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3番目の婚約解消 35 ルーファスとの再会

うっかりミスで、昨日更新がとんでしまいました(^_^;)

 アンジェリアの私用の温室として贈られた温室は、6年前と同じように宮殿の端にひっそりと佇んでいた。

 温室の中は、アンジェリアが王都を離れた時と変わらず、アンジェリアの好きな植物がきちんと手入れをされていた。アンジェリアからルーファスへ管理が移った後にも、変わらずに庭師が欠く事なく手入れをしていたようだった。


 温室にはルーファスはまだ到着しておらず、側近の話では少しだけ定例会議が長引いているらしい。アンジェリアはマリアナを伴い、花を眺めながら噴水奥までやって来ると、側妃の猫が死んでいた場所を探した。


「ーールーファス様が、木を植えられたのかしら?」


 噴水奥の猫が横たわっていた場所には、今は綺麗な花を咲かせた低い木が植えられていた。背の低い鮮やかな色の花も植えており、明るい雰囲気が漂う。


「素敵な花ね。猫が死んでいたなんて思わないくらい」


 マリアナの言葉にアンジェリアは頷くと、温室の入り口のドアが開く音が聞こえていた。

 どうやら、ルーファスが温室にやって来たらしい。アンジェリアはマリアナの用意したテーブルまで戻ると、調度ルーファスも席に到着した所だった。


「待たせてしまったね? 急に会議が長引いてしまったんだ。申し訳ないーーアンジェ、大きくなったね。王都を離れて5…6年近くになるのかな? 素敵なレディになって、今日ほど時が経つのが早いと感じたことはないよ……」


「ルーファス様も、お元気そうで何よりでございます。あまりよろしくない噂を耳にすることが多く、差し出がましいとは存じますが、御身を案じておりましたーー」


「ふふ、堅苦しい挨拶は要らないよ? 僕らは、義理の親子になる予定なのだからね? まぁ、アンジェがレオンを気に入ってくれていればの話になるけれど。今回は、レオンとの婚約を正式に結んでくれてありがとう」


「私がコーション国のために出来ることは数少ないですから……、レオンやルーファス様のお力になれたのなら幸いです」


 ルーファスはアンジェリアのしっかりとした挨拶を受け、自身の娘を見守るような優しい表情をした。ルーファスも6年以上の時が経ち、少し歳を重ねたせいか髪にも白いものが増えてきて、顔の皺も目立つ。表情は優しさに溢れているが、日々の疲れが残り、ひどく窶れた印象を受けた。


「アンジェは、本当にしっかりしたレディになったんだね。レオンにはもったいないくらいだよ? ーー今日はね、アンジェに一言レオンとの婚約のお礼とーー謝罪を伝えたくて、この席を設けて貰ったんだ」


「ーー謝罪で、ございますか?」


 アンジェリアは、思いもよらない謝罪と言う言葉に少々面食らった。何かを良くないことが起きてしまったのだろうかと不安が胸をかすめる。


「アンジェがコーション国に来てから、心落ち着いた日々を送れていないだろう? アンジェはまだ、10代半ばだと言うのに……。こちらの都合で、婚約者まで2回も代えてしまった」


 ーーーー2回……、ルカとの婚約者解消も数に入れているの?


「ベイガザード王国の驚異を前にして、皆様出来ることをなさっております。私の事は些細な事でありましょう……」


 ルーファスの言葉にアンジェリアは出来る限りの思いやりを持って答えたつもりだったが、ルーファスは寂しそうに微笑んだだけだった。


「ーーカイルの立太子の儀が過ぎれば、ベイガザード王国はコーション国の王座を狙ってくる。私も出来る限りの対策を講じるつもりだが……。まさか、息子に命を狙われることになるとは、な。ーーそれに、レオンまで巻き込んで、息子同士の争いにまで行き着いてしまった。アンジェにも苦労をまたかけてしまうね」


「ーーその事なのですが、ルーファス様もご存知の通り、私には癒しの力がございます。もしも、ルーファス様がカイル様から命が狙われているのであれば、私を側に置いてくださいませ。きっとお役に立ちます」


 前コーション国王のターチルが毒殺された時、アンジェリアは暗殺計画について知らされていなく、助けることができなかった。しかし、今回はカイル派がルーファスを狙っていると知っている。アンジェリアがルーファスの側にいれば、たとえルーファスが致命傷を与えられたとしても、助けることができる。成長したアンジェリアならば魔力量も増えており、暗殺の傷を癒すことが出来る自信があった。


「ーーそれは、容認できないな……」


「ーーなぜ、です?」


 けれども、ルーファスの答えは、前コーション国王と同じくアンジェリアの癒しの力を拒むものだった。ルーファスが提案を拒否するということは、暗殺の危険を知りながら、時に身を任せた前ターチル国王と重なる。アンジェリアは、目の前のルーファスが自ら死に向かうのではないかと、恐怖を覚えた。


「私はね、カイルの立太子を避けられなかった時点で、命はないのだよ……。どんなに、回避して、逃げ回っても、悪戯に時を稼ぐだけだ。そしてそうしている内に、ベイガザード王国はコーション国中にのさぼっていく。国民を苦しめないためにも、無能な国王は消えなくてはならないーー」


「!! そんな! 悲しいことを言わないでくださいませ!!」


 アンジェリアは堪らず泣き出してしまい、そして、ルーファスの言葉を遮ってしまった。そんなアンジェリアを静かにルーファスは見つめると、ありがとうと応えた。

 ルーファスの表情はひどく落ち着いていて、自身の死をまるで他人事のように語っており、アンジェリアは既に止めることが出来ないと悟った。


「ーー私に、出来ることは、ありますか……?」


 癒しの力を拒否されたアンジェリアがルーファスのために個人的に出来ることなど、無いに等しい。それでも、ルーファスのためにアンジェリアは何かをしなくてはならないと感じていた。

 初めてコーション国に来て、アンジェリアが心細かった時に、ルーファスは色々と心を砕いてくれたのだ。せめて何かを返したいとアンジェリアは強く思った。


「アンジェはとても心優しい女性になったね。出来れば、このままレオンと婚姻の縁を組んでくれたら1番だけれど、それはフォーガス国が許さないだろう……」


「ルーファス様……」


 ルーファスもサスティアル王国のルルドと同じように、レオンとアンジェリアの婚約関係が今後解消されると考えていた。アンジェリア自身も、レオンとの婚姻まで決心がついていないため、申し訳ない気持ちで一杯になる。


「そんな悲しそうな顔をしないで。我儘だと、自分でも思うのたが、アンジェには少しでも笑っていて欲しい。アンジェの事は私の娘のように感じているんだ」


 ルーファスは1度、温室の花に目を向けると、呟くように話始めた。


「ーーもしも、アンジェにお願いが出来るのなら。少しでも、コーション国を好いてくれているのならば、レオンを助けてくれないか……。今後、私の亡き後、オルソン公爵派が反乱を起こす。レオンは陣頭に立つことになるだろう。今後のコーション国の旗印、希望となる、あの子を守ってはくれないか……」


「ルーファス様……もちろんで、ございます」


 反乱を起こせば、ベイガザード王国派はレオンの命を狙うに違いない。ルーファスはレオンが殺されてしまえば、コーション国がベイガザード王国に飲み込まれてしまうことを憂いていた。

 アンジェリアも、出来ることならレオンをアンジェリアの力で助けたいと考えていたため、ルーファスの願いに深く頷いた。


「ありがとう、本当にありがとう、アンジェ」


 アンジェリアの応えにルーファスはひどく嬉しそうに微笑み、何度も感謝の言葉を繰り返した。

 アンジェリアも、コーション国の未来のために自分も協力的そうだと嬉しくなった。そんなアンジェリアに、マリアナが側に寄って白い封筒を渡してきた。


 ーーーーいけない! すっかり、忘れていたわ!! ルーファス様にお願いをしなくては!!


 マリアナが渡してきた封筒は、ルルドが用意した手紙で、フォーガス国のコーナー王女をカイルの立太子の儀に招待して欲しいといった内容が書かれている。

 アンジェリアには、知らされていない内容もあるそうで、ルーファスには手紙を直接渡すようにルルドから指示を出されていたのだ。


読んで頂きありがとうございます!

まだまだ話は続きます。

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