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3番目の婚約解消 30 3回目の婚約式

 セライアのガーランド王国内の話を聞いてから、アンジェリアは物思いに更け、上の空で過ごしていた。

 いよいよ、レオンとアンジェリアの婚約式となった今でも、心ここにあらずといった状態だ。

 そんなアンジェリアの様子を見て、セライアはどこか罰が悪そうにしており、ギルバードはセライアから事情を聞いてムッとした顔をしてセライアを睨んでいる。


 ギルバードとしては、異国で1人過ごしている妹のアンジェリアに余計な心配をかけたくなかった。それなのに、口の軽いセライアが、余計なことをアンジェリアに伝えたと腹を立てていたのだ。


 レオンとアンジェリアの婚約式には、サスティアル王国からルルドとレイモンド、エステリア国のアマリアも出席しており、オルソン公爵派の主要メンバーの貴族達も揃っていたため、結団式の様相を呈していた。


「アンジェ? 疲れてしまった?」


 婚約式の司祭の挨拶と、誓約書にサインしたところで、どこか上の空のアンジェリアを心配してレオンが声をかけた。これで、一通りの婚約式の儀式は終わりであり、後は来賓客への挨拶周りがあるくらいだ。


「ううん。大丈夫よ。ただ、見慣れない方も多くて……」


「あぁ、オルソン公爵を慕う貴族も、今日の式に駆けつけたくれたからね。みんな僕とアンジェの婚約を祝ってくれているよ」


 ーーーー私達の婚約というよりは、サスティアル王国とガーランド王国とのつながりを祝っているのよ


 レオンはアンジェリアを好ましく思っているから、アンジェリアとの婚約をただ純粋に喜んでいた。けれど、アンジェリアとしてはレオンとの婚約で、ますますベイガザード王国との武力衝突に近づいてきたと緊張感が勝ってしまっていた。


「アンジェリア、レオン、一先ず婚約おめでとう。これからが、ベイガザード王国との綱渡り本番だ。気を引き締めろよ」


 婚約式に来ていた来客に挨拶をしていると、レイモンドが近づいてきて2人に声をかけた。周りの来賓客もレイモンドの言葉に深く頷くと、口々に打倒ベイガザード王国を謳った。


 ーーーーこれじゃぁ、ますます結団式みたいじゃないの……


「ーーレイモンド閣下、激励はありがたいのですが、今日ばかりはアンジェとの婚約を祝ってください」


「そうか、レオンはアンジェリアが大好きだったな!!」


 レオンがおずおずとレイモンドに進言すれば、レイモンドは周りに聞こえる大きな声でレオンを囃し立てた。

 レイモンドの悪ふざけに、側にいた貴族達もふざけて囃し立て始めたため、アンジェリアは顔を真っ赤にして下を向いてやり過ごす。


「叔父上、リアが困っているではありませんか。レオン君、リアを休ませてあげてほしい」


 一通り笑いが収まった頃、ルルドがレイモンドを叱った。アンジェリアとしては、もっと早く場を収めてほしかったが、招待客の表情を見て文句をぐっと堪えた。

 きっと、レオンとアンジェリアの婚約式に参加した貴族は、ベイガザード王国の驚異に日々頭を悩ましてきたに違いない。婚約式くらい明るく楽しく過ごしてもらおうと、アンジェリアは考え直した。


「ーーレオン、ここはオルソン公爵とレイモンド叔父上やギルバードお兄様にお任せしましょう」


 アンジェリアの言葉にレオンも異議を唱えることなく、オルソン公爵派の結団式と化した婚約式を後にすることにした。


 ーーーーもうすぐ、カイル殿下の立太子の儀がやってくる


「セライアお姉様、後でドレスの見立てに付き合ってくださいませ。まだまだ、殿方はお話がつきないようですから」


 おそらく女性勢が席を立てば、会場を移してオルソン公爵派の会合が行われる。いつまでも居座っていては、邪魔になるだろうとアンジェリアは、セライアにも部屋に戻ろうと声をかけた。

 そんなアンジェリアの意図を汲んでか、セライア始め、ダイアナ達も式場を後にし始めた。





「アンジェ、今日の婚約式、とても綺麗だった。僕と婚約してくれて、本当にありがとう」


「ーーどうしたの? 改まって?」


 レオンはアンジェリアを部屋まで送り届けると、真剣な顔でアンジェリアを見つめながら話し出した。


「兄上の立太子の儀がやって来たら、こうした時間も取れなくなるかもしれない。前は、庭でゆっくり話をしながら、お茶を飲むなんて当たり前の日常だったのにーー」


 レオンはそう言って、窓の外を眺めた。外には綺麗な花が咲き誇る庭園があり、何度も一緒にティータイムを過ごした東屋も見える。

 ルーシーがルルドを怒らせてしまい、慌てたアンジェリアが転移魔法を誤って発動させ、フォーガス国の世話になったのが遠い昔のようだ。


「ーールーシーも、だいぶ落ち着いてきたしな……」


 レオンもアンジェリアと同じことを思い出していたらしく、あのお茶会を懐かしんでいるようだった。


「ーーきっと、また、お庭でお茶を飲みましょう? ルーシーやダイアナ様も一緒に」


 アンジェリアは不意に何故か嫌な予感がして、そう言ってレオンの腕を掴んだ。

 レオンの口調に、2度と平和な時間が戻ってこないような不吉な気配を感じたのだ。


「そうだな。コーション国にまた落ち着いた日々が戻ったら、みんなでゆっくりしようか……」


 レオンは優しく微笑むと、アンジェリアの髪にそっと触れた。そして、そのままアンジェリアをじーっと見つめると、ひどく真剣な顔をした。


「ーーレオン?」


「アンジェ、どんな事が起きても、アンジェを守るよ。だから、僕に力を貸してくれないか」


「もちろんよ」


 アンジェリアが不安を拭うように、レオンの問いに即答すると、レオンは返事に満足そうに頷いた。


「さぁ、僕は会場に戻ろう。あまりに、戻るのが遅いとオルソン公爵に叱られてしまうからねーーアンジェ、すぐに侍女を寄越すから、ゆっくり過ごすと良い」


「えぇ、ありがとう」


 レオンはアンジェリアの頭をポンポンと触ると、すぐに部屋を後にした。アンジェリアは婚約式の疲れも忘れて、今後起こるであろう動乱に、胸が苦しくなった。


 ーーーーどうか、誰も欠くことなく、平和な日々がコーション国に戻りますように


 遠くの婚約式の披露会場からは、人々の騒ぎ立てる声が聞こえてくる。きっと多くの貴族や軍人が集まり、今後の動きを模索しているに違いない。

 第1王子カイルの立太子の儀は、すぐそこに迫っている。カイルが王太子になれば、ますます邪魔な国王ルーファスを暗殺しようと躍起になるだろう。ルーファスさえ消えれば、王太子となるカイル王子が国王になるのは確実だ。

 現段階では、カイル王子が国王暗殺を遂行した際、それを不服としてレオンがカイル相手にクーデターを起こすとされている。

 これまでもベイガザード王国派が国王暗殺計画を繰り返して失敗している。今後も国王ルーファスの命を守りつつ、どうにかカイルを廃摘出来ないものかとアンジェリアは考えを巡らせた。

読んで頂きありがとうございます!

まだまだ話は続きます。

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