3番目の婚約解消 40 セライアの願い
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アンジェリアがセライアの部屋に着くと、姉の部屋でも明後日に控えたカイル立太子の儀の衣装合わせの真っ只中だった。
かなり疲れた表情のセライアはアンジェリアの顔を見ると満面の笑みで、部屋に迎え入れた。セライアもパーティーの準備にうんざりしていて、丁度休憩が欲しかったのだ。
「アンジェは衣装合わせとか、打ち合わせとか、終わったの?」
「終わったと思う? 少し息抜きで、姉様の部屋にお邪魔しちゃった」
アンジェリアの答えにセライアも息抜きは必要だと深く頷き同意した。セライアの侍女達も、しょうがないと諦めモードに入っている。使者としての役割もあと少しで終わってしまうと、直ぐに帰国することもあり、姉妹で過ごす時間を優先してくれていた。
「ーーアンジェは、コーション国の内紛が落ち着いたら、その後はどうするのか決めているの……?」
侍女達がドレスや宝飾品を確認しているのを眺めながら、セライアが静かに話し始めた。
「そう、ね。レオンの思うままに内紛が収まり、処理とか色々終わったら、コーション国から出たいとは考えているわ」
アンジェリアの答えに、セライアはピクリと眉を上げたが、アンジェリアの言葉を遮ることはなく、聞き手に回ることに徹していた。
「ーーレオンの側には、エステリア国のアマリア様がいらっしゃるわーーそれに、1番は…、私自身がレオンと結婚して、コーション国で暮らす決意が全然出来ないの……。本当は、このまま人質として、コーション国に残る事を求められているのかも、知れないけれど……」
「ーーアンジェは、コーション国から出て、どこに行きたいか、希望はあるの?」
ーーーー行きたい所……、ガーランド王国に帰りたい……
アンジェリアはガーランド王国にいる両親や友人、今回会えなかった姉弟に強く会いたいと思った。けれど、ガーランド王国に帰っても、婚約が何度もなくなってしまった貴族令嬢を社交界は受け入れてくれないだろう。
もしかしたら、アンジェリアと交流のあった人達に迷惑が掛かってしまうのではないかと、アンジェリアはとても心配していた。
「ーーまだ、行き先は、思い付かないわ……」
自分を受け入れてくれそうな国を、真剣に考えなくてはならないと、アンジェリアは頭が痛くなった。
「なら、ガーランド王国に戻って来れば? 変な遠慮はしないで。アンジェの家族は、コーディル公爵家よ。家族皆、アンジェの帰国を心待ちにしているんだから! それに、伯父様の治めるサスティアル王国だってアンジェなら、喜んで歓迎してくれるはずよ。だから、黙って遠くに行く決断だけは、決してしないで頂戴ね」
いつにないセライアの真剣な態度と優しさに、アンジェリアは目頭が熱くなった。
「ーーありがとう、姉様。もしかしたら、帰国させて貰うかも、しれないわ」
「もしかしなくても、帰って来なさいよ」
セライアの返しにアンジェリアは堪えていた涙が溢れてしまった。側に控えていたセライアの侍女達も、鼻をすすりながら頷いてくれている。
ーーーー落ち着いたら、短い間なら、ガーランド王国に帰るのも、許されるのかしら……
セライアの想いはとても嬉しいが、ガーランド王国の方針と異なれば、個人の意向は無視されるであろう。特に、1度人質に出た貴族令嬢には、世間の目も出戻りとして厳しいものになるはずだ。
「ーー落ち着いたら、父様に手紙を出して、指示を仰ぐわね」
「もう! 父様の意向はどうでも良いの! 母様はアンジェの無事の帰国を心の底から祈っているわ! 私だって、また、家族全員揃って、何の心配もなく穏やかに過ごしたいもの!」
「ふっ! 姉様、それではいつまで経っても、姉様はセシル様の元へ嫁げやしないわ」
「それでも良いもの! 私、アンジェを待つわ!!」
アンジェリアのからかいも、セライアは真っ二つに切り捨て、アンジェリアを抱き締めた。
「アンジェ、お願い、帰ってきてよ…待ってるから」
セライアはそう言うと、アンジェリアに顔を背けて肩を震わせて本格的に泣き出した。パーティーが近日にあるのに泣いていては、顔が腫れて当日のメイクに差し障るが、誰もセライアを叱りつけることはなかった。
アンジェリアもセライアの涙に、益々涙が止まらなくなってしまい、ギルバードがセライアの部屋に様子を見に来るまで、姉妹で泣いて過ごすことになった。
「本当に、侍女達が慌てて、お嬢様方が泣き止まず、大変なんですー! っなんて、呼びに来るから何事かと思えば!」
「「ごめん(なさい)」」
泣き止まないセライアとアンジェリアを止めるため、侍女達が兄であるギルバードを呼びつけた。妹達2人に、何か事件が起きたのかと慌てたギルバードが来てみれば、目を腫らした姉妹が、ギルバードの登場に決まり悪く目を泳がせた。
「ーーはぁ…、コーション国はこれからが大変な時だ。あまり騒ぎを起こしてくれるなよーーまぁ、侍女達から、話は聞いた。コーション国の問題が片付いたら、アンジェは好きなように、自由に生きなさい。私から、父上にアンジェの希望が通るよう口添えもする。それまで、我慢してくれ」
ギルバードも涙で目が赤い姉妹を見て、胸が痛くなったのだろう。説教モードから慰めに切り替わり、まるで幼い子供に言い聞かせるよう2人に優しく接した。
「じゃぁ、ギル兄上はアンジェがガーランド王国に戻りたいと言ったら、迎え入れるってことよね?」
「もちろんだ。父上も母上もアンジェと共にまた過ごせるなら、喜んで歓迎してくれるはずだよ? 私もアンジェがガーランド王国に帰って来るのを期待している」
セライアの言葉にギルバードは即答し、アンジェリアの頭をポンポンと優しく叩いた。
「さぁ、もうアンジェは部屋にお戻り。きっと、マリアナ達が、アンジェの帰りを首を長くして待っているはずだよ? 明後日は立太子の儀がある。抜かりないよう、準備して挑もう」
「ーーありがとう、ございます。ギルバードお兄様、セライアお姉様」
アンジェリアは思いっきり泣いたせいか、軽い頭痛を感じたが、何故か気分は晴れやかだった。
ーーーーガーランド王国に帰っても、良いのかもしれない
ギルバードやセライアの言葉が、未来が見えず暗い気持ちだったアンジェリアの心を少しだけ軽くしていた。
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