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3番目の婚約解消 34 コーション国の王都へ

 コーナー王女の呪詛の力のせいで、第一王子ライアルトは今だに臥せっている。それは、いかにコーナー王女の魔力が強いかを示しているようだった。


「ねぇ、コーナー王女がルカを初め、他の人を次々と呪詛にかけてしまうようなことは起きないの? 気に入らない人間には容赦しないのでしょう? コーナー王女自身を隔離とか幽閉とかできないの?」


 何故、サスティアル王国の力で、早急にコーナー王女の呪詛の力を封印して貰えないのかと、アンジェリアは疑問に思った。


「うーん。サスティアルとしても、そういう方向にもっていきたいんだ。けれどね、コーナー王女もバカではないらしくて、確定的な呪詛の証拠を残していないんだ。今までの説明はあくまでも呪詛の微かな名残や状況証拠と証言だけ。一国の王女を取っ捕まえるには、確たる証拠が必要だ」


「その確たる証拠は、いつ頃手に入りそうなの?」


 コーナー王女が多数の人間を殺めているというのに、ルルドは焦る様子もない。サスティアル王族だから、呪詛で殺される事はないにしろ、少し無頓着な姿勢にアンジェリアには映った。


「リア、焦りは禁物だよ? コーナー王女の呪詛の証拠はやっぱり、大多数の人間の目の前で披露した方が良いと思うんだ。そのためにも、リアにはコーナー王女をコーション国に招待するよう、ルーファス殿にお願いしてほしい。あとは、コーション国には、レイモンド叔父上もいるし、僕もいる。まぁ、何とかなるだろうーー」


「コーナー王女をコーション国に呼びつけて、一体何をするつもり?」


 ルルドが関心な所を曖昧にしようとしている事を悟り、アンジェリアがじろりと睨み付けた。ルルドはアンジェリアの追及から逃れられないと諦めて、渋々話を続ける事にした。


「分かった、分かった……少しだけ教えてあげる……コーナー王女は、自分の呪詛の力を過信してる所がある。その自信を利用させて貰って、彼女の魔力を枯渇させるんだ。今、コーション国には、僕やレイモンド叔父上がいるだろう? その上、カイルの立太子の儀には、サスティアル王国の使者として、シャーナ公爵も参列する。サスティアル王族がこれだけ揃えば、コーナー王女を暴走させても被害を最小限に抑えて、封印もしやすいということさ」


 フォーガス国にルルドやレイモンドが公式に訪問することを、フォーガス国は認めなかったらしい。フォーガス国王としては、コーナー王女の力がばれる微かな可能性をも阻止したい。ならば、サスティアル王族のこれ以上の入国阻止は必須事項だろう。 

 唯一の例外、アランは、前国王の見舞いから頻繁にフォーガス国を訪れていた。そのため、フォーガス国側でもアランには世話になった手前、入国を拒むことが出来なかったらしい。


「じゃぁ、コーション国には尚更やって来ないのでは? サスティアル王族が揃い踏みなのよ?」


 コーナー王女から見れば、のこのこ自分の力を封印されにコーション国へやって来るようなものである。いくら、コーション国王からの招待でも、仮病なり他の予定をでっち上げるなりして、逃げるのではないかとアンジェリアは思った。


「大丈夫、最高の餌を蒔くから、ね? まぁ、そこは、カイルの立太子の儀までのお楽しみかな? コーナー王女さえ、コーション国に誘き寄せる事が出来れば、あとは、魔力切れを起こさせた上で、生涯幽閉ーーまぁ、封印に近いんだろうけれど、する予定だ」


 結局、肝心な所をぼかされてしまい、アンジェリアが不満そうに口を尖らせると、ルルドは苦笑しながらアンジェリアの頭を撫でた。


「リアに危害を加えるような事にはならない。そこは安心して」


 これ以上、話を続けるつもりのないルルドは、席を立つと、レイモンドの様子を見てくると言って部屋を出ていった。最後に、アンジェリアにはルーファスへ招待状の件は頼んだよと、念を押すことも忘れずに。



 ◇◇◇◇◇



 ルーファスとの面会のため、アンジェリアの王都行きは予定よりも早くなった。

 ルルドの転移魔法で一っ飛びすればとアンジェリアが提案したのたが、ギルバードが恐い顔をして、貴族の威厳とは何かをアンジェリアに復習させた。

 アンジェリアは、簡単に転移魔法を口にすれば、兄と姉に叱られるため、2人の前では2度と転移魔法について触れないと心に誓った。


「アンジェはコーション国に来てしばらくは王宮に住んでいたのでしょう? どんな所かしら? 面白そうなお店はある?」


 馬車の窓から見える景色を食い入るように眺めながら、セライアは楽しそうにアンジェリアに質問を投げ掛けてくる。まるで、観光旅行にでも来たようだと、ギルバードが叱咤しても、すぐに忘れては似たような質問を繰り返していた。


 アンジェリアは、2人の兄と姉と共にコーション国の王都へやって来た。6年ぶりの王都は、アンジェリアの記憶にあるものよりも、少しだけ静かで活気のないものに見えた。


「なんだか、人が少ないわね? 自国の王太子のお祝いがあるというのに、花もなければ、お祭りのような雰囲気もないわ」


「こら! 余計なことを! 馬車の外まで聞こえたらどうするんだ!」


 セライアの包み隠さない正直な発言に、ギルバードが間髪いれず叱咤する。その幼い頃から見慣れた光景にアンジェリアはふっと、懐かしさを覚えた。


「ーー今、王都では、オルソン公爵派とカイル派が対立しているせいで、暴力事件が頻発しているとレオンが言っていたわ。セライアお姉様も、王宮においても1人では行動をなさらないように」


「そうよね。ごめんなさい。浮かれている場合ではないのだわね、……」


 アンジェリアの言葉にセライアは珍しく神妙な顔で頷くと、目の前に迫ったコーション国の王宮を見て歓喜の声をあげた。


「まぁ! なんて可愛らしいお城なの! 物語の挿し絵に出てくるようなロマンチックなお城ね!! 素敵な男性と出会えそうな雰囲気だわー!」


 ーーーーセライアお姉様、殿方との出会いを求めないで欲しいわ……セシル様に、言いつけるわよ……


 ガーランド王国の荘厳な王宮とは違い、小さくても修飾に凝ったコーション国の王宮はセライアの好みにドンピシャだったらしい。セライアは、食い入るように馬車の窓から王城を見上げている。


「おい。冗談でも、出会いを求めるなよ? 俺がセシルに呪い殺されてしまうよ」


「お兄様まで、そんな冗談を……」


 兄妹だけの馬車で、兄と姉が揃いも揃って笑えない冗談を言い合うので、アンジェリアは緊張していた肩の力が抜けるような気がした。


 ーーーーそうね、少しでも臨機応変に動けるよう、心構えをしなくては


 ルーファスとアンジェリアの面会は明日に予定されている。コーション国へルーファスの婚約者としてやって来たときに、ルーファスからアンジェリアに贈られたあの温室で、内密に会うことになっている。


 ーーーーしっかりしなくては。コーナー王女を捕まえるため、ルーファス様に協力を得ないと


 アンジェリアはセライアと同じように馬車の窓から王城を見上げたが、アンジェリアには王城が野望渦巻く魔宮のように見えた。


 ーーーーとても、ロマンチックな事は起きなさそうね……


 出来るならば、被害者を最小限に抑えられるよううまく立ち回ろうと、アンジェリアは手を握りしめた。


読んで頂きありがとうございます!

まだまだ話は続きます。

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