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3番目の婚約解消49 危険ばかりの初ダンス

いつもありがとうございます!

更新がとまってしまい、すいません。

話はまだまだ続きます!



 ガーライド王国から離れる時、アンジェリアはデビュタントを迎えていなかった。そして、そのままコーション国のルーファスの元へ婚約者としてやって来た。

 当時の王太子ルーファスと婚約するに当たり、簡単なパーティーを開いて貰った記憶がアンジェリアにある。そこで、アンジェリアは簡素な仮のデビュタントを迎えた。しかし、その後も年齢が夜会出席には満たない等、アンジェリアがパーティーに参加する事は滅多になかった。

 先日、第二王子レオンとの婚約が決まった時に、ようやくアンジェリアもデビュタントを迎えていたという感じだ。

 そのため、ダンスの練習以外でルカと踊るのは、今回が初めてだった。


 ーーーーまさか、嫁ぐ目的でやって来たコーション国で、元婚約者のルカと踊ることになるなんて…


 コーション国の貴族達は、ルカがアンジェリアの元婚約者とは知らない人間ばかりだ。

 元婚約者同士が踊っていると言うことは、コーション国の王族など、極一部の人間しか知らないだろう。なのに、ルーファスやレオンとのダンスよりも、周りからの視線を痛いくらいにアンジェリアは感じていた。


 ーーーーやっぱり、この天使降臨みたいな、ルカの容姿じゃ、かなり目立つわよね…


 アンジェリアはダンスホールの視線を一身に受けている気がしてならない。

 皮肉なことにお陰で、コーナー王女からの悪意に満ちた憎悪の視線を良い意味で、気にしなくて済んでいた。


「アンジェ? 何を考えているの?」


「ーー目の前の天使様が眩しすぎて、ホールの皆が見てくるわーーと考えているのよ」


 どこか気がそぞろのアンジェリアに、ルカが笑顔で囁けば、ホールの至る所からその笑みを目にした婦人達から溜め息が聞こえた。


 ーーーーきっと、ルカが誰と踊ってるかなんて気にしてないわよ


 しばらくぶりに会ったルカは、その場にいる人間全員を魅了する魔力があるかのように輝いているのだ。横に並ぶと、アンジェリアの存在がちっぽけな気がして落ち着かない。


「ーー僕は、アンジェの事しか目に入らないけれど? こうして、コーション国の式典で、アンジェとダンスを踊る日が来るなんてーーーー夢みたいだよ? アンジェは違う?」


「私だって、ルカと踊る日が来るとは思わなかったわーー、って、ルカ、近くない?」


 ダンスに合わせて体を近づけるのはアンジェリアにも分かるが、どうにもルカの腕の力に負けて、アンジェリアの体がルカに密着している気がしてならない。


「そう? 僕は気にならないよ? ーーアンジェはとても良い匂いがする」


「ちょっ! なに!?」


 ーーーー匂いって何よ?! ーーっ!


 ルカがダンスを踊りながら、さらにアンジェリアにくっつき、アンジェリアの首筋に顔を近づけると、周りからは小さな悲鳴が上がった。

 アンジェリアは真っ赤な顔になり、ルカに抗議をするべく、声を上げようとするが、キラキラなルカの微笑みに言葉が出てこない。

 すると今度はルカは、妖艶に笑うとアンジェリアの髪にふわりと口づけた。周りからは一層の悲鳴に近いざわめきが走る。


「ーーっ!! コ、コーナー王女に、当て付けるとしても、そこまでしなくても……」


「コーナー…? 彼女の事なんか、頭になかったよ? 僕の頭の中にはアンジェだけだーーっ!!」


 ルカはそう言うと、ダンスの曲には合わないターンを不意に入れた。周りから見ても不自然に見えるぼど急に、アンジェリアとルカの立ち位置が入れ替わる。


「ーー!? ルカ??」


 完璧に何もかもこなす幼馴染みの、ダンスの基本的なミスの動きに、アンジェリアは目を丸くする。そして、次の瞬間、ルカの肩越しにコーナー王女の手元から、真っ黒な何かが放たれたのが見えた。


 ーーーー危ない!!


「ルカ! 避けて!!」


 アンジェリアは渾身の力を持って、ルカを自分と得体の知れない物から引きはなそうと、ルカを押すがびくともしない。

 反対に、あろうことか助けたいルカによって、アンジェリアは強く抱き込まれてしまった。


『ギーーーーーン!!』


「「「ぎゃーー!!」」」

「「「た、助けてーー!!!」」」


 アンジェリアの頭上で、金属がぶつかったような激しい音が鳴った。それまで、ホールで演奏されていた優雅な音楽は一瞬で鳴り止み、大音量の人々の悲鳴が響き渡る。

 アンジェリアは、何が起きてるのか、確かめようとルカの腕から這い出ようとするが、ルカの力が強く視界が遮られたままだ。


「ーールカ、ルカは、大丈夫、なの?」


「ーー大丈夫、だから、お願いだから、じっとしていて!!」


 アンジェリアがルカの腕から這い出ようとすればするほど、ルカに強く抱き込まれる。そのルカの力にアンジェリアはなす術がない。


『バリーーーーン!!』


 今度は硝子が砕け散るような音が鳴り響き、ルカに抱き込まれたアンジェリアにとっては、唯一の視界の先の床が暗くなる。


 ーーーーダンスホールの照明が壊されたんだわ!!


【くそぉーーーー!!!】


 同時に人間の声とは思えない、低くドスの聞いた怒号がダンスホールに響いた。直接、頭の中に響くような恐ろしい声だ。


「「「出口に逃げろーー」」」

「「「あっ…、悪魔だ!! た、助けてーー」」」

「「「魔物だー!!!! 衛兵ーー!!」」」


 ダンスホールの混乱は最高潮となり、周辺諸国の王公貴族を守ろうとする騎士達の鎧の金属音がどんどん増えてくる。

 逃げ惑う人達の悲鳴が、出口を探してさ迷う。暗いダンスホールは地獄絵図のような様だった。


 ーーーー伯母様や、姉上兄上、ルルドや伯父上は大丈夫なの?!


 ルカ胸に抱き込まれながらも、耳を頼りにサスティアル王国の面々とコーディル公爵家の兄姉の安否を探る。そんなアンジェリアを嘲笑うかのように悪魔のような怒号が再び鳴り響いた。


【赦さない、赦さない、赦さない……! 殺してやる!!】


『ゴゴゴゴゴ………!!』


 コーナー王女によると思われる呪いの言葉が、ホールに木霊した。突然、地鳴りが鳴り響いたかと思うと、立っているのもやっとなくらいに床が激しく波打った。


「も、もう終わりだーー!!」

「お願い!! た、助けてー、」


 周りからは、地面が揺れたことで逃げ遅れた大勢の人間の悲鳴が聞こえる。


「ル、ルカ! 大変、地震だわ!!」


 アンジェリアがルカの腕を引っ張れば、ようやくルカの腕が少しだけ緩んだ。その隙に、アンジェリアは周囲の状況を確めるべく、ルカの胸から頭を出した。


「な、なに…、これ……!」


 アンジェリアの目の前に広がっていたのは、ダンスフロアに開いた大きな穴。そこからは、何やらコゴゴゴ…と地面が蠢くような音が続いている。


 かろうじて残った建物の柱には、腰を抜かした第1王子のカイルやその取り巻きが、ガタガタ震えている。その視線の先には、大きな穴の中央にぽっかり浮かんだコーナー王女が悪魔のように佇んでいた。


「コーティー…」


 崩れ落ちた天井と突然空いた穴に、流石のルカも土肝を抜かれたらしい。人間とは程遠い容姿に変わり果てたコーナー王女の愛称をルカは呼んでしまった。


【ルカは、私のもの、私のもの!! 私の所においで!!!】


 コーナー王女はそう叫ぶと、真っ赤なオーラの珠をルカとアンジェリアに向かって打ち放った。


「ーーっ!」

「きゃぁ!!」


 避けなくてはさすがに不味いと思ったが、人間とは思えないその力にアンジェリアとルカは身動きがとれなかった。そんな、2人の前にふわっと、場違いな柔らかい風が振り掛かり、間延びした声が届く。


「ーーあのねぇ。ルカくん? 我が従妹を胸に抱きながら、他の女性の愛称を呼ぶなんて、最低だからね? 後で、じっくりと話し合おう、覚えていなよ…?」


 緊迫したその場に全く相応しくない声でそう言うと、その人物はコーナー王女の放ったオーラの珠を、いとも簡単に手をかざしてふわっと消し去った。


「アラン=シャルレイン……」

「僕の事、呼び捨てにしても良いと?」


 ルカは頻繁にフォーガス王国に訪れるアランとは気の置けない仲である。そのため、驚いて思わずルカが口にしたアランの名前に、アランはふざけて口元にシーっと指をあてた。


「なっ! 兄上!!」


 突然、現サスティアル王国の王位継承1位の登場に、ルルドも慌ててアンジェリアの側に駆け寄った。


「レイモンド叔父上とシャーナ公爵は、非難した人間の安全確保か? ルルドだけ、実動部隊って聞いてね。リアが心配で来てしまったよ」


 目の前に悪魔の形相でこちらを睨むコーナー王女を見向きもせず、アランは微笑みながらアンジェリアに手を伸ばした。

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