、するなーーーー!!】


『ゴーーーーン!!』


 再度、コーナー王女からの攻撃が始まった。今度も、真っ黒な塊がアンジェリア達に襲いかかってくる。ルカはすぐにアンジェリアを胸に抱え込んで、爆風から守った。ルルドは、アランの視線を感じ、かなり焦りながらも、攻撃を粉砕すべく両手を前に構えた。


「ルルドは、サスティアルに戻ったら、防御をもっと特訓しなくてはいけないな」


 ルルドの構えにアランは不満を覚えたようで、少しだけ小言を言うと、先程と同じようにふわっと片手を振り上げた。


「コーナー、だっけ? 君も防御は、得意かな? ーー反転!!」


 アランは微笑みながら一言、声をあげた。すると、コーナー王女から放出された黒い塊がアンジェリア達の少し手前でピタッと止まる。そして、ぐーーう、と鳴ったかと思うと、今度はコーナー王女に向かって襲いかかった。


【んなっ!! やめろーー!! 止めてくれーー!!!】


「人には攻撃するのに? 自分がされたら嫌なわけ? それって我が儘じゃない?」


『ゴゴゴーーバーーン!!!』


「「「うわぁーー!! た、助けてくれーー!!」」」

「「「か、神様、どうかお助けを!!」」」


 子供にでも叱るようにアランが言葉を告げるのと同時に、コーナー王女に黒い塊が襲いかかった。

 ホールは再び地震のように床が揺れて、アンジェリアとルカは立っていられなくなり、その場に膝をつく。

 柱の影に隠れていた第1王子カイル達の取り巻き達も、ホールに残された王公貴族からも、再び絶叫が響き渡った。


「ーーさすがに、神にはなれないが、防御くらいならできるよ?」


 激しい揺れが続く中、そんな間延びした台詞がアンジェリアに届いた。ルカの腕越しに声のする方を見ると、やや飽きれ顔したシャーナ公爵が、防御膜を張って、崩れ行く建物から人々を守っている。


「それも、いなくなれば、リアをサスティアルに連れていけるのにな……」


 防御膜の中で、わなわな震えるカイル王子や取り巻き達を見て、アランがボソッと呟いた。

 確かに、第1王子カイルとその取り巻きが今回の爆風でいなくなれば、コーション国内の内乱も呆気なく終焉をみるだろう。


「それは…、兄上が、了承していないのだろう? サスティアル王国は、他国の内政に口を出さないと決めておられるーーさあ、アラン、コーナーの様子を見に行こう」


 シャーナ公爵はアランの肩を軽く叩いて励ました。そして、床の揺れが収まって、煙に覆われた場所を指差した。おそらく、煙の中心には、コーナー王女がいるはずだ。


「ねぇ、危険は、もう、ないの?」

「あはは、アンジェは、アラン兄上を心配しているの? もう大丈夫さ」


 床のない空中を難なく歩いて煙の中心を確認しに行くアランとシャーナ公爵が心配になり、アンジェリアはルルドに尋ねた。すると、もうコーナー王女の攻撃は大丈夫だと、笑われた。ルカも、心配そうなアンジェリアの顔を見て、頭をポンポンと撫でた。


 アランは、そんな2人に手を差し出すと2人をゆっくりと立たせてくれる。


「アラン兄上は、サスティアル国王である父上の次に力が強いんだよ? コーナー王女が100人並んだって、敵わないさ」


 いまだに、心配そうな顔で煙を注視するアンジェリアにルルドは笑いながら言葉を続ける。

 すでにアランとシャーナ公爵は、煙の中に入り、何やら呪文のような言葉を唱えているのが聞こえてきた。


「コーナーの魔力を、無事に封印出来れば良いんだが」


 静まり返ったホールに、ルカの言葉が響き渡る。先程まで騒いでいた、他の人達も固唾を飲んで、アランとシャーナ公爵の無事を祈っていた。


「ルカは、それよりも、心配することがあるんじゃない?」


「ーー?」


 アランの声で封印の呪文が唱えられる中、ルルドはいたずらっぽい笑顔でルカに話しかけた。話を振られたルカは何の事か分からなく、戸惑った顔を見せる。


「しらばっくれて! コーナー王女の愛称を呼んだことを、忘れたの? アラン兄上、ねちっこいよ? きっと、怒られると思う」


 ルルドの言葉にギクリとルカは肩を震わせた。そして、ゆっくりと、腕に抱いたままのアンジェリアの顔を伺った。


 ーーーーなんだか、浮気がバレた人みたい


 周りは緊張してコーナー王女の様子を見守っているのに、ルルドとルカはとんでもない話をしているのだ。さっきのダンスの時までは、ルカが天使のように神々しく見えていたのに、今目の前にいるルカは浮気がバレた男のようだ。

 アンジェリアは呆れて溜め息を吐いたが、返ってその溜め息がルカを不安にさせた。


「ち、違うんだ。突然で、驚いて、昔からの愛称が思わずーー」


「おーーい!! コーナーの魔力を封印したよ!!」


 ルカは慌てて潔白を説明しようとするが、ちょうどその時、アランからの報告が煙の中から聞こえてきた。その煙も、少しずつではあるが、薄くなり、アランとシャーナ公爵のシルエットが見えるまでになってきた。2人の足元には横たわるシルエットも見えてきた。

 横たわるシルエットとはピクリとも動かず、アンジェリアは不安になる。


「「助かったーー!」」

「「サスティアル王国、万歳ーー!!」」


 反対に動かないコーナー王女を見たホールの他の面々からは歓喜の声が上がった。どうやら、ホールに残された人達は、ルルドに気軽に話しかけるアランをサスティアル王族と理解したらしい。もう、これ以上の危険がないことに人々はひどく安堵していた。

 ただ、床にぽっかり穴が空いており、崩れる恐れもあるので、誰一人動く事が出来ないままだ。


「とりあえず、床を直そうか?」


 戸惑う人々に気がつき、ルルドは両手を前に構えた。今度こそはルルドの魔力を使おうとするのを、コーナー王女の側にいるアランが邪魔をする。


「ルルドは、集中力も足りないね」


 アランが片手をふわっと上げると、床に大きく空いていた穴がなくなった。そればかりか、床の装飾も、軽食が乗ったテーブルも、天井も柱も元通りである。


「ち、ちょっと、アラン兄上! 僕にも見せ場をくれよ!」


 先を越されたルルドは、皆が魔法に唖然として、再び静まり返る中、ふざけていじけた振りをした。

 文句を言われたアランは、笑いながら、意識がないコーナー王女を空中で縛り付け、浮かせた。


「ルルドは1つ1つが遅いんだよ? だから、リアにも見向きもされない」


 空中に浮かばせたコーナー王女をくるくると回しながら、アランはルルドに忠告を与えた。

 その言葉にルカは顔が強ばり、ルルドの顔をじっと睨み付ける。


「アラン兄上は、全く余計なことを言う!! ーーとりあえず、コーナー王女の魔力を封印したんだよね? これから予定通りにする?」


 ルルドはルカの視線に怯えながらも、コーナー王女の処遇について、アランに尋ねた。

 アンジェリアはくるくると空中を回るコーナー王女が目を覚まさないか不安で堪らない。


「大丈夫だよ、リア。心配しないで。当分、この女、起きないからーーそうだなぁ、この女は、予定通りに、サスティアル王国の地下石牢に入れておく。後の運びは、ルルドとルカに任せて良いんだよな?」


 心配顔でアランを見ていたアンジェリアにアランは柔らかく微笑むと、今後のスケジュールを簡単に確認した。


「まぁ、それが1番だろうね。私もレイモンドも、この場を収拾次第、サスティアルに戻るつもりだ」


 シャーナ公爵もアランの言葉に頷いた。そして、ホールの外に避難している人々を保護しているはずのレイモンドの様子を見に、この場を離れていった。

読んで頂きありがとうございました!

投稿の励みになる評価&ブックマークもお願いしますm(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ