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3番目の婚約解消【閑話】 思い通りにならない幼馴染み

いつもありがとうございます!

話はまだまだ続きます!



フォーガス国の王太子となったルカにとって、コーション国の祝賀会への参加は初めての外遊であった。


フォーガス国に今回の招待状が届いた時、差出人はコーション国のカイル第1王子と記されていた。コーション国の使者が、フォーガス国の王太子に指名されたルカに招待状を持ってきたのだ。


自身の立太子の儀の祝賀パーティーに大陸の王公貴族を招待するのは珍しい話ではない。まして、コーション国のような小さな国はこの機会に大国と顔を繋いでおくに越したことはない。


『…我主ーーカイル殿下は、…もし、あの…、ご都合が悪ければ、他の機会に、でも、良いと…』


ーーーーこの使者は何を言っているんだ…?


コーション国の使者が言うには、端的にまとめると、ルカにコーション国のパーティーに来てほしくないということだ。


ーーーーアンジェと、俺を会わせたくない、ということか


暑くもない面会の席で、だらだらと汗を垂らすコーション国の使者を少し哀れに思いながら、ルカは人知れず溜め息をついた。


ーーーーそれにしても、欠席を促すなんて、あからさま過ぎないか? フォーガス国の宝珠については、ベイガザード王国関係者は知らないはず…


ベイガザード王国に近いコーション国の第1王子としては、アンジェリアとフォーガス国が接近して、弟王子のレオンの勢力が増すのを避けたいという思案が見え見えだ。


ーーーーフォーガス国に招待状を寄越したのは、他国の目を気にしてなのか、


ベイガザード王国やガーライド王国に並ぶ程の、フォーガス国の要人をカイル王子の立太式の儀に招かないのは角が立つと、コーション国は考えたのだろう。


ルカは目の前の使者と面談する直前に受け取った密書に思いを馳せた。


『ーー、貴殿には必ず、我コーション国の立太子に指名されたカイル殿下の祝賀パーティーに、()()()()()()()()()お越し頂きたいーー』


先に届いた密書は、コーション国の第2王子レオンからではなく、アンジェリアとサスティアル王国を繋ぐ、自称、()()()サスティエル王国第2王子ルルド=シューベルトからだった。その手紙によれば、祝賀パーティーには、サスティアル王国から、シャーナ公爵や、王弟レイモンド閣下、ルルドが出席するらしい。そして、それはサスティエル国王の意向に沿うものであること、さらには、フォーガス国の王太子のルカに、この機会に是非ともサスティアルの王族と面会したいという趣旨の内容だった。


ーーーーサスティアル国王の意向ならば、それは大陸の王公貴族にとっては命令に近い…


ルカにとっては拒否権はなく、なんが何でもコーナー王女を連れてコーション国を訪問しなくてはならないのだ。


ーーーーサスティアル国王が、コーナーをコーションに連れてくるよう指示を出したのなら、コーナー王女の処遇は決まったのだろう…


魔法国家のサスティアル王国は、どんなことがあろうとも大陸のいざこざに口を挟むことはなかった。それが、サスティアル王国のサーシャ王女がガーランド王国に嫁いだことをきっかけに変わってきた。

今まで、王国以外に関心のなかったサスティアル国王が、港を定期的に開き、貿易を始めたかと思えば、フォーガス国と共に医療の研究に乗り出したのだ。

アンジェリアという、サスティアル国王の姪が誕生してからは、さらにガーランド王国への大使の派遣を頻繁に繰り返していた。


ーーーーサスティアル国王は、身内に甘いと、聞いたことはあったが…


今度のコーション国訪問で、コーナー王女が何かをやらかせば、絶対無罪放免では済まされないだろう。もしくは、この機会にコーナー王女を捕縛してくれるのかと、そんな希望がルカの頭をよぎった。


ーーーーまずは、伯父上にコーナー王女の外遊の許可を得なくては、な。


フォーガス国王はコーナー王女の数々の罪を見逃してきた主犯格である。おいそれと、コーション国へのコーナー王女の外遊を許可してくれないだろう。


ーーーーサスティアル国王が、コーナー王女の捕縛に動いたと、正直に申し上げるべきか…または、アラン殿下の伝言の通りに、宝珠を迎えに行くと伝えるべきか…


実は、ルルドの他にも、こっそりルカに連絡をアランは入れていた。何でも、サスティアル王国のシャーナ公爵が、アンジェリアをルカが拐いに行くような設定をご所望しているらしい。


ーーーーアンジェの伯母上は変わった御方なのだな…


自分で遊ばれている気がしなくもないルカは、その指示に素直に従いたくはなかったが、アンジェリアに対する思いは、正に今すぐ迎えに行きたいーー、で違わない。


ーーーー結局は、サスティアル王族の言いなりだな…


とは言っても、1年ぶりにアンジェリアに会えるのだ。少しくらい、サスティアル王族に加担しても良いような気もしてくる。

それに、この1年で、アンジェリアは新たに婚約をコーション国の第2王子レオンと結んだとアランから知らされていた。婚約に至る経緯も、ガーランド王国や、コーション国の立場から見れば、理解は出来る。ただ、自身の宝珠が形式だけでも、自分以外の誰かと婚約を結ぶなど、ルカにとって到底許せるものではなかった。


ーーーー本当に、アンジェを自分の元に取り戻す事が出来たなら…


ルカも、コーナー王女の数々の罪はアランから説明を受けて把握している。そして、コーナー王女の罪が暴かれることで、フォーガス国が建国以来の混乱に陥るのも覚悟していた。


ーーーーアンジェを迎え入れる時期ではない…、理解は出来ていても、辛いものだな…


いっそう、アンジェリアを連れて何処か誰も追いかけてこない遠くにに逃げてしまおうかーーと、考えるほど、ルカはアンジェリアの事を想っていた。


ーーーーサスティアルの力がなければ、逃げることも可能なのだが…


ルカがアンジェリアと逃避行しても、直ぐにアラン当たりが見つけに来るだろう。見つかれば、アンジェリアと2度と会うことを禁止され、最悪、サスティアル王国に連れ去られるかもしれない。


ーーーー悔しいが、サスティアルの意のままに動くしかないのか…


どんよりとした空を執務室から眺めながら、溜め息をつくと、傍にいたルカの側近のグレイが、そっとお茶を置いてくれた。


「それにしても、コーション国の内情はひどいものです。くれぐれも、お怪我などされぬよう」


「あぁ、分かっている」


「ーーーー殿下が外遊から戻るころ、この国は残っているのでしょうかーーーー」


グレイがポツリと一言呟くと同時にルカの執務室の窓にも雨がポタリと当たった。


「ーーーーどうにかして、耐えるしかないだろうな。この国に戻るまで、何とか頼むよ」


「仰せのままに」


コーナー王女とガーラ前王太后の罪は、前国王の王妹から聞いていた。

とんでもない内容にルかは酷く動揺したが、直ぐにアランからの連絡があり、計画を知らされたのだ。


ーーーーコーナーが、何を仕掛けるか分からない。何としてでも、アンジェを守らなくては…


窓の外では、ルカの心を写し出したかのように、雨がどんどん強くなり風が吹き荒れていた。

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